03





エントリープラグというエヴァの操縦室に入り僕は目を閉じ座っている。
そしてエヴァ初号機の発進準備が着々進められていく。

「停止信号プラグ排出終了。」

「了解、エントリープラグ挿入。」

「プラグ固定。終了。」

「第一次接続開始。」

「エントリープラグ注水。」

金髪オバさん・・・・赤木さんの話だと考えたら動くという扱いやすいのか扱いにくいのかよくわからない代物らしい。
武器は左肩にナイフ、右肩にニードルというのが装備されているらしい。
ほかの装備は完成していないそうだ。
なんとも貧弱な兵器・・・・・・・・って!

「なんですか?この水!水責めの刑????」

赤だか黄色だかの水がエントリープラグ内を浸していく。

『LCLよ。肺がLCLで満たされれば直接血液に酸素を取り込んでくれるわ』

「さっきの時に説明しといてくださいよ。」

かなりあせったよ。
見る見る間にLCLでエントリープラグ内が浸っていく。
・・・・血の味がする。
なぜだろう。懐かしい・・・・・・・・

(接続プログラム発見リンク開始)

え?リンク?レジェンドオブゼルダ?

『主電源接続』

『全回路動力伝達』

『了解』

『第ニ次コンタクトに入ります。A10神経接続異常なし』

『思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス』

『初期コンタクト問題なし』

『双方向回線開きます』

『初号機、起動』

『シンクロ率91.7%』

『なんですって?ドイツのセカンドですらまだ80%にも満たないのに・・・』

赤木さんの困惑した声が聞こえる。
セカンド・・・・お姉さん?

『ハーモニスク、全て正常位置。暴走、ありません』

『よし、いける!発進準備!』

『第一ロックボルト外せ』

『解除確認』

『アンビリカルブリッチ移動開始』

『第2ロックボルト外せ』

『第一拘束具を除去』

『同じく第二拘束具を除去』

『1番から15番までの安全装置を解除』

『内部電源充電完了』

『内部用コンセント異常なし』

『了解。エヴァ初号機射出口へ』

『進路クリア。オールグリーン』

『発進準備完了』

『・・・・・・構いませんね?』

葛城さんがお父さんの方に確認をとっている。

『もちろんだ。使徒を倒さない限り我々に未来はない』

『発進!!』

葛城さんの号令と共に物凄い勢いで射出される。
すさまじいGが体を襲う。
はっきりいってきつい!
そんな感想を持っている僕を乗せて機体は一気に地上まであがる。
目に前に敵・・・・使徒と呼ばれるものがいる・・・・・

『最終安全装置解除!エヴァンゲリオン初号機リフトオフ!』

何を悠長なことをしてるんだろう?もっと間合いがほしいとこなのだが・・・・
ほら、なにやら警戒してるし・・・・・

『シンジ君、今は歩くことだけ考えて。』

何をのんきな!!!

「はい・・・・・・」

感情をおくびにもださずに歩いてみる。実際には体を動かさずに感覚で動かす感じ・・・・

『歩いた!』

向こうの空間から歓声が聞こえてくる。
感動してる暇はないだろ!
使徒が間抜けなことをしているこちらに飛び掛ってくる。
左腕をつかまれた。痛い。

「ぐぅ。」

『シンジ君!痛いのはあなたの腕じゃないの!』

「うるさい!だまれ!」

いい加減うっとうしい!

「貴様もはなせ!!!」

右腕で使徒を薙ぐ。
それだけで使徒の上半身がなくなった。

『初号機からATフィールドを感知!』

『なんですって!』

使徒の残った下半身を地面に埋め込むように腕を振り下ろす。

「沈め!!!」

何かがつぶれていく手ごたえ。
振り下ろした跡にはエヴァの肩幅くらいのクレーターが残っていた。

「はああああ・・・・・・・・やったのか?」

『し、使徒、沈黙・・・しました』

かなり緊張していたらしい、一気に体から力が抜けていくのを感じる。

「・・・・・・・どうやって戻るんですか?」

僕は・・・・・・これからどうしようかな?









