006 大峰山(八経ヶ岳) 2000.05.04
001
5月4日午前8時。
我々3人(yukawa・oka・shige)は、
奈良吉野川の上流国道169号線を南下している。
すでに百名山の一つ「大台ヶ原山」を制覇して、
次なる「大峰山」を目指している。
002
国道309号線分岐。
何か看板が見えたが気にせず進む。
前に軽自動車が1台。
とりあえず付いていく・・・
また看板、
今度は読める・・・「通行止め?」
この先の『行者トンネル』の向こうが登山口。
しかしトンネルが補修工事のため通行できないみたいや。
しかしこの前を行く車の行方は?
・・・とにかく行けるとこまで行くか。
途中国道の路面コンディションは最悪やった。
落石やでこぼこ、
路肩の弱いところがあちこちにある。
しかし次第に高度を上げて行くとともに周りの景色が良くなってきた。
山をぐるりと巻いた所に『行者トンネル』はあった。
・・・やはり入り口はバリケードで閉ざされていた。
が、
道沿いに10数台の車が止まっている。
そのなかの1台からおっちゃんが1人出てきた。
「山に登るんやったら歩いてトンネルを抜けていき。」
ここの車は皆そうやって大峰に向かっているらしい。
トンネル片道15分がもれなく付いてきた。
003
ここでやめる気は毛頭ないので、
装備を整え9時前に出発。
真っ暗なトンネルを歩くのは生まれて始めて。
距離感もつかめず暗闇を手探りで進んだ。
暗闇に閉じ込められる恐怖を感じつつ何とか反対側にでた。
登山口は探すまでもなくそこにあった。
登山届けをかき9時15分登山開始。
尾根伝いに出るまでは恐ろしく登らされた。
初めてのshigeはスタートダッシュを決めていたが、
尾根に出るまでに息が上がってしまった。
okaは彼に現在位置と尾根までの所要時間を告げて進む。
shigeには試練は始まったばかりや。
こっちは以外と平気。
気候のせいもあるが、
okaに鍛えられたお陰かもしれんな。
004
尾根伝いになると、
傾斜はいったん緩くなり、
水平方向に山頂を目指す。
okaは高校生のときここを雨のなか20kgの荷物を担いで登ったらしい。
奴がサイボーグではないかという疑惑も、
うそではなさそうや。
再び傾斜がつきだした。
ん?
残雪も見え始めた。
登山道にも雪が覆い始め、
歩行も困難になってきた・・・ら、
11時建物が見えた。
「弥山小屋」
休憩や!
005
小屋を覗いてトイレを借りようと思ったが、
あいにく掃除中。
昼飯を食ってからもう一訪ねよう。
カップラーメンとおにぎり。
家で食べるとわびしいが、
ここではご馳走や。
shigeはかなり疲れた様子で、
食事も満足に取らない。
小屋の周りは雪も少なく草の上は気もちいい。
ついうとうとしてしもた。
<小屋の前>残雪があるとは思えない
後で小屋に行くと「まだ。」と言われ、
11時50分、
先に頂上制覇といくことにした。
006
小屋から最高点の八経ケ岳までは、
一度下ってまた登る。
下りにさしかかったところで八経ケ岳の姿がはっきりと見えた。
真正面から見るとやはり言葉に出来ない美しさやった。
途中、
木の皮を食べるシカから樹木を保護するネットを何度かくぐる。
自然保護の姿勢にも驚いたが、
こんな山奥までネットを運搬した労力にも感心した。
雪の残る登山道を登りようやく山頂(1915m)に到着。
やはり狭い山頂にひしめきあっていた。
譲り合いながら写真撮影。
<山頂>近畿最高峰制覇
周りを見渡す。
ここは近畿最高峰、
つまり見える山は全部低いっちゅうこと。
朝の大台ヶ原みたいに海までは見えないが、
やはり晴れるとこんなにも雄大なんやなぁ。
混雑してるから早々に下山。
007
行きと同じ時間(30分)かけて弥山小屋に到着。
小屋は・・・やはり閉まっている。
どうもトイレを使わせる気はないみたいや。
それやったら「使えません」って言うたらええのに・・・
気分悪ぅ。
外にいる人はみんな断わられて気分悪そうやった。
下まで我慢したろ。
当然記念にバッジなぞ買えるわけがない。
そうやったらさっさとここをたち去ろか。
13時下山開始。
下りは捻挫に気を付けながら岩を飛びつつ駆け足。
shigeはやはりペースダウンしているが、
担いで帰る訳にはいかないので、
自問自答しながら自力で下ってもらおう。
しかしokaは・・・元気や。
足に怪我をして直している途中のはずやのに、
デッドヒートや。
心無しか顔は嬉しそうに見える。
(これは奴の負けず嫌いに火が付いている証拠)
行きの急斜面を走りながら下る絵は、
傍から見ると絶対怖かったに違いない。
008
16時前、
登山口に戻る。
予定ならこちら側から下り、
天川村辺りで温泉につかる予定やったが、
またあの暗黒の「行者トンネル」を抜けなければ。
15分も暗闇を歩くと色々悪い方に考える。
トンネルが崩れるんちゃうか?
