09




血の味に支配された空間。
エヴァのコックピットか。
わざわざこんな液体を使う意味はなんなんだろう?
それに呼吸のできる水って・・・・・・
最初乗ったときは思い浮かばなかった疑問がでてきた。

(I-ブレイン起動。接続プログラム発見リンク開始)

I-ブレインのメッセージに僕はあわてて、やめろと命令する。
たぶん、前はこのリンクがされていたから動かせたんだ。

(リンク切断)

I-ブレインは起動したままにしておく。いろいろと便利そうだ。

『シンジ君、聞こえる?』

葛城さんの声だ。

「はい。聞こえてますよ。」

どこからかモニターが現れて顔が見えるようになった。

『もっと集中しなさい!』

「何を集中しろっていうんですか?」

『前にエヴァに乗った時みたいに集中しろっていってんのよ!』

どうやらにらんだとおりリンクしてないから動かせのだろう。

「嫌です。」

『あんた、命令が聞けないの?』

「記憶力ないんですか?聞く気はないってさっきも言いましたよね。」

葛城さんの怒り顔が般若にみえる今日この頃。

『ミサト。別に動かないわけじゃなのよ。このまま戦闘にだせば嫌でも戦うはずよ。』

え?動くの?予想外!・・・・・じゃあさっきまでのやり取りの意味は?

『でもリツコ。前より50%ダウンって異常なんでしょう?それで勝てるの?』

『だから言ってるでしょ?戦闘が始まったら真面目に戦うでしょ?』

『そうね。エヴァ初号機!発進!』

僕の体に急激なGがかかる。それにしても・・・・・・・50%ダウンって何のことだろう?

『いい?シンジ君。上に上がると同時に使徒のATフィールドを中和してパレットガンで一斉射撃するのよ。』

だから嫌だって言ってるだろうに・・・・学習させてやるか・・・・・・・それにしてもATフィールドってなんだろ?





地上に出るとそこにはイカのような奴がいた。
そういえばこいつらってなんで人類の敵?正体不明なら敵って断定しなくてもいいような気がする。

『何をボーっとしてるの?早く攻撃しなさい!』

葛城さんが吠えている。だけど僕にも考えがあった。
とりあえず回収できないようにリフトから出る。
そこでまたとまる。
使徒はじっとこちらを見ている。
様子をみている?警戒してるのか?知能が結構あるんだな

『ちょっと!わかってるの?はやく攻撃しないとやられちゃうわよ!』

もちろんわかっている。
使徒がムチみたいなもので攻撃してきた。
右肩を浅く裂かれた。結構痛い。

「くぅ。」

『はやく攻撃しなさい!そのままじゃ死んじゃうわよ!』

「はい。わかってます。死ぬ気ですし。」

『何ですって?』

「無理に乗せるとどうなるか思い知ってください。」

『ちょっとシンジ君?君死ぬのが怖くないの?』

「怖いですよ?でも譲れないものがありますから。」

この会話の間にも攻撃を受ける。
けん制なのか致命的な一撃をまだくらってはいない。

『くっ、回収して!』

『駄目です!エヴァ初号機。リフトに乗ってません!』

『狙ってやったの?なんていう子』

『え?はい、わかりました。』

『シンジ君、私はココの副司令で冬月というものだ。どうすれば君はエヴァで戦ってくれるのかね?』

いきなり声がかわった。
初老の男の人の声。

「どうすればって・・・・・」

要領がつかめない。

『交渉の余地はないのかね?』

ああ、そういうことね。

「傭兵を気取ってますのでお金をもらえれば・・・・・・あとは丁寧な言葉遣いと態度は下手(したて)で、乗ってほしいときは乗ってくれませんか?ってお願いすればいいですよ。」

『では、今回も一億だそう。それで乗ってくれないかね?』

「前の報酬受け取ってないんですけど?」

抗議の意味を持たせて嫌味いっぱいに言う。

『この戦いが終わったらすぐに渡そう。』

「その言葉忘れないでくださいね。あ、そうそう、エヴァに乗っているときにそちらの指示が不適当と判断したら勝手に動くことを許可してください。前みたいに敵の前に出されて動くかどうか確かめるために歩けって言われるのはもう嫌ですから。」

『わかった。許可しよう。』

『ちょっと、副指令!』

『不当じゃなければよいのだよ葛城一尉』

「交渉成立ですね。戦闘に入ります。」

会話の間中攻撃を受けていたからかなりぼろぼろのはずだ。ハンデをあげすぎた。
ムチの攻撃を避ける。すると足をつかまれて投げ飛ばされてしまった。

「くあっ・・・くぅ〜〜〜〜きくぅ〜〜〜。」

かなり飛ばされた。そのせいで背中についていた紐が切れてしまった。

『ちゃんとしなさい!』

「わかってます!」

(リンク開始)

「これからだ!って、え?」

ブザーの音がしたのであたりを確認・・・エヴァの指の間に知った顔があった。

『シンジ君のクラスメート!?』

『なぜこんな所に!』

『シンジ君!』

その間にも使徒は迫ってくる。
判断を・・・・・はやく命令をくれ!

