04






全てのものがうつろに感じる。
やはり記憶がないからなのか?
エヴァという巨人に乗った後遺症なのか?
それでも意識は記憶の断片を集めようとしている・・・・
これから僕は僕自身を・・・・・
思い出すのか?
創り出すのか?




なんか夢をみたようなきがする・・・・・・・・・
見覚えのない部屋をゆっくりと見渡す。
すっきりしない目覚めだな・・・・・・・・
起き上がって着替える。
さて、今日は何をしよう?





ネルフ本部内の食堂で僕は定食を食べて自分にあてがわれた部屋に帰ってきていた。
食堂に人があまりいなかくて助かったけど、職員のみんなが使わなくて何のための食堂だよ。
しかし、なぜ部屋なんかに戻ってきたかというと実は外に出ようとしたら出れなかった。
出方がわからない以上ココからでられないからとりあえずここにもどってきたんだけど・・・・
僕が食事をおわらせ、部屋で昼寝でもしようかとおもっていると、インターフォンがなった。

「シンジ君、いる?」

脱出作戦は一応、決行してたんだよ。

「ええ、外に出ようとして失敗してこんなところにいるシンジですけど、何かご用ですか?」

「家まで送ってあげようと思ってね。ほら、シンジ君まだこの町詳しくないでしょう?」

葛城さんはニコニコと上辺だけの笑顔で案内役をかってでる。
上辺だけって見抜かれないわけないでしょ?ちゃんとできてるつもりなのかな? それともこれが本物?

「家?家って?そんなのあったんですか?」

急に呼び出されてきたんじゃ・・・・だから、住むとこなんかないからこんなとこで缶詰になってるんじゃないの?

「まさかお父さんと一緒に住むんですか?」

「違うわよ。ここは安全だけどこんな地下じゃあ気が参るでしょ?だから地上に住居用意したの。」

「ああ、どうもありがとうございます。でも・・・また迷ったりしないでくださいね?」

「ぐ・・・・・・・・・大丈夫よ。シンジ君の部屋ってあたしの部屋の隣りだから。」

「昨日は勤め先の筈のココで迷ってましたよね?」

「ははは・・・いや、大丈夫だってば。」

僕に昨日、本部内で迷ったことを指摘され葛城さんはあわてた。
この人、方向音痴じゃないよね?

「そうですか。」

「それじゃ、いきましょ。」

葛城さんは車のアクセルを吹かしながら助手席の僕に話し掛けた。

「シンジ君、ちょっと、病院によってもいいかな?」

「病院?なぜですか?」

「レイのお見舞いにいきたいのよ。できればシンジ君にも一緒にいってほしいんだけど・・・」

「レイって?ああ、あの重症のかわいそうな女の子・・・。別にいいですよ。」

あのあとちゃんと治療してもらったんだ。
人格はともかくネルフの医療技術は最高峰らしいから、大丈夫だよね?
自分で最高っていってる時点で駄目な病院に決定ですか?
それにしても、、、、この人の運転激しすぎる。





葛城さんが病室をノックすると返事もまたずドアを開ける。

「レイ。お見舞いにきたわよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

続けて僕も病室に入る。
病室のベットに寝ていた薄い青色の髪に赤い瞳をした少女、レイが体をおこして僕らを無言で観察していた。

「レイ、調子はどう?傷が痛んだりしてない?」

「問題ありません。」 

葛城さんの質問にレイは淡々と答える。
感情がないわけじゃないだろうけど、ひどく希薄な印象だ。

「あ、そうだ、紹介するわ。この子はサードチルドレン 碇 シンジ君。昨日、レイのかわりに初号機に 乗ってくれた男の子よ。シンジ君、この娘がファーストチルドレン 綾波 レイよ。」

葛城さんが僕とレイの紹介する。

「葛城さん。僕はサードチルドレンなんてものになった覚えはありませんよ。だいたいそれって何なんですか?」

「あ〜、えっと〜、その〜、チルドレンっていうのはエヴァのパイロットのコードネームみたいなものなの」

訂正する僕に葛城さんは説明してくださった。
じゃあ、ついてすぐこれがサードチルドレンっていってたってことは僕が乗ることはやっぱり決まってたことだったんだ。
ちょっと苛ついてきた。

「・・・碇?」

レイが呟く。

「そう、碇司令の息子さんよ。」

ほんとかどうかわからない、できるだけほんとじゃないほうがいいなぁ。
そんなことを考えてる僕をじっとみつめるレイ。
この子って、何を考えてるのか読めない。

「あ、そうだ、ちょっと電話かけてくるから、その間シンジ君、レイとお話でもしてて。」

そういって、返事もまたずにミサトは病室をでてしまった。
葛城さんがいなくなった病室でしばらくみつめあってしまった。
もっとも、見詰め合ってるというより、睨まれてそれをみてるという雰囲気だったけど。

「・・・あなた、碇司令の子供?」

飽きたのかそんな問いをしてくるレイ。
このコお父さんに反応してるみたいだ。

「まあ、一応そうだけど」

「・・・あなたはサードチルドレンではないの?」

「うん。僕は僕、それ以外の何者でもないからね。」

「・・・なぜ?」

なぜっていわれても・・・・・・・・・

「僕は僕である限りほかのものにはなれないからね。自分の意思で動く。人に勝手に決められるのは趣味じゃない。」

「あなた碇司令の子供でしょう?お父さんの仕事が信じられないの?」

「信じられないよ。」

即答する。
他人を信じれるほどまだ精神が安定しているわけじゃないんだ。
信じれるものは自分だけ、でも、その自分もあやふやなんだよね。

「私は信じるわ。」

きっぱりと怒りの感情が見て取れる。勝手に信じていればいい。
それにしてもこういう感情が出るところもあるんじゃないか、ちょっと安心したよ。
でも、同時に感情を知らずに生きてきたんじゃないか?という疑念ももった。

