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僕は久しぶりに登校した。
ごく普通に席に着きごく普通にパソコンをいじっていた。
そしたらいきなり黒ジャージにからまれた。
「碇!スマンかった!」
「は?」
えらそうにとんでもない事をいわれたような・・・・・・
「なんも知らんのにお前のこと毛嫌いしとったわ、上命まで助けてもろたし・・・・・・このまま借りつくったままやと気色悪いし、何かお礼させてくれ!」
呆然となる僕と話を進める黒ジャージ。
「さ!何でもいってみ!。」
そういって親指を自分の顔に向ける。
ナイスガイがかっこつけてやるポーズ・・・歯が光ればなおよし。
「お礼だなんて・・・・・・なぜ?」
僕がとてもとても嫌そうな顔をして言ってやる。
「なんでやあああああああ!!」
黒ジャージが魂の叫びがこだまする・・・・・おおげさじゃないか?
「だって、理由がない。」
「エヴァに乗って俺達を助けてくれただろ?それが理由だよ。」
みかねてケンスケが横から説明してくれる。
なるほど義理堅い人なのね。
「前にいわなかたっけ?僕は自分のためにしか動かない。だから君が気にする必要なんてないんだよ。」
黒ジャージ・・・そうだ、鈴原トウジだ。
トウジが何か嫌そうな顔をしている。
「もし、お礼をしてほしいなら借りにしとくよ。そのほうが楽しそうだし♪」
うん、我ながらいい判断だな。
「オノレというやつは根性ババ色やのぉおおおおおお!!!」
トウジが邪気の無い怒った顔をして横ではケンスケが苦笑している。
「その根性たたきなおしたる!」
トウジが軽く殴ってくる。
「直してくれなくて結構です。」
難なくよけてにこやかに返す。
はたから見ればじゃれてるように見えるだろう・・・・・実際じゃれてるんだし。
そのあとすぐにクラス全員が僕にたかってきた。
「碇君すごい!」
「俺たちを守ってくれてる勇者様!!」
「碇君はクラスの誇りだよ!」
「シンジ君は私のヒーローなの〜♪」
なんだか好き勝手なことを言われているような気もしないでもない。
「みんな、気にしないでよ。僕は僕なんだからさ。」
この状態をどうやって収集するか・・・・・・
そういえば・・・・・今日で学校来るのって二日目なんだよなあ。
あ、レイのご登場ですか。
「レイ、おはよう。」
「おはよう。」
挨拶をしてみた僕だが実際返事が返ってくるとは少しも思っていなかったから驚いた。
クラスのみんなも驚いている。
「おい碇、なんや今のは?」
「今のって?」
「綾波が返事を返すなんてめずらしいからな。」
トウジとケンスケは冷やかしがしたいみたいだ。
「そうなんだ。まあ、僕も返事返してもらっておどろいてるけど・・・・・」
「なんや、お前等仲わるいんか?」
・・・・・・・・・いいとは言えないよなあ。
だからといって悪いってわけでもないはずなんだけど・・・・・・・・
「さあ?よくわからないよ。」
「自分のことやろ?なんでわからんのや?」
「自分のことが一番わからないんだよ。」
記憶喪失だしね。
「でも碇は綾波のことを名前で呼んでるよな?なかいいんじゃないのか?」
ケンスケ君いいツッコミ・・・・・かなあ?
「綾波っていう苗字を知るよりも前にレイって名前のほうを覚えちゃったからね。」
あ、チャイムが鳴った。
「ほら、授業が始まるよ。着席しなさい♪」
「お前は先生かよ。」
ちょっとお茶目にまとめようとしたらツッコミが入ってしまった。
それにしても・・・記憶ってどうやったら戻るものなんだろう?
授業が普通に進んでいっていたときピピピと電子音が鳴った。
なんだろう?っと周りを見渡す。
レイが携帯電話をとりだしていた。
「・・・はい・・・はい・・・わかりました・・・。」
携帯電話を切るとレイは教師に向かい静かに言った。
「・・・早退します・・・」
そんなレイにうなずいて許可を出す教師。
おい!そんな簡単に許可だしていいのか?理由もきかないんかい!
