002-2 御嶽#2 2000.08.26
000
1999年4月、
雪の残る御嶽山にスノーボードを担いで挑んだが、
自然の脅威に敗れ、
8合目までしか辿り着けなかった。
そして2000年、
リベンジのチャンスはやってきた。
しかも前回とは違ったルートを、
友人okaは企てていた。
001
8月25日、
土日利用で百名山制覇の約束をしたものの、
欲張りすぎてプランを絞れないでいた。
結局土曜日御嶽登頂、
下山した時のコンディションで次を決めることにして出発した。
滋賀県のoka邸を22時頃出発。
名神高速を小牧で降り、
国道41号線を北上し飛騨小阪から県道をひたすら山中に進む。
26日午前3時濁河(にごりご)温泉郷着。
ものすごい山道のせいか少し車に酔っていた。
3時30分、
酔いと眠気の混じった体を引きずり登山口を出発。
もちろん真っ暗やからヘッドライトが頼り。
002
前回の田の原からのルートが本ルートなら、
今回の濁河温泉からは裏ルートになる。
ウッドデッキと言えば聞こえが良いが、
無造作に切った木切れを並べてある道を無心で登る。
まだ笑ってるのは「やせがまん」
平らでないので足元がやや不安定。
おまけにヘッドライトに蝶や蛾が集まって不快感は高まる。
okaは蛾が大の苦手やから、
今恐怖のどん底におるんやろう。
と思っていたら、
小さい蛾が口に入って一回パニックになった。
5時「お助け水」のある2400m付近で森林限界を超える。
(水は枯れていて汲めなかった)
空も白みはじめて周りの景色が見え始める。
はるか眼下に温泉郷が小さく見えた。
いいペースで来れたとお互い驚いた。
003
しかし周りが開けてくるに従い、
体が重くなってきた。
睡眠不足で麻痺した体を無理やり引っ張ってきたツケが回ったのか、
ペースが急激に落ちた。
自分だけかと焦ったが、
okaもそうみたいやからちょっと気が楽や。
細かく休憩を取りつつ6時10分、
何とか飛騨山頂小屋(五の池前小屋)に到着した。
すばらしき雲海
ここ御嶽は信仰色が強く、
たくさんの石像や石碑や祠が建っている。
やっと尾根伝いに出たので東の表側を見下ろせる。
眼下に三の池の豊富な水面が見えた。
ピークに到達したので、
あとは尾根伝いの散策コースかと思いきや、
三の池に向かって下り、
直前で急登のえぐいコース展開や。
下りはまだしも登りでは驚くほど体が重くなっていた。
004
池からの登りを終えると先に避難小屋が見え、
たくさんの人がいた。
ツアーらしく皆同じ弁当を食べていた。
我等もここで食事にすることにした。
定番のカップラーメンや。
風が強く小さくなってしのぐ人達を横目に、
あったかいラーメンを食べるのは、
申し訳なくもあり、
快感でもあった。
小屋は閉まっていたがトイレは開放されていたので、
用を足して出発した。
前方に大きな広場のような「賽の河原」が広がり、
そのすぐ上に「二の池小屋(新・本館)」、
さらにその奥に目指す剣が峰が見えた。
(かなり遠そうや)
005
賽の河原から先の登りで、
また体が重くなった。
とにかくゆっくり進んだ。
喉が乾かないのがせめてもの救い。
近づく小屋に向かいマイペースで進んだ。
7時35分二の池本館(2910m)まで登り詰めると、
目の前に真っ青の二の池が広がる。
対岸に残雪。
水は冷たそうや。
この水の青さは透明度やなくてイオウか何かの毒素か?