無事に回収されたあとシャワーを浴びおえた僕の前に葛城さんと赤木さんがやってきた。

「シンジ君、ごくろうさま。」

「どうも。」

なぜかにこやかな葛城さん。こっちの気分は最悪です。

「シンジ君、精密検査をするからついてきてもらえる?」

「おことわりします。」

赤木さんの言葉を速攻できりかえす。
いやなんだよね実際。

「なぜ、なにか調べられるとまずいことでもあるの?」

「ええ、困りますね。すっごく」

すぐさま肯定する僕に赤木さんがものすごく不満そうな視線を向ける。

「体に異常がないか調べる意味でも受けてくれないかしら?」

だからいやなんだってば。

「ここの医者が嫌なんですよね・・・」

「嫌って・・・・・・・・・ネルフの技術は世界でも最高峰なのよ。」

「技術的にどうのこうのじゃなくてですね。重傷の患者の出撃を許可できる医者にみてもらえと?」

赤木さんが僕を実験動物を見る目で僕を観察している。
僕の反論もあまりきいてはいないようだ。

「・・・・・」

横で話を聞いていた葛城さんは顔をそむけて苦渋の色を見せる。
一応大人の自覚はあるようだ。

「精密検査っていってモルモット扱いされるのは嫌ですよ。」

どうせモルモット不足なんだろうからね。

「・・・エヴァにのった事で体に異常が発生してるかもしれないのよ。」

「異常があったら自分でなんとかしますよ。それより異常な医者のほうが僕は恐いですよ。」

ほんとに何されるかわかったものじゃない。麻薬づけされないともかぎらない。

「・・・わかったわ、それじゃあ精密検査はおいておくとしていくつか質問させてもらっていい?」

「別にいいですよ。」

僕に何を聞きたいんだろ?記憶喪失の身だから知らないことが多いんですけど?

「そう。ならエヴァを見たときに驚いてなかったわね?なぜ?」

思い出してみる・・・・・確かに驚いてはいなかったかな?

「なぜ・・・・・か。」

「普通は大質量の物体を見ると圧倒されておびえに似た感情が出るものなのよ。」

あの時の演出はそれが狙いですか。

「よくわかりませんけど、なぜか慣れてるんですよ。」

「慣れてる?なぜ?」

「わかりませんよ。」

記憶が無いんだし。
それより知りたいことってこんなもの?
なにか警戒してるような・・・・・危険視されてるのかな?

「次にゲージで瞬間移動みたいなことをしたわね?どうやったの?あれは何?」

そんなこと僕が知りたい。

「知りません。」

「瞬間移動したって自覚はあるのね?」

ここはとぼけとくが吉かな?

「何のことです?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

しばしの沈黙

「まあいいわ、では次、はじめて乗るエヴァをどうしてあれほど動かせたの?」

「どうして?って考えれば動くって言ったじゃないですか。動かし方教えてくれたのって、あなたですよ。」

「・・・・・」

僕の答えを聞きながら持っていた書類になにかを書き込んでいく赤木さん。
このパターンだと意味の無いお絵かきをしてるってところだろう。
しかし、あれは理論上で実際にそれで動くかどうかわからなかったとか?
もうこれ以上関わらないほうが激しく僕のためだよね。

「あの、もういいですか。疲れたんでやすみたいんですけど?」

「そうねー、今日はイロイロあって疲れたでしょうしね。本部にあなた用の個室を用意したそうだから送っていくわ。」

「はい、お願いします。」

にこやかに言う葛城さんにさわやかに返事をする僕。

「あ、お父さんと一緒のほうがよかった?」

「いえ、お父さんと一緒だと。落ち着かないでしょうから個室のほうがいいです。」







狭いけど、一人になれる空間・・・・・・・・見張られてるだろうけど、それを無視すれば気楽だ。
今日はいろいろあったなぁ、しかも疲れることが・・・・・・
どんどん意識が遠のいていく。
心地よい闇に意識を沈めていく。

(I-ブレイン停止)

そういえば、I-ブレインって何?
そんな疑問が思い浮かんだがすぐに僕は眠りについた。




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