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「な・・・・・・・・・・・・・・。」

お店に帰ってみると・・・・・・燃えていた。
ええ、そりゃあ豪快に燃えています。
鈴木さんのお店だけではなくこのとおりの建物が燃えているようだけど、燃え広がり方からして中心は鈴木さんのお店なのだろう。

「どういうことなの・・・・・・。」

呆然としてつぶやく。
その自分のつぶやきでわれに変えることができた。
もう消防車が炎を消し始めていて、救急車は怪我人を収容し、警察がなにやら捜査をし始めている。
何かとおりの角で観察している怪しい人を発見。
駆け寄ろうとしたら、見覚えのある人にとめられた。

「まて、奴らは君を拘束するつもりなんだ。そのために君の住んでいるところを焼いたんだ。」

・・・・・ああ、この人、前に襲われたときにネルフって名乗った人だ。

「奴らって?」

「ジェノサイ○という組織だ。」

は?
聞き間違いかと思い聞き返す。

「じぇのさいまる?」

「そう、ジェノサイ○だ。」

「どういう意味・・・・ってかなぜ伏字なんですか!」

「俺に怒られても困る。そういう組織名なのだからな。」

頭が痛くなってきた。
あ、それよりもどういう組織なんだろう?

「ねぇ、ジェノサイ○ってどういう組織なんですか?」

「組織のボスが戦争好きということなのだが・・・・・・詳しいことはネルフ本部のデータベースにアクセスしてみないとわからないな。」

「組織の本部の場所とかってわかりますかね?」

「さあ?やってみないとわからないが・・・・・・・。」

・・・・・・・くそ、手がかりはネルフか・・・・・・・あれ?そういえばこの人たちって見て見ぬふりをしてたってことか?

「あなたたちは火をつけてるのを見て見ぬふりをしてたんですか?」

「仕方なかったんだ。我々がここに来たときにはもう爆弾が設置されたあとだった。そのために手がだせなかったんだ。」

頭に血が上っていたようだ。
こいつらが火を放ったってことも充分に考えられることなんだ。
ここは警戒したほうがいいだろう。

「そうそう、ネルフ本部から君に召還要請が来ている。ご同行願いませんか?」

かなりびっくりした。
ちゃんと敬語にしてる。やるな冬月さんは信頼していいか・・・・・・。
この人たちが火を放ってジェノサイ○を犯人に仕立て上げるのことで僕の信頼をものにしようっていう作戦かもしれないけど、この際、頼れる人間はいないし確認方法もないので同行することにしよう。

「いいですよ。あ、ちょっと待ってくださいね。」

そういい残してさっきの観察していた(今もしている)奴等に方に走り出す。

「おい、待ちなさい!」

ネルフの人が止めるが無視して走る。
観察していた人。黒服にサングラス、典型的な奴等だ。
奴等も僕に気づいたようだ。

「これはお前らがやったのか?」

端的に聞いてやる。
これで答えることができたら犯人だ。
普通は理解できないことで困惑するはずだから、冷静に対処できたら犯人の可能性が飛び上がる。

「いいや、違う。それより君はサードチルドレンだね?」

ビンゴ!
情報を聞き出すことはまず無理だろうから始末しておく。
頭にきているらしい。
I-ブレインに意識を向ける。

(身体能力制御発動。運動速度、知覚速度20倍で定義)

周りの時間が遅くなる。
とまっているのも同然に顔に思いっきり殴りつけてやる。
やわらかい感覚とともに首と胴体が離れ離れになる。
周りを見渡し他にこいつの仲間がいないかを確認する。
単独行動するのは普通じゃない。どこかに援軍がいるはずだ。
どこだ・・・・どこにいる・・・・・・・・・
結局10分ほど(20倍で動いてるため実際には30秒ほど)見渡したが発見できなかった。
素人には限界があるってことだね。
死体になった男の周りから離れる。
犯人扱いされたら嫌だから。   実際に犯人だが

(身体能力制御終了)

