07
地下避難所に僕たちは避難していた。
クラスメートたちは僕をみて、怪訝な顔をしている。
僕の顔になにかついてるのかな?予想はつくがあえて無視する方向にもっていく。
しばらくたって、眼鏡くん・・・・ケンスケが膝立ちで僕に近づくと口を開いた。
「なあ、碇。非常事態ってまたこの間と同じ使徒だよな?」
「使徒って名前よくしってるね。あ、そうか、お父さんがネルフの人だもんね、多分そうなんじゃないかな?」
「だったら・・・」
僕の答えにさらにケンスケがなにか言いかけるがそこへ、トウジが後ろからケンスケをおしのけた。
「やったら、なに、こんなとこでボーっとしとんのや!さっさとロボットんとこ、行かんかい!!」
ロボットって?あれはあくまで人間だよ?赤木さんが人造人間っていってたし。
「そうだよ、エヴァに乗らなきゃなんないんだろ?」
「なんでさ?」
さっぱり理由がわからないというふうに答える。予想はつくがそうでないほうが望ましい。
「なんでって、オマエあんロボットのパイロットやろが!」
「だから、僕はパイロットじゃないっていってるだろ。」
「なんやて?」
トウジが怪訝そうな顔をする。
つまらない。不合格。減点2。
「ちょっと、まてよ。だって、さっきはエヴァに乗ったって言ってただろ?」
やれやれ、説明が必要のようだ。
「乗ったけど、僕はパイロットじゃない。パイロットになった憶えなんかないよ。」
クラスメート達が混乱しているようだ。
さっきパイロットじゃないっていったろうに。
「ちょー待たんかい!なんでパイロットやあらせん奴がロボット乗っとたんや?」
「頼まれたからだよ。」
端的に答える。
気分を憂鬱モードに移行って声が聞こえてきそう。
「んな、無茶な話があるかい!転校生!人なめんのも大概にせえよ!!」
トウジが怒りだして立ち上がる。
「ちょっと待てよ、トウジ。碇、俺データを見てるっていったろ。だから知ってるんだぜ。あのエヴァって、適格者ってのじゃないと乗れないんだってな?」
「なにそのテキカクシャって?」
「なんやケンスケ、そのテキカクシャちゅーんは?」
トウジと同じ質問を同じタイミングでしてしまった。
ちょっと気分低下。
「碇も知らないのか。うーん、よくわかんないんだけどとにかくその適格者じゃないとエヴァは動かせないらしいんだ。」
だから僕を無理にでも乗せようとしてたわけか。
別に年齢制限があるとか身長とかってわけじゃないんだ。
「それでその適格者って世界でも3人しか見つかってないらしいじゃないか?お前が乗らなきゃ誰が乗るんだ?」
三人。だからサード。なるほど、謎の一端は見えたわけだ。
「レイが乗るんでしょ?メインパイロットは彼女だし。」
「「「「「は・・・?」」」」」
思わぬ名前を聞いたのか会話に加わってなかったみんなまで沈黙状態におちいった。
結構耳たててるんだな。
「って、綾波だってー!!?」
「うそだろ・・・」
「それであんな怪我してたのか・・・」
「すげー」
「綾波さんがパイロット・・・」
一瞬の後、周りで聞いていたクラスメートたちが騒ぎ出した。
そんななかトウジは僕に近づくと胸座をつかみ立ち上がらせる。
「転校生!!オンドリャ、女に戦わせて恥ずかしゅーないんか?!このドアホ!!」
「そういう、君はどうなの?」
「ワシかてあのエヴァとかゆー奴に乗れるんやったら戦うわい!せやけど乗れへん以上しゃーないやろが!」
戦わない理由が仕方がない?これはまたやる気ない返事。
「なんで、エヴァに乗れないと戦えないの?」
僕は胸を掴んだトウジの手をはじきながら言った。
「なんでって、あんなデカイ敵相手にどないせーっちゅーんや?!」
「いろいろあるよ?殴るとか蹴るとか物を投げつけるとかさ。」
「あんなもん殴れるわけないやろが!」
「ふーん、僕は殴れるけど、自分よりも完全に強いと思う相手には手が出せないんだ?」
人間なんてそんなものだとわかってるんだけどね。不満のぶつけるところは常に上じゃなく下だから。
「くっ、今はそんなこと言うとんちゃうやろ!なんでオマエが戦わんのか聞いとんじゃ!」
「戦いたくないからだよ。プライドにかけて自分を貫く。だからだよ。」
「女に戦わせてプライドか?後ろで見とるなんぞ男のするこっちゃないと思わへんのか!」