落し穴があって気が付けば1人足らんのとちゃうか?
後ろから人が来てるけどなんかされるんちゃうか?
・・・ほんま長い。
16時20分、
トンネルを出る。
車は無事(当り前か)。
するとトンネルのなかから爆音。
バイクがバリケードのすき間を抜けてやってきた。
いいアイデアかもしれんが、
内壁の剥落の補修やろうから、
下手すりゃ事故になるで・・・
009
帰り支度を整え出発。
何と新たな崖崩れがあったらしく、
先に帰った人達がのけておいてくれていた。
途中で温泉に寄って帰ろうと思ったら大渋滞。
なんでやろ・・・大台ヶ原や。
すごい台数の車が信号のない交差点から合流してくるからやった。
そこを過ぎ大迫ダムからわき道にそれ、
少し登ったところに入乃波温泉がある。
ひなびたところと思ったら大混雑。
またしてもあてが外れる。
しかし風呂に入れてさっぱりとした3人は、
空腹と相談しながら帰途についた。
ps
行者トンネルは夏には工事も終り開通するが、
駐車スペースは激減するはず。
登山口には数台のスペースしかなかった。
来た道を戻る必要はなくなるけどな。
■mail from "oka"<久々登場oka氏のコメント>
久しぶりにoka氏に何か書いてもらいました。
Happening is my friend !
やっぱりハプニングがないとおもしろくないと思ってしまう私は
山行計画を立てるときは
「無茶なスケジュール、無謀な計画、そして出来れば素人参加」
を心がけるようにしている。
その意味で今回、
山は全く初めてという友人shigeを
必死に口説き落とし参加させたのは大きかった。
抜群の運動神経をもつ彼は猛然とスタートダッシュをするのだが
15分後に大失速・・、かなり離れていたyukawaにあっさり抜かれる。
この絵に書いたような初心者ぶりといい、
疲労のため食欲がなくなってしまったことといい、
途中で見舞われた膝痛からくる悲壮感といい、
仲間内でまた飲みネタになるような、記憶に残る登山となった。
(しかし、彼は伊吹山参加のokadaと違い、
「もうやめたい、帰りたい」等の弱音は吐かなかった。
次回も誘えるかも・・)
しかし、今回のyukawa・・
膝痛のshigeを残しての狂ったようなラストスパート。
鬼そして無謀者と言わざるを得ない。
昨年大キレットを制覇して、ぶっ飛んでしまったか?
shigeのスタートダッシュとyukawaのラストスパートの
両方に嬉しがってつき合ってしまった私・・
負傷の癒えない右足首が次の日に
ずきずき痛んだのは言うまでもない。
だから、私はサイボーグでもアンドロイドでもないんやって!
彼はいま秘密基地で、
修理中に違いない。
そして、
さらにパワーアップして我々の前に立ちはだかるのは、
そう遠い日のことではないやろう。
update 2000.06.27
re-update 2007.03.25