02
うんともすんともしない扉のまえで僕は足止めをくらっていた僕は金髪オバさんに声をかけた。
「あの、ドアになぜか鍵がかかっていて帰れないんですけど?」
そう、さっきまで確かに開いていたじゃないか!
「今忙しいの、後にして!」
金髪オバさんが即答してくれた。うれしさのあまり涙がでるよ。(ぐすん)
それより葛城ミサトさんが僕のほうを黙って見ている。
あの人仕事とかないのかな?暇人?
僕がいるドアとは反対の壁のドアが開きストレッチャーを医師たちが押してきた。
初号機の近くまでストレッチャーを運ぶと立ち去る医師達。
ストレッチャーの上には点滴をうけ右目に包帯を巻き右手もギプスに覆われたどうみても重傷患者にしかみえない少女が生贄のように乗せられていた。
うわぁ、痛そう。
起き上がるその少女の顔は間違いなく苦痛に歪んでいた。
それを見て、僕はかかわりたくない指数を急上昇させた。
「あの、今人が出てきたドアから帰ってもいいですか?」
「駄目よ。ネルフ本部内は許可のない人物がうろついていい所ではないの。」
僕は医師達が出たドアに近づいて尋ねたが金髪オバさんにあっさり拒否される。
・・・・・・ならなんで僕はここに連れ込まれたんだろう?許可が下りたからじゃないの?しかたなくその辺をうろうろして僕が初号機の前にきた時、いきなり轟音とともに激しい揺れが来た。
あ、鉄骨が襲い掛かってくる。
「危ない!」
葛城ミサトさんが叫ぶが。僕にどうしろと?
(光速度、万有引力、プランク定数、取得。自己領域展開)
え?頭の中になにか声がしたような・・・・・・・
あれ?鉄骨が空中に止まってる・・・・その他の人たちもとまってる・・・・手品?
そう、まるで時が止まっているかのようにぴくりともしない。
まぁいいや、とりあえず回避しておこう。
ついでに落ちかけてるこの子をゆっくり地面に・・・・
ドサッ
「うっ」
僕の2メートルほど手前で急に動き出して地面に落ちる女の子。
あれ?到着する前におちちゃった。
ちょっと気まずい。
見なかったことにしよう♪
そのあと僕が安全だろう場所まで移動すると再び声がした。
(自己領域展開限界、3600秒間、魔法使用不可)
魔法?魔法だって?
周りが普通に動き始める。
魔法で時間をとめたってこと?
でも、時間をとめたのなら空気抵抗で僕も動けなくなるはずだよね?
そのへんはどうなんだろう?
さっきまで僕がいたところにのエヴァンゲリオンの右手が僕のいた場所を守るように鉄骨を弾き飛ばした。
破片が少し僕にあたってしまった。
もしかして、さっきの場所にいたら無傷だったんじゃないのかな?
「まさか?!ありえないわ!エントリープラグも挿入してないのよ!動く筈ないわ!!」
信じられないとばかりに叫ぶ金髪オバさん、僕の移動に驚いてるんじゃないみたいだ。
きっと、この世ではあまり珍しいことではないんだろう。
「インターフェースもなしに反応している?!というより守ったの?彼を・・・いける!!って、あれ?」
葛城ミサトさんはやっと僕が鉄骨の下・・・・というかエヴァンゲリオンの手の下にいないことに気づいたようだ。
・・・・ということはなんだろう?瞬間移動は普通じゃないってことかな?
「あれ?いつの間に移動したの?」
「さあ?」
僕もあんまりよくわかってないからそんなことを聞かないでほしい。
I-ブレインって何?ってきいてもたぶんわからないだろうしなぁ。
「まあ、いいわ、シンジ君、のりなさい。」
って、いいんかい!!!しかも乗れって・・・この場合エヴァンゲリオンってのに乗れってことだよねやっぱり。
なら、僕の答えは決まっている。
「嫌です。」
「シンジくん、駄目よ、逃げちゃ。お父さんから何より自分から。」
真剣な眼差しで葛城ミサトさんが言ってくる。
なぜにお父さんが出てくる(汗)
「どこをどう理解したら逃げるってことになるのわかりませんけど乗りません。」
逃げる状況なのだろうか?それとも挑発?乗らないのが一番だ。
しかし僕があっさり答えると。
「葛城一尉!人類の存亡をかけた戦いに臆病者は無要だ!」
いきなりお父さんが見下したように叫ぶ。
そこまで言う? しかもさっきまで何してたの?
