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平面図での「カマ継ぎ」と「追っかけ継ぎ」との形の違いは前ページの図4-15を参考にして、
それ以外に木口の高さHは腰掛けのカマだと材の半分を使い、
追っ掛けは材の高さHいっぱいを使います。


引張る面積をカマよりも更に大きくとっている事がわかると思います。
「追っかけ継ぎ」の仲間に「金輪継ぎ」「尻鋏継ぎ」があります。
いわゆる木造の本の継手表でみると、この3つの継手は違う種類のような記述になっていますが、これらは同じ継手の仲間です。使い方は違いますが‥‥。
追っ掛けは上から材を差し入れてテーパーを利用して繊維が突っ張りあいます。
金輪(尻鋏)は楔を差し込んで、材を両横に押すことでに繊維を突っ張らせます。
弛んできたら楔を打ち直せばまた締ります‥
ということは、緩むことがあるということです。
では、どう使い分けるのか?

追っ掛けは、上木を下木にはめる時にカケヤで叩いて落として行きます。作業上上の空間が必要になります。金輪は材を横からはめ込むことが出来ます。作業性が違うのです。
修理などで材を取替える時は金輪継ぎを使います。現場での作業性やを考えて追っかけか金輪を使い分けます。
緩む楔を打ち直すより、確実に上から荷重がかかっていれば外れない追っ掛けの方が横架物(桁・胴差)には向いています。
金輪継ぎは横架物の他に柱の根継ぎにも使われます。
ところで、耐力的に優れている「追っ掛け」よりも「カマ継ぎ」の方が主流に使われています。なぜなのでしょうか?
その一つは流通材の影響があります。
現在のマーケットフォーム(流通材の寸法)は国産材であれば、2m・3m・4mと6m物とそれ以上は特別な材になってしまいます。
普通に家を建てる場合は、この4mまでの材を主に使います。
追っかけ継ぎは、その継手を作る為に継手の長さを必要とします。
大体、梁セイの3倍が基準とされています。
例えば、
120×210の横架材であれば、継手長さは630必要であり、4mを2本使って継いだ長さは7.37mとなります。
120×300の横架材であれば、継手長さは900必要で、継いだ長さは7.1mとなります。
継手の位置はだいたい決まってますので、何処にでも継手の位置を持ってくるわけにもいきません。
そうこうして継手の手間賃をかけて作るよりも、6mの材をうまく使った方がよいという考えになります。それほどでもない所には継手の長さのいらないカマで‥‥となってしまうのです。

戦前関西で流通していた木材の寸法は、
7尺(≒2120)・10.5尺(≒3180)・14尺(≒4240)でした。
このちょっとの長さの違いが継手を作る為に必要な寸法をとることが難しくなってしまったのです。
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