「思わないね。彼女は訓練を受けてきたプロだよ?普通の格闘技ならともかく操縦っていう経験がいることにかけては男も女もなくうまいやつがうまい。それだけ!それに君も女に戦わせて後ろで見てるじゃないか。」
僕の言葉に拳を握り締めうつむくトウジ。
ほかのクラスメートたちは僕を責めるような目で見始めていた。
クラスを敵にまわしちゃったな。
先ほどからトウジの勢いに何も言えなかったケンスケが立ち上がりシンジに近づいた。
「なあ、聞きたいんだけど綾波で使徒に勝てるのか?あいつ怪我してるんだぜ?」
確かに包帯してたし、眼帯もつけてたし重傷にみえた・・・・でもNERVなら乗せるでしょう。
「さあね。勝てるかどうかはやってみないとわからないでしょ?」
「わからないって、勝てないかもしれないのか?」
当たり前だ。
絶対に勝てる戦いなんて存在しない。
どんなに低い確率でも負ける確率はあるし、死ぬ可能性も含んでいるんだから。
僕が乗ったって確実に勝てるというものでもない。
「そういってるの。エヴァに乗れば確実に勝てるってものじゃないからね。」
「それだったら、なおさらこんなとこにいる場合じゃないんじゃないか?」
「なぜ?言ったろ?あのコはプロ。前は重症で僕がピンチヒッターをしたけど今回は治ってきてる。操縦する分には大丈夫でしょう。」
その答えにトウジがキレた。
僕はとっさに身構えて蹴りを繰り出す。
「こんドアホがー!!」
僕に殴りかかったトウジだったがそれより早く僕が蹴りがトウジの腹にヒットする。
予想的中♪
おもわず膝をつくトウジ。
結構きいてるみたいだね。
「おしかったけど、もう殴られる気はないんだよ。」
「おいトウジ、大丈夫か?」
トウジにケンスケが駆け寄る。
「ゲホゲホゲホ。グッ。」
ケンスケは大丈夫そうだとみるやいなや。
「世界を守るエヴァのパイロット!うらやましいよ!なんでいかないのさ?」
「頼んででも戦えって?嫌だね。僕は気分屋でね。あんな連中の下で働くのはごめんだね。」
クラスメート達は僕を嫌悪感あふれる目で見ている。
完全に立ち上がったトウジは拳を握って、僕に向かい構える。
「説得できなきゃ殴るか・・・馬鹿の一つ覚えだね。まあ、戦ったら戦ったで殴るんだよねぇ。」
踏み込みかけたトウジだったが僕の嫌味たっぷりな言葉に足がとまり構えた拳が下がる。
「・・・ワシのせいか・・・・?」
「違うよ。僕のプライドの問題だよ。」
そう、人の意見では動かずに自分の思ったとおりに行動する。それが僕のプライド。
「最低!!」
「みそこなったぜ・・・・」
「弱虫。」
「しんじらんない。」
そんな声が上がる中ジャケットの左胸にNERVと書いた男二人が入ってきた。
来たか。案外遅かったな。
「碇シンジ君だね?」
「たぶんね。」
まだ記憶喪失なので確信はなかったりする。
「我々はネルフ保安諜報部のものだ。保安条例第8項適用により君を本部まで連行する。いいね?」
これまた高圧的にこれは仕事だって感じで言ってくる。子飼の者ならいざしらず、他人、しかも、エヴァに乗ってくれって頼むであろう側の態度ではないな。
「嫌です。お断りします。出直してください。」
「君に拒否権は認められてない。おい。」
もう一人の男に右腕をつかまれた。抵抗すると右腕をひねり上げられた。
痛い。こんの!
(I-ブレイン起動。ラグランジュ起動。知覚倍率を3倍、運動能力を2倍に設定)
ひねられてる右腕を強引に振り上げる。
それだけで男は右に飛んでいった。
バランスを崩してころがっていったという表現のほうがあっているか。
もう一人の男のほうへ走り出しとび蹴りを放つ。
空気の抵抗がはっきりと感じられ息がしにくく動きづらい。
それでもふいをつけたのか男は微動だにもせず、最初の人と違って力だけじゃなくスピードも合わさるのでかなりの威力をもたすことができ、正真正銘ふっとんだ。
クラスメート達もびっくりしている。
僕もびっくりしている。こんなことができるとは思ってもいなかった。
(ラグランジュ終了)
そして最初に倒した人のほうを向いて言い放つ。
「出直してきてください。」
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