とにかくこの高度で池があるのが不思議な感じやった。
ここで疲れも忘れて何枚も写真を撮ってはしゃぎ回った。
ほんまに青い二の池
池を右周りに目指すのと左回りに目指すのと、
2通りのルートがあるみたいやが、
帰りに左から下り来る予定やから、
右周りにアタック開始。
本ルートは新館からみたいで、
道なき斜面を登る。
休憩したにもかかわらず登りになると息が切れた。
明日の予定は今日のコンディション次第で決めるつもりやったから、
奥飛騨温泉から焼岳と乗鞍を制覇する案は却下しようと思った。
006
二の池からの斜面を登り切ると、
一の池をはさんで対岸の天辺に頂上が見えた。
登山道は池を右回りに迂回して続いていたが、
疲れはピークに達していたのでもう余計に歩きたない、
よう見ると一の池は枯渇していたので歩けそうや、
まっすぐ横切ってショートカットした。
池はすり鉢状やから最後にまた登りが待つことになるが、
最短距離やから真直ぐ歩き出した。
池に向かって下り、
平坦な池のあった所にさしかかったところで、
前を歩くokaの足がいきなり10cm位沈んだ。
枯れたとはいえ水分は残っているようで、
落ちている岩の上を選んで歩くようにした。
おまけに靴につく泥が「黄色」いので、
イオウの成分か何かがシミこんでるんやろう。
底無し沼やないことを祈りつつドキドキしながら横断した。
さあ頂上は目の前やけど、
急斜面をよじ登らされた。
8時20分剣ケ峰(3067m)着。
007
3000m単独峰やから眺望も最高で、
360°パノラマとはまさにこの事。
(多分)富士山や槍ヶ岳も見えた。
頂上にはかなりの人がいたので、
撮ってもらう人には不自由せんかった。
お決まりの証拠写真
頂上には「御嶽神社」とその社務所、
方位と見える山を示した案内板があり、
直下に小屋もあった。
すぐにバッジを買いにいきぼちぼち下り始める。
やはり下りだけやとまだ大丈夫やった。
一気に9合目覚明堂小屋で休憩。
続々と登ってくる。
携帯電話もつながるらしく、
こんなところで普通に電話をかけるヤツもいた。
ここから二の池小屋まではまた登り。
みるみる力が失せるのが分かった。
008
小刻みに登って小屋に戻る。
長く感じるがまだ午前中。
ここから賽の河原を抜けて避難小屋から飛騨頂上に戻るんやけど、
三の池手前まで下る「行き」のコースと、
まだ行ってない摩利支天山(2959m)の際まで登るコースがある。
帰りは摩利支天周りに決定、
近ければ山頂も極めてやろうと意気込む。
が強烈な登りと遥かな頂上に断念、
通過して先を急いだ。
(ほんまは時間をかけて楽しまなアカンねんけどな)
何とか飛騨頂上小屋に戻り下山道に入った。
okaと先頭を交代して前を歩く。
後ろから聞こえるokaの足音に心がはやるが、
いつもの「弾ける走り下山」は極力セーブした。
これをやると、
太腿とふくらはぎの疲れがハンパやないのと、
明日も何処かの山を登るはずやから、
筋肉に余計な負担はかけられへんのが理由。
森林限界までの下りは思ったより時間がかかったが、
それでも登りよりは早く下山出来、
12時濁河温泉着。
御岳登山はなんと午前中の出来事やった。
009
とにかく風呂に入って汗を流したい。
日本一高地の濁河の町営露天風呂に急行、
ほんまに露天の湯船につかって疲れを癒す・・・
はずが8月の昼間の外で風呂に入ると、
暑いのか熱いのか分からずボーッとしてしまう。
おまけに洗い場はなく水栓からは冷たい水しか出ん。
さっぱりはしたが疲れは???ってな具合。
空腹と睡魔が限界まで迫ってきたので、
山中から下界に降りて、
小坂(おさか)の道の駅に到着、
速攻定食をかっこみ駐車場で仮眠。
1〜2時間はおったが暑さのせいで眠れない。
仕方ないのでここをたち、
土産でも見ながら下呂温泉に向かい、
寝床を物色することにした。
■plus one... 下呂温泉
010
下呂温泉は日本三大湯と言われるだけあって、
大規模な温泉街やった。
okaに誘われるままに河原に車を停めると、
なんと河原に共同の野天風呂、
しかも側の橋から丸見え!!!
やはり入っているのは男だけや・・・
近くまで見に行くと看板に、
「水着着用は女性のみ」
とある。
かなり抵抗があったが服をぬいで風呂に入ることに・・・
って誰も浸かってないやん・・・
うわっ熱っ!!これなに?むっちゃ熱いやん!!!
