09



血の味に支配された空間。
そこはエヴァのコックピット。
わざわざこんな液体を使う意味はなんなんだろう?
それに呼吸のできる水っていったい・・・・・・
最初乗ったときは思い浮かばなかった疑問がでてきていた。





(I-ブレイン起動。接続プログラム発見リンク開始)

やっぱり、血の匂いに慣れている。
こんなこと、慣れるなんてことはあるのかな?
わからない。

『シンジ君!用意はいい?』

「大丈夫、料金分は働くよ。」

たぶんね。

『余裕みたいね。』

「そりゃあ、無理やり乗せられているわけじゃないからね。」

『・・・・・・それにしても碇指令の留守中に題使徒襲来か、思ったより早かったわね。』

話題をそらしたね。

『こっちの都合お構いなしっていうのは女性に嫌われるタイプだわ。』

『その台詞二度目です。』

『ミサト!急ぎなさい!』

『わかってるわよ!』

『葛城一尉!委員会から最終要請です!!』

『うるさいやつらね!言われなくても出撃させるわよ!エヴァ初号機発進!!』

体が引き裂かれるようなGというわけでもないGが体に掛かる。
なんだか物足りない。
無事に地上に着いた。

「また敵の目の前ですか。」

『後ろのビルにライフルがあるわ。それで攻撃して!』

「了解。」

ずいぶんと地上は荒らされてるね。
ビルは地下に埋まってるんじゃなかったっけ?
まあ、どうでもいいことか。
ビルの中にライフルというより、マシンガンっぽい銃があった。
なるほど、ビルと見せかけた武器庫か何かだね。
すばやく銃を手に取り使徒に向かけて引き金を引く。
弾丸が命中しているのが見えたがすぐに煙が発生して使徒が見えなくなった。
とりあえず使徒がいた位置に向かって撃ち続ける。

『バカ!弾着の煙で敵が見えない!』

だんちゃく?
なんだろう?

『落ち着いて!いったん止めるのよシンジ君!』

撃ち方止めっと。
やったのか?
・・・そんなわけないか。
移動したほうがいいね。
後ろにと・・・・・・ぶ!?
光るものが見えて進路を後ろから横に変えて跳ぶ。
ドガア!と音が鳴って地面が抉れた。
煙の中から出てきた使徒はまったくの無傷のようだった。
さらに光が走る。
光線だと思ったら触手のようだ。
ムチのようにしならせて僕を攻撃してくる。

(予測演算開始)

さっきの攻撃と今の攻撃を元のデータとして次の攻撃を予測。
データが少なすぎて誤差が大きいだろうけど、何も助力もなく避け続けるのはすごく難しいだろう。
不確実に頼るのは常。
そのデータを信用するかは勘。
信じるのは常に自分。

『ATフィールドが中和されていないんだわ!』

『シンジ君!ATフィールドを中和してもう一度撃って!』

わけのわからない単語が出てきた。
そんなこと知らないので隙を見つけて銃を撃てばいいと解釈する。
その隙があればの話だけどね。
I-ブレイン上に攻撃の軌道が映る。
誤差の分を警戒して余分に避ける。
バチっと音がしたような気がする。
誤差が大きくてかすったんだね。
バチチチチチチチチチ!
何の音?

『アンビリカルケーブル断線!エヴァ内臓電源に切り替わりました!』

『なんてこと!』

攻撃がエヴァの急所に当たっちゃったようだ。
当たり所が悪いとさすがにやばいのか?

『シンジ君!活動限界まであと4分53秒よ!早く倒さないとヤバイわ!』

かつどうげんかい・・・活動限界?
あと動ける時間が4分50秒程度ってこと?
銃が切り裂かれる。
くっ!
少し動揺したようだ。
距離を稼がないと。
その場から跳ぼうとして、蹴躓いた。
ケーブルか何かがエヴァの足に引っ掛かったか何かしたようだ。
その隙に触手が足に絡みつき投げ飛ばされる。
あれって切れるわけじゃなく本当のムチみたいに叩くものなんだね。
警戒して損したよ。
背中から着地。

「くぅぅぅぅ。」

結構効く。
不意にブザーが鳴る。
何?どこか致命的なダメージを受けたの?

『シンジ君のクラスメート!?』

『なぜこんなところに!?』

『シンジ君!!』

使徒との距離は詰まってきている。
ちらっと確認する。
えっと、相田と鈴原?
シェルターには行かなかったんだ。
やるね、この二人には警告をしておいた。
このまま死んでもこの二人は本望だろう。

「どうするんですか?見捨てますか?助けますか?」

『早く起きて!』

「間違って踏み潰しても責任はとりませんからあしからず。」

もちろん、わざと踏み潰そうと動く。

『ちょっと待った!仕方ない・・・・・・!シンジ君!二人をエントリープラグに乗せて!』

ち!行動を読まれた。
さっきも僕の心を読んでたし、結構やり手なのかもね。

『葛城一尉!許可の無い人間をエントリープラグに乗せるなんて誰が許可したの!』
『私が許可します』

「了解。」

僕としても踏み潰したほうがあとあとおもs・・・都合がいいんだけどね。
葛城さんは僕の望まないほうへと導きたがるね。

『越権行為よ!葛城一尉』

コックピットを乗せられる状態にして二人に声をかける。

「そこの二人!邪魔だから早く乗って!」

二人がよじ登ってくる間、攻撃がこなければいいんだけど・・・・・・
そうそう、上手くはいかないか。
ムチが振るわれたので掴む。
我ながらすばらしい反射神経だと少し感心してしまった。
掴んでいる手が痛い。
どうやら焼けているみたいだね。
水音が二つ。