ツッコミを心の中で入れていたらレイが僕の前で立ち止まった。
「碇君。非常召集。」
さすがレイ。簡潔で非常にわかりやすいものの言い方をしてくれる。
「僕に依頼がきてないみたいだから使徒じゃないみたいだね。怪我しないようにがんばってね♪」
「・・・・・・気をつけるわ。」
スタスタと普通に歩いていくレイを手を振って見送る。
そんな光景をみて隣の女子が問いかけてきた。
「碇君はいかなくていいの?」
「レイが召集されただけで僕にはきてないからね。僕がいく必要がどこにあるの?」
「でも、綾波さんは誘ったんじゃない?」
「そうなの?気づかなかったな。」
そう答えるとなぜかその女の子はため息をはいた。
本当にさそったんだろうか?よくわからないや。
学校に登校するようになって数日・・・・・僕は普通と思われる人間関係を続けている。
学校帰りに買い物をして家路についてすぐ、ゲームセンターの前で乱闘をしているところに遭遇した。
見覚えのある二人組みがたこ殴りにされている。
あと見慣れないかわいい女の子と不良ですという格好の男どもとが戦闘している。
女の子は強くて手助けする必要はなさそうだ。
無視して通り過ぎようとすると三人の不良にからまれた。
「まてやちゅうぼう。」
「どこいくきだよ。まだおわっちゃいねぇぜ。」
「関西弁がはやってるの?僕はあんまり関係ないんだけどなあ。」
「ごちゃごちゃうるさいんじゃ!」
うるさいのはお前等だよ。
何が気に入らないのか男は殴りかかってきた。
その攻撃をさけて腕を取りそのまま背負い投げで放り投げる。
(身体能力制御発動。身体能力、知覚速度3倍で定義。)
ちょっとだけミスリルの助力を受けて能力を発動させる。
他のつったってる男どものみぞおちに肘をたたきつける。
そして、さっき放り投げた男にとどめをさすべく踏みつける。
(身体能力制終了。)
「あ〜〜〜、荷物がぐちゃぐちゃになってなきゃいいけど。」
ちょっとおどけて言ってみる。
倒れている人を確認する・・・・・・トウジとケンスケのようだ。
あ、女の子に戦いを挑んでいる不良の一人が刃物を取り出した。
(光速度、万有引力、プランク定数、取得。自己領域展開。身体能力制御発動。身体能力、知覚速度3倍で定義。)
周りの時間を極端に遅くしておいてその空間の中で3倍のスピードで動く。
この状態ってほとんど人間の戦闘力としては反則の部類に間違いなくはいると思われる。
ま、どれはともかく荷物をその場に置き刃物を取り出した不良に近づき腕を取って押さえつける。
不良は痛みのためかナイフから手を離してしまった。
危ないのですぐさま空中にある時点で回収する。
(自己領域、身体能力制御終了)
もとの時間軸に戻っていく。
「女の子相手に刃物なんて持ち出すなよな。」
ちょっと勢いがあまってしまったのか腕が脱臼しているようだ。
こちらの説教に反応する余力は残っていないようである。
一方女の子のほうはもうカタがついたようだ。
「何よ。あんたもやるの?」
「いや、刃物の回収をしてただけだから気にしないで。」
そういってナイフを見せる。
女の子は驚きもせずに普通にナイフに目をやる。
普通じゃないなこのコも。
この町って普通の人が少ないなあ。
そのとき、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
「げ!やっば〜〜〜!あとヨロシク〜〜〜」
ものすごいスピードで走り去っていく女の子。
言葉遣いがよければお嬢様で通ったのに・・・・・・もったいない。
僕もこんなところにいたら警察のご厄介になってしまうので荷物を回収してその場をあとにする。
翌日、トウジとケンスケが捉まっていたことを知った。
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