12
結局、鈴木さん(おじさん)の店にきている僕。
さっきの人は青木さんという名前で一緒にきている。
青木さんは年齢二十歳かそれのちょっと過ぎといったくらいの歳の女の人だった。
髪は長く目は切れ目、身長は僕よりも高い。ほかは平均の日本人だ。
「へぇ、あま・・・・君は一人で旅してるんだ。家族の方は心配してないのか?」
結構、言葉遣いが荒いのかもしれないけど、いやな雰囲気は感じない。
僕にしては珍しい
「あなたの普通で話してもらっていいですよ。家族には見捨てられました。預けられた家にも帰れなくて。だから一人旅です。」
「あ、すまない。変なことを聞いて。」
「いいですよ。言いたくなかったら言いませんし。」
嘘はついていない。ネルフの人たちの会話から僕の生い立ちを想像するとこんなところなのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕のフォローでも気にしてちょっと気落ちしてしまった青木さん。
ひさしぶりに見るいい人だ。
「気にしなくていいですって、おかげで気ままな一人旅なんですから。」
たぶんネルフの人の監視があるだろうけど手出ししないぶんには無視できる。
それに気ままっていうのは本当だ。第三東京では不快な思いばかりしている。
「ぐはあああ!しまったあああああああ!奴等は狂犬みたいに獲物に喰らいついてくる!!都合が悪かったとかの言い訳は一切無駄で意気揚々と追徴金を上乗せしやがる!!暴飲暴食が大好きなやつらに余分な金を与えるとはなんと愚かなことを!!」
僕と青木さんは二人そろってびく!!!っとする。
鈴木さんがいきなり微妙にわけのわからないことを大声で叫びだしたのだ。
「あの・・・・・もしかして税金を支払い忘れてたんですか?」
追徴金という言葉にピンときて確認の意を込めてたずねてみる。
「さっきの話を聞いてなかったのか!さては馬鹿だなお前、人の話は聞きなさいと言われなかったのか?これだから最近のガキは!」
何かひどい言われようだ。でも、これだけの話術なら先生と呼ばれるのもうなづけるかも(ほかの意味の先生かもしれないが)。
「私もガキなのだがな。」
「お前はもう勘定済むだ!」
「何?私も含まれていたのか!」
「当たり前だ!悪口でおまえを含まないことなどあるか!」
「何ぃ〜〜!お前が悪口を言うときは全部私に向かってのことなのかぁあ!」
「いまさら気づいたか。愚かなやつ。」
やけに上機嫌なやれやれっといった感じで首を振っている。
なにか痴話げんかに聞こえなくもない。
そのあと二人が2時間ほどじゃれあって青木さんは自宅に帰っていった。
「このおじさんに喰べられないように気をつけろよ。」
「俺が喰うのは女だけだ!」
喰べられる心配はないだろう。
鈴木さんはたぶん青木さんに興味があるだけでそっちの気はないと思われるから。
青木さんとお別れした後、鈴木さんにバイトしないかと誘われた。
「いつもは人手が足りんわけでもないのだが、青木が一ヶ月くらいこれなくなるらしいから代わりがほしい。やってみないか?俺の家の空いてる部屋を貸してやるから宿代がうくぞ。」
ということだ。
たぶんこの人なりの親切なのだろう。
「はい、お願いします。」
二つ返事でかえす。
当分ここにいることにしよう。
翌日から働きだした僕。
夢を何度かみてI-ブレインの魔法の種類もわかってきたし使用方法もだいたいわかった。
それで身体能力制御をうまく使うための関係で筋力トレーニングも始めた。
10倍の身体能力のときに、1だったら10、1,1だったら11、とかなりの差がでるため、やっておくことにしたのだ。
なぜか鈴木さんがそういうことに詳しかったのでいろいろとアドバイスをもらった。
万能な人だけど、鈴木さんって何やってた人なんだろう?