「どうするんです?見捨てますか?助けるんですか?」

『早く起きて!』

「間違って踏み潰しても責任とりませんからね!」

もちろん、起きろっていわれたらわざと二人を踏む準備はOKだけど・・・・・

『!!!!!っ。仕方ない………!シンジ君!二人をエントリープラグに乗せて!』

ちっ!思考をよまれたか。

『許可の無い人間をエントリープラグに乗せるなんて………』

『私が許可します』

赤木さんの反論にきっぱりと言う葛城さん。

「了解。」

これ以上はさすがに付き合えないよ。

『越権行為よ、葛城一尉!』

エントリープラグを出し声をかける。

「そこの二人!早く乗って!」

さて、乗ってくるまで使徒がまってくれるか・・・・・・・
よじ登ってきている最中にムチで攻撃が来た。
そのムチを掴む。手のひらに焼けるような痛みが走る。
でも、全身中痛いのであまり関係ない。

ジャボン、ジャボン

「なんやこれ・・・水やないか!」

「カ・・・・カメラが!」

二人が入ってきたようだ。
よく登ってこれたな。

「転校生!」

「話しかけるな!気が散る!」

「なんやと!」

「おさえろ!」

『シンジ君!後退して!!』

「了解しました。どこで回収してくれるんですか?」

『後ろの山を越えたところにリフトがあるわそこで高速回収します。』

使徒を蹴り飛ばして間合いをつくって、かんぱついれずに一足飛びで山を飛び越えいわれた場所へ移動する。

『異物を二つも入れて変動しないなんて!なんていう子なの?』

リフトが降下される。
さてさて、がんばりどころだな。





回収されて機体を固定しエントリープラグを出す。

「ほら、二人ともでて!」

「わ・・・わかっとるわい。」

「碇。怒鳴ることないだろ?」

状況がわかってないようだ。自分が死に掛けていたことを実感してないのではないかとも思う。

「後ろでなにいっててもいいけど・・・・・自分たちを守って戦っている人の邪魔をするな!」

二人は絶句している。
感情をむき出して怒るなんて初めてしたなぁ。それだけムカついていたんだろう。
二人が出て行ったあとにすぐ出撃準備に入る。
すると大きな衝撃が走った。

『使徒ジオフロントに潜入!』

『何ですって?』

『さっき回収に使ったリフトを壊されて潜入されました!』

使徒というのはかなり知恵がまわるらしい。

「早いとこ出撃させてください。向かい打ちます。」

『わかったわ。エヴァンゲリオン初号機!発進!!』




後ろにはピラミッド。前には使徒・・・・・まずはピラミッドから離れないと。

『パレットガンで一斉射撃!』

銃をフルオート発射する。
爆煙で使徒が見えなくなってしまった。

『馬鹿!爆煙で敵がみえない!!』

「あんたの指示通り動いただけだ!」

馬鹿にされる覚えはない!
煙の中からのムチの攻撃でパレットガンが引き裂かれる。
どうせ効かないしこっちが不利になるだけの銃などいらない!
肩のナイフを装備する。
一気に決めてやる!

(ラグランジュ起動。知覚倍率を3倍、運動能力を2倍に設定)

『しょ〜〜、初〜〜〜号〜〜〜機〜〜〜、プ〜〜〜ロ〜〜〜〜グ〜〜〜〜レ〜〜〜ッ〜〜〜シ〜〜〜ブ〜〜〜ナ〜〜〜イ〜〜〜フ〜〜〜を〜〜〜装〜〜〜備〜〜〜し〜〜〜ま〜〜〜し〜〜〜た〜〜〜。』

『ちょ〜〜〜っ〜〜〜と〜〜〜シ〜〜〜ン〜〜〜〜ジ〜〜〜君〜〜〜〜。あ〜〜〜な〜〜〜た〜〜〜な〜〜〜に〜〜〜を〜〜〜し〜〜〜よ〜〜〜と〜〜〜』

会話がスローに聞こえる。が気にしてる暇はない。
触手をナイフで切り払う。
反応速度があがっていても早いものははやい、集中しなければならない。
ナイフは使いやすい僕にあってる。もうムチの攻撃は効かないだろう。
エヴァは考えると動く、ならば3倍の思考能力があれば3倍で動くはず。
読みどおり普通の感覚で動く、使徒はスローモーションに見えているのに・・・・だ。
ナイフで下から切り上げる。
使徒がナイフの長さの分だけ裂けていく。
ナイフは衝撃に耐えられなかったのか刃が根っこから折れてしまいそのままジオフロントの天井に突き刺さっていた。

『目〜〜標〜〜完〜〜全〜〜に〜〜沈〜〜黙〜〜』

(ラグランジュ終了)

終わったか・・・・・・・・・・・・・
全身が痛い。自業自得ではあるがそれが精神的にもまいらせている。
ゆっくり寝ないと。





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