「そんな体で出撃命令だされても?」

「・・・ええ、わたしが信じるのは碇司令だけ・・・。」

「だから、エヴァンゲリオンに乗るの?」

「ええ、それが絆だから。」

このコは純粋で強い。
無知ゆえの強さを感じる。
僕は・・・・・・一人であるがゆえの強さを持っていたはずなんだ。
唐突の頭によぎった言葉。
記憶の断片か?
混乱していると、赤い目がこちらをじっとみていることに気がついた。

「そうか、その絆が大事ならせいぜい大切にすることだな。」

ついつい挑発てきなことを口走ってしまう。
ちょっとあせっていたようだ。
案の定怒りの感情を含んだ目でにらんでくる。
沈黙

「「・・・・・・・・・・・・・」」

「おまたせー・・・って・・・・・何なの?この空気は・・・・・・・・」

葛城さんがお互いにだまっている僕らをみて冷や汗をかいて入ってきた。

「えーと、レイ、シンジ君と仲良くしてあげてね。」

葛城さんなりに必死にフォローしようとしているんだろう。

「命令ならそうします。」

「無理して仲良くなんかしてほしくは無いよ。」

冷たいレイの返答に冷たく返す。
葛城さんはこめかみをおさえていた。
葛城さんは何かをたくらんでいた。それを壊してあげた♪
他人の作戦は失敗させるにかぎるね。
僕は内心ほくそえんでいた。
僕は部屋を出るとき、気になったことをレイに向かって聞いてみた。

「信じるのは指令だけってさ、自分のことも信じてないの?」

返事は返ってこないだろうからさっさと部屋からでる。

「なんのこと?」

「さあ?何のことだったんでしょうね?」

葛城さんは不思議そうな顔をしてはてなマークを五つは浮かべていた。






僕たちはレイのお見舞いをおえて、車で移動してコンビニに来ていた。

「う〜ん・・・・・これとこれと・・・・・・あとは・・・・・」

葛城さんがいろいろと食品をかごにいれている・・・・・・・・・が!ぜんぶレトルトだ。
この人と一緒に住むことにならなくてホント神に感謝したい気分です。

「ところで葛城さん。僕がすむ事になる家の台所って調理器具そろっているんでしょうか?」

「ん?大丈夫よ、いちおう、一通りの家具とか調理器具はそろえてあるはずだから。」

「そうですか。」

ま、自分で料理はしよう。
なんとなくでつくれるだろう。
できなかったときはそのときで出前でもとろう。
かなり、あいまいな気分で卵やら野菜やら調味料やらを適当にカゴにいれていく。

「お、シンジ君ってば料理できるの?」

「まあ、たぶん、葛城さんよりは・・・・、それより、さっきから、おつまみやレトルトばかり買ってるようですけど料理できないんですね?」

断定的に聞く。

「で、できるわよ、料理くらい。ただ、ちょっち今日は疲れたしたまにはいいかなって・・・・」

葛城さんは慌てて答えるが当然、全然料理はだめだといってるようにうろたえる。
やっぱり・・・・・お隣さんでも大丈夫かな?
おもわず気分が暗くなった。

買い物をおえ車に戻ると葛城さんが言った。

「シンジくん。ちょっとより道するわね。」

嫌だと思ったがじぶんではかえれないので第3新東京市を一望できる展望台につれていかれた。

「どこへいくんですか?」

「いいところよん。」

葛城さんがニヤニヤしながら答える。
展望台につくと葛城さんは腕時計をみた。

「ん、グッドタイミング、ちょうど時間ね。」

その言葉が終わると同時にサイレンが鳴り響く。
そして驚いたことに、地面の下からビルがはえてきた。

「どう?シンジ君。すごいでしょ。これが使徒迎撃要塞都市、第3新東京市、あなたが守った街よ・・・ 」

「迎撃都市っていっても隠れているだけだったら、非難都市って感じじゃないですか。」

戦闘では援護を一撃もしてくれなかった役立たずだし。
まぁ、戦いの邪魔にならないだけましか・・・・・・でも、昨日の戦闘のときにはビルはでてたよね?
横では僕の答えに不満なのか葛城さんがうなだれていた。






「マンションについたわよ」

そういうと僕を部屋へ案内してくれる葛城さん

「ここが今日からあなたの家よ。」

葛城さんはそういうと部屋に入ってくるりと振り返った。

「おかえりなさい。」

唐突にそんなことを言われても・・・・・・えっとぉ、状況を整理してみよう。
ミサトさんが部屋の中にいてそこでお帰りといっている。
つまり僕を出迎えてるんだよね・・・・・ということは一緒に住むってこと?他人と?
そこまで考えたときにはもう走り出していた。
もちろん逃亡するために!
それはもう全力で走った・・・・・が!なぜか捕まってしまった。
なぜに?WHY?
僕ってそんなに足が遅いの?

「そういう反応にでると思ったわ。あなたの部屋は私の部屋の隣よ。これが部屋の鍵。」

葛城さんの顔を凝視する・・・・・嘘は言ってないようだ。

「それを先に言ってくださいよ。」

僕は鍵をひったくって部屋にはいって鍵をしめた。
食材の整理をしたらすぐに僕は寝床についた。
まだ疲れが抜け切っていない。
昨日の戦闘の疲れではないはずだ。
最初・・・・・僕が覚えてるときにはもう疲労がたまっていたのだ。
眠りに落ちているときに、チャイムが聞こえてきたが睡魔に逆らわずにそのまま眠りにおちた。





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