少ない水量で水質を維持していくためには、濾過の基本をしっかり把握しておく事が必要です。

海水魚を飼うときに一番大事なのは水槽の水です。

水質を良い状態に維持するポイントですが、水の中の微生物をうまく育てることがその基本なのです。
濾過はたんに水の中のゴミをこし取るという事だと思っていないでしょうか。確かにそれもありますが。
アクアリウムの世界での濾過というのは、「水槽の水を魚の住める状態に保つ」という意味合いが強いと思います。
「水槽の水を魚の住める状態に保つ」には、二つの要素があります。
 一つは、濾過のイメージ通りです。水中にあるゴミをこし取るという役割です。やっぱり、ゴミが水中を漂っている状態というのはあまり魚には良くないようですし、見た目にも悪いですよね。ですから、それをこしてきれいにするのが濾過の大事な役割の一つです。これを”物理濾過”といいます。
しかしフィルターなどで物理的に汚れを取り除いただけでは化学変化としての水質の汚れを取り除くことは出来ません。
つまり、きれいに見える水でもそれだけでは良くないということです。
上手に飼えている人の海水と、魚を死なせてしまった人の海水一見ほとんど同じ無色透明の水に見えるが、魚を飼ううちに、悪い物質が混ざってしまって、見た目にはきれいでもだんだんと魚が住み難い水になってしまいます。それをくい止めるのが濾過のもう一つの重要な役目です。この役割を”濾過バクテリア”にやらせる方法を”生物濾過”といいます。
また、濾過バクテリアを使わずに活性炭などに悪い物質を吸い取らせる方法を”吸着濾過”といいます。
 では、3つの濾過「物理濾過」、「生物濾過」、「吸着濾過」について説明します。


【物理濾過】

 上でも少し説明しましたが、物理濾過というのは水の中に漂っているゴミをこし取ることです。皆さんがお使いの濾過器を見ていただけるとわかりますが、水が入ってくる部分にウールマットやスポンジなど、ゴミをこすためのものがセットされていることと思います。
それにゴミの漂う水を通すことで、水の中からゴミを取り除事を言います。


【吸着濾過】

 活性炭などに吸い取ってもらうという濾過方法です。吸い取ってもらえるのなら、これだけで良いだろうと思われるかと思いますが、実は大きな欠点がありまして、活性炭などは、その効果が長く持続しません。
普通は2週間ほどで悪い物質を吸着しなくなってしまいます
この活性炭による吸着濾過というのは、小型水槽などに使用する場合が多いです。


【生物濾過】

 まず水槽の中で、魚たちが糞をします。また残餌、魚の死骸腐ったりします。そこから悪い物質「アンモニア」が発生します。
このアンモニアは魚にとってきわめて高い毒性を持ちます。
アンモニアが発生すると、それを分解するバクテリアも発生して、アンモニアを食べて、「亜硝酸」を出します。
亜硝酸が多く蓄積されると魚の血液中にあるヘモグロビンと結びつきやすくなり本来運ぶべき酸素を、運べなくなり酸欠となります。
せっかくアンモニアを分解したのですが、悪い物質の亜硝酸を出してしまいます。
亜硝酸が発生するとそれを分解するバクテリアも発生して、亜硝酸を食べて「硝酸塩」をだします。
硝酸塩も決して魚にとって良いわけではないが、アンモニアや硝酸塩に比べれれば、はるかに増しで大幅に蓄積されない限り魚にとって問題はありません。硝酸塩が貯まってきたら、水換えをしてサイクルをリセットします。
しかし毒性の弱い硝酸塩でも影響を受けやすいサンゴ中心の水槽では、こまめな水質チェックで硝酸塩コントロールすることも重要です。

魚の糞→アンモニア→亜硝酸→硝酸塩

こうしてバクテリアの働きで糞などから発生する「アンモニア」を「亜硝酸」を経由して比較的無害な「硝酸塩」に変えることです。
このようにバクテリアを利用して悪い物質を無害化することを”生物濾過”といいます。

濾過バクテリアをうまくコントロールできるようにすることが生物濾過のきもです。

【生物濾過がができあがるまで】
 
@水槽をセットし、新品の濾材を濾過器に入れて、新しい水、魚を入れてスタートです。
A魚が餌を食べて糞をします。糞からはアンモニアが発生します。
Bアンモニアの量が増えてきます。それに従ってアンモニアを食べる濾過バクテリアも増えてきます。
Cアンモニアを食べる濾過バクテリアが十分に増えてきたのでアンモニアが減り始めます。ですが、かわりに亜硝酸が発生します。
D亜硝酸が増えてきたので、それに従って亜硝酸を食べる濾過バクテリアも増えてきます。また、このときアンモニアを食べる濾過バクテリアはすでにかなり多くなっていますので、糞から発生するアンモニアはすぐに食べられてしまい、ほとんど検出できない濃度になっていきます。
E亜硝酸を食べる濾過バクテリアが十分に増えてきたので亜硝酸も減り始めます。ですが、かわりに硝酸塩が発生します。
F硝酸塩を分解できるバクテリアは、通常の水槽にはほとんど発生しませんので硝酸塩は水中に貯まってゆきます。
また、このとき亜硝酸を食べる濾過バクテリアはすでにかなり多くなっていますので、アンモニアから発生する亜硝酸はすぐに食べられてしまい、ほとんど検出できない濃度になっていきます。
G硝酸塩が貯まってきたら、水換えをして外に排出します。


 はじめから”濾過バクテリア”とひとくくりで説明してきましたが、実は名前が付いています。アンモニアを亜硝酸へと変化させる濾過バクテリアは、「ニトロ・ソモナス属」、亜硝酸を硝酸塩へと変化させる濾過バクテリアは「ニトロ・バクター属」と呼ばれています。











【硝酸塩が増えてきたら】
濾過が行なわれると最後に硝酸塩になります。少量は海草等で吸収しますが、飼育下では量的に全てを吸着させるのは不可能に近いので増えてきたら水換えをしますす。
魚にとっては、毎日少しずつの水替えで水質が急変しないほうが良いのですが、私の場合8日に1回1/3の水替えを定期的に実施しています。


【濾過バクテリアの維持】
 一度発生した濾過バクテリアを殺してしまうと、また悪い物質が増えてきたりします。
ですので、せっかく増えた濾過バクテリアを維持するための注意点などを書いてみたいと思います。濾過バクテリアが生存し続ける条件は、酸素があること、エサ(アンモニア、亜硝酸)があることです。
また、水温があまりにも高かったり、低かったりしてもバクテリアはダメージを受けます。さらに、薬などにも弱いですので、水道水に含まれる塩素などにも注意する必要があります。
それらを頭に入れて、濾過バクテリアをしっかりと維持しましょう。


【その他】
 海水魚を飼うということはまず、先にバクテリアを飼うということなのです。
濾過がしっかりとできていると、魚の病気も出にくくなりますし、多少魚を多く入れたりという無理もきくようになります。ですので、しっかりとバクテリアを育てて、維持してゆくことは飼育を楽しむ上では重要な要素の一つだと思います。
又海水は、淡水に比べバクテリアの繁殖が遅く、より多くのバクテリアが必要なため濾過システムは淡水の2倍は、必要なのです、水槽の大きさ、収容する生物の数でいろいろシステムを選ぶのも楽しみの一つだと思います。
濾過バクテリアをしっかりと維持し、うまく飼育ができるとアクアライフが一層楽しくなると思います。
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