002-1 御嶽#1 1999.04.03
001
1999.04.02.
---pm.11:00
いつものようにOKA邸集合。
雨が心配だが明日は晴れの予想。
着替えて荷物を整える。
OKAの車に荷物を詰め込み出発。
名神高速をひた走る。
シーズンも終わりになったのかスキーを積む車は少ない。
まあ空いてるしいいか。
1999.04.03.
---am.3:00
名古屋に入り東名高速春日井ICを下り、
国道19号線を北上。
途中コンビニで食料を補給して、
御岳スキー場着。
ひとまず仮眠。
002
---am.7:00
起床。
いつの間にか周りは車だらけ。
朝食の後リフト券売り場に行き、
登山目的でスノーボードをゴンドラに乗せてもらおうと交渉。
窓口ではマニュアル通りの答えが返ってきてあっさり断わられる。
仕方がないのでリフトを乗り継ぎそこからハイクアップすることに。
今回YUKAWAがボード、
OKAがスキーでの参加だったので、
終点まで行けるはずのOKAを付き合わせるハメになった。
---am.8:00
リフトの営業開始が遅れそうなので、
最初のリフトの分はハイクアップすることにした。
クワッドリフトが動き出すのを待つ我々は、
ザックを担ぎ一種異様な雰囲気をかもし出していた。
リフトが動きだし、
とにかくボーダーが行ける最高点までは来た。
---am.9:00
ゴンドラ駅の下までさらにハイクアップ。
板を担いでの登りは想像以上の負担だ。
特に長いスキー板を左右にセットしたOKAはかなり苦しそうだ。
(私がボードなばっかりに・・・すまない。)
林道コースのすぐ脇に、
登山道入り口の鳥居がみえた。
そこから一本の道が山裾まで伸びている。
しかし、
山の斜面には道は見えない。
・・・道はない!?
003
---am.9:15 (2250m)
裾までの道の途中、
今回投入した腕時計に内臓された高度計を、
定時測定にしてセットした。
(以降相対高度を示す。)
---am.9:30 (2340m)
---am.9:45 (2410m)
緩やかな登りの道を進むと、
2つ目の鳥居。
ここから先は昔は女人禁制だった。
道は森の中へと続く。
長いスキー板を背負っているOKAは、
板が枝に引っかかりかなり苦戦していた。
スノーボードで良かった。
勾配がきつくなる。
前が開け、
風が吹くと、
目前にてっぺんへと伸びる白い斜面。
道らしいものは見当たらない。
どこを登るのか?
「適当。」
・・・OKAがあっさり答えた。
---am.10:00 (2515m)
---am.10:15 (2565m)
---am.10:30 (2610m)
少し登ったところに、
2体の像を祭った堂があった。
ここで単独登山に来ていたおっちゃんに、
写真を撮ってもらう。
我々の背負っている板を見て、
「それで滑って降りるの!?」
半信半疑のようだ。
『もちろん!!』
自信たっぷりに答えて先に進む。
004
---am.10:45 (2635m)
---am.11:00 (2705m)
斜面は表面1〜2cmが凍り、
その下がふわふわの2層構成だ。
たまに氷が厚く靴で割れないところがあった。
アイゼンを持たない我々は慎重に進む。
上は凍ってないだろう・・・そう信じて。
途中、
避難小屋で休憩。
高度が上がってきているせいか、
かなり息苦しい。
幸い高山病にはなってないみたいだ。
山頂からイオウの臭いがする。
活火山なのでてっぺんから噴煙が見える。
8合目を過ぎて、
道は真っ白な雪の斜面の上に回り込む。
目の前でいきなり足跡が消え、
アイゼンの爪痕だけが残っていた。
厚い氷のところだ。
OKAは固いスキーブーツの爪先を5cm程引っ掛けて進む。
その後を追う。
しかし、
私のボードブーツは丸い。
この5cmにへばりついて進もうとしたが、
3歩目を掛けようとした瞬間、
後ろの足が滑った。
005
滑落。
凍った斜面は滑り台よりもタチが悪い。
掴むところもなくスピードが増す。
はるか下にさっきの森が見える。
あそこまで落ちるのか?
コブだ。
体が跳ねる。
少しスピードが落ちた。
背中のボードが斜面をひっかいている。
ひょっとしたら、
と思いボードを斜面に叩き付ける。
斜面が割れくぼみにはまって止まった。
---am.11:15 (2675m)
上を見る。
OKAがはるか上で叫んでいる。
止まったとはいえまだ斜面のど真ん中、
なんとか登山ルートまで戻らなければいけない。
しかし一歩踏み出すとまた滑落するかもしれない。
身動きがとれない私を、
OKAは自分の荷物を置いて助けに来てくれた。
OKAの足跡をたどりなんとか復帰。
---am.11:30 (2720m)
---am.11:45 (2750m)
とりあえずOKAのザックがある落下地点に戻る。
さっきの恐怖の瞬間がよみがえる・・・
(これからどうなる?)