・・・しかし誰もはいってない(回りで座ってる)と、
変に得意になって熱い湯船に浸かりっぱなしで我慢する。
まじで熱い・まじで外
たまりかねて上がって岩に座ってさます。
何度か繰り返すと足の疲れが無くなっているのに気付いた。
さすが下呂の日本三大パワー!
これぞ「下呂マジック」やで。
風呂から上がって酒屋で缶ビールを買って河原で呑む。
水に足を浸すとここはもう極楽!
okaももうここで車中泊を決め込むつもりになっていた。
(はず)
011
腹が減ったので居酒屋を物色。
地元料理やなんぞ探したが満員で入れず、
店構えが高そうな呑み屋に意を決して入ったが、
これが旨いし安いしもう大満足やった。
(「神辰」0576-24-2668 ※2000年現在)
またまたビールを空ける。
ほろ酔い気分で歩き、
暗くなった野天風呂に性懲りもなく向かう。
さっきより入り易く思えたのは、
日が暮れて石が冷たくなったからかな?
とはokaの弁。
上がってコンビニでアイスを買って、
風呂まで戻るとビキニのおねーちゃんが2人入ってた・・・
惜しいことをした。
車に戻って横になる。
okaはすぐに眠ったみたいやが、
回りの車の入れ替わりが激しいのと、
花火がまぶしいのと、
隣の家族連れが騒がしいのとで、
全然眠れんやんか!
翌日の恵那山に続く
■oka's comment<okaのコメント>
Yukawa、Oka共、なかなか連休して遊びに行けないため、
たまにこういう機会に恵まれるとはじけてしまう・・。
今回の1泊2日、
計画段階では無茶苦茶エスカレートして、
八ヶ岳−蓼科山−美ヶ原−霧が峰の4座を2日で制覇という
命知らずの計画まで候補に挙がる始末・・
(注:美ヶ原−霧が峰−蓼科山は結局実行)
結局、リベンジをかけ御嶽に行くことにしたが、
密かに次の日に乗鞍−焼岳を制覇し、2日で3座をたくらんでいた。
しかし、素直に御嶽を田の原から登りゃいいものを
観光バスの連中と一緒に登りたくないとの理由から、
一番マイナーな濁河ルートにしてしまう。
(なんせ変わったことをせずにいられない性分だから)
これがまたルートが長く、標高差も他ルートより大きく
30歳を超える我々を大いに消耗させ、へこます原因になる。
(濁河ルートで日帰りで剣が峰まで行く計画の人には出合わなかった。
もっとも登っている人自体、極端に少ないのだが・・)
■access... (2000年現在)
□濁河温泉
1)中央道中津川インターから
国道257号線・41号線を走り、
飛騨小坂でわき道(左折)を標識通りに進む。
インターから約120km。
2)名神小牧インターから
とにかく国道41号線を進む。
小坂からは同じ。
インターから約150km。
今回使用したがカーブ坂道多し。
どちらも小坂からの40kmがかなりきつい。
暗いとわからんがすごい切り立った山道に目が眩むほどやで。
町営露天風呂は営業時間が10時から16時くらいやったと思う。
400円で脱衣場は屋根付きのが有り。
□御嶽
1)裏ルート(小坂口)は今回紹介の通り。
これは歩行距離が結構あるので、
ゆっくり時間をかけて登る人向き。
当然日帰りなどするのは自殺行為。
(と思った)
2)王滝田の原ルートは前回紹介済み。
ただし夏場は田の原まで車で上がれる。
冬は御岳スキー場となるので、
ゴンドラで田の原まで来ることができる。
(スノーボード持ちは乗れない)
3)黒沢口ルートは、
御岳ロープウェイスキー場のロープウェイがあるので、
比較的高度が稼げるので最も利用者が多いと思われる。
□下呂温泉
濁河に向かう国道41号線沿いにあるが、
国道がバイパス化して市街を迂回しているので注意。
野天風呂は駅に向かう橋の右手に見える。
病院の裏に河原に降りる通路あり。
re-mixed 070325