ちなみにネルフのさっき話してた人の真後ろで身体能力制御を切ってやった。

「さあ、連れて行ってください。」

「な!」

びっくりしているネルフの人。
こういうのみるといたずらは楽しいって思うんだよね。





「やあ、来てくれたか。」

ついた僕を冬月さんが迎えてくれ、なぜか作戦司令室に通された。
普通、こんなとこには一般人は入れないだろう。

「何の用ですか?」

使徒がきたんだろうけど、一応聞いておく。

「使徒がせめてきたのだよ。レイだけでは対処できなくてね。君の応援がほしいのだよ。報酬は出すから乗ってはくれないかね?」

予想通り使徒がきたようだ。
横にいるレイが心持沈んだようにみえる。
僕も今回は利用という目的がある。

「いいですよ。報酬はジェノサイ○という組織の情報。本部の位置と戦力、それだけ調べて一週間ぐらいで報告してください。それが今回の条件です。」

ジェノサイ○は許さない。
意外そうな顔をして冬月さんが聞く。

「聞いていいかね?なぜそんな組織の情報を?」

「僕を敵に回した。唯で済むとは思わせない。僕を敵に回すことの恐怖を叩き込んでやる。もちろん今度という言葉は存在させないくらいにね。」

邪悪な笑みをしていると思う。
このあと自己嫌悪しなかったらいいけど。
この場の人たちも何か警戒する顔になった。
僕には関係ないが重い空気が広がっているようだ。

「交渉は成立でしょ?敵のデータを回してください。まさか僕が来るまで唯、手をこまねいていたわけじゃないでしょ?」

「ああ、これを見てくれ。」

そういってオペレーターらしき人に指示を出す。
そして葛城さんが口を出してきた。

「これまで採取したデーターによると、目標は一定範囲内の外敵を自動排除するものと推測してるの。」

葛城さんの説明と共にモニターには、エヴァの形をした風船がある程度使徒に近づくとビーム攻撃をうけ 蒸発する様子が映し出される。
うかつには近づけないどころか自殺行為だな。

「エリア侵入と同時に加粒子砲で100%狙い撃ち。エヴァによる近接戦闘は危険すぎるわ。」

葛城さんはなおも説明してくれる。
冷静を装っていても内心あせっているだろうに。

「ATフィールドは肉眼で確認出来る程、強力な物が展開されているの。攻守ともにほぼパーペキ。まさに空中要塞ね・・・。」

「パーペキ?ATフィールド?なんですか?それは。」

聞いておかなければならないことだろう。
知識としてもっておかなかったらいざというときに使いようが無い。
なにか余計なことでもいったのか何やら苦笑しながら説明してくれる葛城さん。

「パーペキは完璧って意味で、ATフィールドは使徒とエヴァについているバリアみたいなものね。」

「どうも。」

説明してくれたんだからお礼を言う。
しかしATフィールドってバリアあるなら最初の説明の時に教えてくれればいいのに。

「明朝、午前00時06分54秒。その時刻には22層、全ての装甲防御を貫通して、ネルフ本部へ到達するものと思われます。ネルフ本部へ直接攻撃を仕掛けるつもりのようだわ。」

予想であって本当にそうなのかは判断しかねるが、まあ、現状ではそう見るのが正しいだろうな。

「それでは、作戦だけど、目標のレンジ外、超々長距離からの直接射撃をします。目標のATフィールドを中和せず、高エネルギー収束帯による一点突破しか方法はありません。」

バリアの性能を上回る砲撃は基本だけど・・・・ATフィールドってそんなに強固なのかな?

「本作戦における各担当を伝達します。シンジ君は初号機で砲手を担当、レイは零号機で防御を担当して。」

「・・・はい。」

「了解。」

レイは素直に返事を返す。
ある意味いい子なんだよな。

「これはシンジ君と初号機のシンクロ率のほうが高いからよ。今回は、より精度の高いオペレーションが必要なの。陽電子は地球の自転、磁場、重力に影響を受け直進しません。その誤差を修正するのを忘れないでね。正確にコア一点のみを貫くのよ」

赤木さんが葛城さんの命令を補足する。
でも自転やら磁場やら重力の影響って・・・・・・I-ブレインをつかえっていうのか?
I-ブレインの存在がばれてるの?

「わかりました。」

やや沈んだ面持ちで答える。
すると赤木さんが説明の補足をしてくれた。

「大丈夫、あなたはテキスト通りにやって、最後に真ん中のマークを揃えてちょうだい、あとは機械がやってくれるわ。」

最初からそう言え!!!!

「それから一度、発射すると冷却や再充電、ヒューズの交換などで、次に撃てるまで時間がかかるから」

説明を続ける赤木さん。

「じゃあ、もし外れて敵が撃ち返してきたら?」

「その為に零号機に盾を持たせてあるわ。使徒の加粒子砲の直撃にも17秒はもつわ。でも今は余計なことは考えないで使徒を一撃で撃破する事を考えなさい。」

大きさからしてつらいけど、なんとかI-ブレインで防げないわけではないな。
赤木が零号機の持つ盾について説明するとレイが質問した。

「・・・私は・・・私は初号機を守ればいいのね・・・」

「そうよ。」

「わかりました。」

赤木さんの返事に頷くレイ。

「では、各パイロット出撃準備!いいわね?」

「「はい。」」

葛城さんがそう締めくくる。
お?めずらしくレイと返事が重なった。





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