006
---pm.12:00 (2735m)
---pm.12:15 (2740m)
---pm.12:30 (2735m)
岩場で足場のしっかりしているところで昼食。
カップラーメン
缶詰(焼き鳥とマグロステーキ)
日本酒の雪割(さすがに程々にする)
天気は良いが風が冷たく、
素手で割りばしは握れなかった。
さて、
ここで考えた。
1.この斜面じゃ上まで行っても滑れない。
とてもエッジがかからない。
ストックのないスノーボードはなおさら。
2.我々にはアイゼンがない。
さっきみたいな氷状の斜面をクリア出来ない。
当然下りはもっと怖いだろう。
3.さっきの滑落で少し左腕に怪我をした。
寒さのせいかあまり痛みを感じないが、
ここからの登山に影響がないとは限らない。
と、
まあこんなところか。
・・・撤収。
決定だ。
しかしリターンマッチをここで誓う。
絶対頂上へ行ってやる。
007
---pm.12:45 (2705m)
---pm.13:00 (2640m)
来た道を戻る。
上を振り返りOKAが、
「あっ、滑ってる!」
上から滑走する一人のスキーヤーを見つけた。
(滑ってるで・・・)
たしかに昼を過ぎ雪は融けかけて少し柔らかくなってるようだ。
OKAは滑りたそうだ。
「・・・俺も行ってくるわ!」
スキーをはめて斜面へ向かうOKA。
次の瞬間『ガリガリガリガリ』という寒い音とともに、
ターンが出来ず向こうまでゆっくり進む彼の姿があった。
これはやっぱり怖い。
私は歩いて降りよう。
---pm.13:15 (2465m)
だいぶんすそまで降りてきた。
ここなら滑っても大丈夫だろう。
OKAはどうなってるだろう?
板を降ろして装着。
滑り始める。
斜面は程よくへこむ。
O.K.だ。
お〜〜〜っ気持ちいい!
少し滑ってOKAと合流。
どうやら何度か転び一回板を下に落としたらしい。
かなり疲れている様子だ。
---pm.13:30 (2380m)
---pm.13:45 (2320m)
谷筋にそって木の間を進む。
雪は少し重い。先に誰か通った跡があるのでそれをたどる。
もうほんっとに久しぶりのボードなので、
登山の疲れも忘れて楽しむ。
ここには他に人もいない。
圧雪されていない雪が広がる。
あ〜っ、
なんて贅沢。
さっきの滑落どこ吹く風である。
あとは下るだけ、
やっと一安心。
008
---pm.14:00 (2275m)
---pm.14:15 (2280m)
---pm.14:30 (2285m)
谷筋から登山道に戻り、
女人禁制の鳥居に到着。
あとはゲレンデまで1本道だ。
おお、
向こうの山がきれいだ。
ちょっと写真でも・・・
OKAカメラは?・・・
「あ・・落とした!」
なんとさっきの谷筋の上まで探しに行ってしまった。
彼はロボットなのか・・・
OKAの底知れぬ体力と責任感に感服した。
やがて手にカメラをぶらさげ奴は帰ってきた。
たいした男や。
009
---pm.14:45 (2205m)
入り口の鳥居を抜け、
ゲレンデに戻る。
ここからベースまでスキー場を滑走する。
今シーズン初のゲレンデ(OKAもらしい)を満喫するが、
でっかいザックを背負って滑るのは初めてだ。
違う意味で目立っているに違いない。
---pm.15:00 (2125m)
---pm.15:15 (1715m)
ひきつる足をふんばらせ、
一気にゲレンデの最上部から滑り降りる。
やっとベース着。
リフトに1回しか乗ってないのに何という充実感。
靴をはきかえスキー場のレストランに突撃、
野沢菜でプシュッといったのは言うまでもない。
010
途中の温泉で疲れをほぐし、
ゆっくり帰路についた・・・
011
今回は明らかに装備のツメの甘さが敗因。
いくらボードとはいえストックは必要だと思った。
それとアイゼン。
あると無いとで大違いだ。
次こそは完全装備でパウダースノーを制覇してやる!
update 990407
remixed 000602
re-remixed 070325
■map... ガイドマップ
map 990415
■data... 資料など
□御岳山
長野県
3063m
1999年4月3日(土)
天候快晴風やや強し
斜面クラフト(表面1〜2cmの凍結)
午後から融けて雪質は重くなった
□御岳スキー場
ゴンドラ1基
クワッドリフト2基
ペアリフト数基
(未確認)
4月に入って雪解けのため、
ゴンドラ乗り場より下のゲレンデは閉鎖。
そのため本来必要なボーダーライセンスは不要だった。
しかし、
ゴンドラにはボーダーは搭乗不可、
最上層のエリアには立ち入り禁止。
ボードパーク・ハープパイプもあるらしいが、
未確認。
時期的に閉鎖されていると思う。
■and... そして
2000年8月。
雪はないがその山頂に立つときが来た・・・