「なんやこれ・・水やないか!」

「カ・・・カメラが!」

二人とも、よく登ってこれたな。

「て、転校生!」

「やあ、でもちょっと待って、気が散るから。」

「なんでオマエが操縦しとんねん!」

「おさえろ!」

『シンジ君!後退して!』

「了解しました。回収場所は?」

『後ろの山を越えたところにリフトがあるわそこで高速回収します。』

使徒を蹴り飛ばして間合いをつくって、かんぱついれずに一足飛びで山を飛び越えいわれた場所へ移動する。

『異物を二つも入れて変動しないなんて!なんていう子なの?』

リフトが降下される。
一旦休憩っと。





「オマエパイロットちゃういったやろ!」

「真実だよ。」

「碇、実際に操縦していてそれはないんじゃないか?」

「パイロットとしてじゃなく、協力者として乗ってるんだよ。」

雇われたから今はパイロットかな?

「前の巨人の時は乗ったのか?」

「乗せられた。しかも気絶させられた。」

「オマエが暴れとったんか!」

「記憶にない。」

「アホか!」

「ちょっと待てよ!」

相田が話しに間を作った。

「気絶させられた?攻撃されてしたんじゃなくてか?」

「このコックピットには電気ショックがついてるんじゃなかいかな。たぶん、パイロットが心臓停止したら使えるように、それを正常な時に使われたんだね。」

「パイロットの邪魔してどうするんだよ!」

「知らないよ。続きはネルフの人に聞いたら?着いたよ。降りなよ。」

「ちょっとまたんかい!」

「出ろ!時間がないんだ!」

「碇、怒鳴ることないだろう?」

「くそ!後で話し聞かせてもらうで!」

「だから、それはネルフの人に聞いてよ。」

『シンジ君のクラスメート!早く出てきなさい!!』

怒鳴らないでください。
耳が痛いです。
しぶしぶといった感じで二人はコックピットを出て行った。

『使徒がジオフロントに潜入!!』

『何ですって!?』

『さっきの回収に使ったリフトを壊されて潜入されました!』

使徒というのはかなり知恵がまわるらしい。

「早いとこ出撃させてください。向かい打ちます。」

『わかったわ。エヴァンゲリオン初号機!発進!!』





後ろにはピラミッド。前には使徒・・・・・まずはピラミッドから離れないと。

『パレットガンで一斉射撃!』

銃をフルオート発射する。
爆煙で使徒が見えなくなってしまった。

『馬鹿!爆煙で敵がみえない!!』

「あんたの指示通り動いただけだ!」

同じ指示して、同じ失敗するような人に馬鹿にされる覚えはない!
煙の中からのムチの攻撃をパレットガンを引き裂かせる。
どうせ効かないしこっちが不利になるだけの銃などいらない!
肩のナイフを装備する。
一気に決めてやる!

(ラグランジュ起動。知覚倍率を3倍、運動能力を2倍に設定)

『しょ〜〜、初〜〜〜号〜〜〜機〜〜〜、プ〜〜〜ロ〜〜〜〜グ〜〜〜〜レ〜〜〜ッ〜〜〜シ〜〜〜ブ〜〜〜ナ〜〜〜イ〜〜〜フ〜〜〜を〜〜〜装〜〜〜備〜〜〜し〜〜〜ま〜〜〜し〜〜〜た〜〜〜。』

『ちょ〜〜〜っ〜〜〜と〜〜〜シ〜〜〜ン〜〜〜〜ジ〜〜〜君〜〜〜〜。あ〜〜〜な〜〜〜た〜〜〜な〜〜〜に〜〜〜を〜〜〜し〜〜〜よ〜〜〜と〜〜〜』

会話がスローに聞こえる。が気にしてる暇はない。
触手をナイフで切り払う。
反応速度があがっていても早いものははやい、集中しなければならない。
ナイフは使いやすい僕にあってる。
もうムチの攻撃は効かないだろう。
エヴァは考えると動く、ならば3倍の思考能力があれば3倍で動くはず。
読みどおり普通の感覚で動く、使徒はスローモーションに見えているのに・・・・だ。
ナイフで下から切り上げる。
使徒がナイフの長さの分だけ裂けていく。
ナイフは衝撃に耐えられなかったのか刃が根っこから折れてしまいそのままジオフロントの天井に突き刺さっていた。

『目〜〜標〜〜完〜〜全〜〜に〜〜沈〜〜黙〜〜』

(ラグランジュ終了)

終わったか・・・・・・・・・・・・・
走りまわったせいで疲労が溜まっている。
帰ったらゆっくり寝ないとね。






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