「シンジくん、お父さんにあそこまでいわれて黙ってかえるつもり?それでいいの?」
「ええ、いいんですよ、弱い犬には咆えさせておけば。」
そう、いいたい人には言わせとけばいい。無視しておけば害はないのだから。
別に特別むかつくわけでもないしね。
「シンジ君、あなたが乗らなければ怪我をしたレイが、その娘が乗る事になるのよ!自分を情けないと恥ずかしいと思わないの?!」
「素人を乗せるくらいなら怪我しててもプロがやるのが普通です。僕が命令する立場でもそうするでしょう。だいたい!お父さんも命令をだしたし、ほかの人たちもそのための準備をしてるんでしょ?納得してないのはあなただけですよ。」
そう、確かにレイに書き換えてと金髪オバさんはいっていた。
僕を乗せる企みがあって、僕用にしていたものをレイ用にしているってことだろう。
だとしたらもう僕には用はないはずだ。
「シンジ君、あな・・」
「ところで、あの女の子・・・レイっていうんでしたっけ?あの子助けなくていいんですか?苦しんでますよ。」
葛城ミサトさんの言葉をさえぎって言ってやる。
こんなとこで働いてる女の子。僕とあまり変わらない歳のようにみえるけど・・・・悲惨だね。
「世界の運命がかかってるのよ。みんな死んじゃうのよ。あなたもあなたの家族も友達もみんな!!」
なおも言葉をつむぐ葛城ミサトさん。
聞いてもいない。前の話からつながってもいないことを口走る。
女の子は無視かい?
「なら、なおさら素人には乗ってほしくないって言うのが本当なんじゃないですか?僕じゃなきゃいけないんじゃないみたいだし、それに、あなたですよ。ここに来たばかりの子に動かすのは無理だっていったのは!」
動かせないのに乗せるのはどうかと思うよ。
何か考えか企みがあるか動かせる素質でもいるのだろうか?
ドーーーーーーーーーン
また大きな揺れが襲う。
「早く出さないでいいんですか?さっきよりも近い気がするんですけど?」
何をもたもたしてるんだろう?
書き換えって時間かかるのか、まだ僕を乗せる気でいるのかどちらかだな。
「レイじゃ、動かせないのよ!怪我してることもあるけど、もともとうまく動かせないのよ!!」
なにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いきなりシビアなことをいってくれるなぁ。
でも・・・・・・さっきも動いたことがないっていってたからあたりまえか。
・・・・・・・・・・・・あれ?でもさっき上で動かしてたよね?あれはなんだったの?
矛盾発生率が高いな、信じることはしないほうが身のためだね。
「でも、乗りません。」
「なんでよ!」
「態度が悪い。態度の悪い人って僕、嫌いなんです。」
やっぱり、これにつきるよなぁ、乗ってくださいとか、乗っていただけないでしょうか?とか下手てに出てればいいものを状況的にとか脅迫まがいのこととかで乗せられたくはない。
「じゃあ、乗ってくださいとかって言えばいいの?」
かなり怒った感じで質問してくる。
「はい、今ならお父さんが頭下げてそう言ってくれたら乗ってもいいですよ」
ねぇ、お父さん♪
僕はお父さんのほうを向いてニコっと笑ってみせる。
「なんで、指令限定なの?」
「だって、お父さんの企みっぽいし、ここの一番偉い人ってお父さんなんでしょ?だから♪」
「そんなことしたら部下にしめしがつかないでしょ?」
僕に説得を試みる無謀な葛城ミサトさん。
しめしがつかないって?だからだよ。
「他のことでなんとかならない?なんでもいいから!」
あらら、そう来たか・・・・まぁ、報酬あったら乗ってもいいか・・・・・・せっかくだから多めに言っておこうかな♪
「じゃあ、報酬で一億円とかだったらいいですよ。傭兵ならやってもいいですし。」
ま、出せないなら出せないでいいし、出すなら出すで儲けだね。
「そんなの足元見すぎよ!」
「いいわよ。その条件で。」
かなりビックリした。
葛城ミサトさんは反論してきたけど、金髪オバさんが条件をのんできた。
やっぱり作業はみせかけで僕を乗せるためにまってたようだ。
「ちょっと!いいの?」
「命がかかってるのよ?お金くらいいいじゃない。シンジ君説明するからこっちきて」
有無をいわさない迫力に押されたわけじゃない。
ただ、自分がだした条件を飲まれたから従うだけだ。
・・・・・・・乗ることになちゃった・・・・墓穴?
「はい。」
業務的に答えて僕は金髪オバさんのもとに歩いていった。
僕は・・・・・・何してるんだろう?
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