まぁ、いろいろためになることをして今にいたってるわけなんだけど・・・・・
「ネルフのものだ。サードチルドレンだね?ついてきてもらおう。」
人気のない裏路地でまたネルフの人に捕まっているわけですはい。
「違います。人違いです。さようなら。」
「私たちは君を保護する義務がある。強制的にでもきてもらうよ。」
「人違いだっていってるでしょ。強制的だって?やれるものならやってみろよ。」
人数はたかだか6人、僕をどうにかできる人数ではない。
(身体能力制御発動。運動速度、知覚速度5倍で定義)
今の最高は補助を使って20倍。今も補助を使って5倍という数値を出している。
20倍だしたらさすがに殺さないってことはできないのでこの数値で抑える。
男たちの動きがスローモーションになる。
ラグランジュの時と違い空気の抵抗や、無茶な運動による身体の破壊されることも無くて便利♪
さすがに銃はスローモーションにさせるには5倍ではきついけど打たれる前に倒せる!
まずはボディブローをくらわせる。
一人目!
続いて正拳ヅキを後ろの男に入れる。
二人目!
横にいた男に回し蹴りを胴体にきめる。
三人目!
ここで二人目のつきを食らった男が壁にぶつかる。
目の前にちょうどいい具合に二人並んでいたので二人の背中に同時に肘をいれる。
四・・・・・五人目!
さすがにあとの人は銃を構えようとしているとか取り出そうとかしている。
ここで最初のボディーブローをうけた人が着地する。
死んでなきゃいいけど。
たしょう急いで三人の銃を払い落としてやる。
力を入れすぎたのか腕が吹っ飛んでいる人もいた気がするけど無視!
ちょうど直線に並んだのでMAP兵器よろしくと正拳ヅキで手前の男を吹き飛ばす。
にらんだとおり後ろの二人も巻き込んで壁にぶつかる。
はい、終了☆
後のほうの人は驚愕の表情を浮かべてたけど最初の二人はなんの反応をすることなく昏倒させてやった。
(身体能力制御終了)
「おじさん達弱すぎるよ。」
誰も聞いちゃいないけど言っておいてやる。
そこへ二人組みの男が現れた。
「おじさん達もネルフの人?飽きないなぁ。」
二人は微妙な顔をして話かけてきた。
「我々はネルフのものだがそいつらは違う組織のものだ。我々は君を守るように言われているものだ。連れ込まれたから助けようとしたんだが・・・・・必要なかったようだな。」
「そうだったんですか。それはどうもお疲れ様。」
危なくなったところへ助けに入って恩を売る作戦か?とも考えたが保安部のみなさんは僕の強さをしっているはずなので信じることにした。
「君は強いんだね。」
「まぁ、多少は武術の真似事をやってましたから。それではこれで、お使いの途中なので。」
ほんとは違うがそれっぽいことを言っておいたほうが良いだろう。
ちなみにお使いというのも半分嘘で鈴木さんが日課にしている病院の訪問をするところなのだ。
病院に知り合いが入院しているわけでもないのにどうして病院にいくかというと子供たちの遊び相手だとかそのとき知り合った人のお見舞いとか。
見かけや、態度に似合わずいいことをしている鈴木さん。
根だけはいい人なのだろう。
病院について子供たちの遊び相手になる。
いろいろな人が病院には入院している。
人工呼吸器をしていなければ生きれない人やそこまでいかなくても充分重体の植物人間。
また、いますぐにでも退院できる人まで本当にさまざまである。
お見舞いの意味は元気付けることで気持ちのゆとりをもたらすこと。
いろいろな人がいろいろな受け取り方をしてくれる。
その反応を見ているだけでも面白い。
鈴木さんの家にお世話になってよかったことの一つである。
記憶探しはできてないけど、なかなか充実した日々をすごしている。
それにしても今日はやけにパトカーやら消防車やら救急車やらの音がきこえるのはなぜ?
[11]
[index S]
[13]