経営戦略のための原価計算 

戦略的コストマネジメント

 経営戦略のための原価管理として、戦略的コストマネジメントがある。戦略的コストマネジメントでは、原価管理を原価企画原価維持原価改善の3つに分けて管理する。

 原価企画では、予想競争市価−所要利益=許容原価 という算式で許容原価を求める。さらに、許容原価−成行原価=原価削減目標額 として原価削減目標額を求め、この目標額を達成するために設計段階まで遡った検討を行うこととなる。

 原価維持では、原価が一定の幅の中に収まるように、製品の標準化を進めることやコストセンター別の管理を行う。

 原価改善については、日常活動を中心とする原価低減活動であり、PM分析等を通じて改善点をリストアップし、問題解決に向けて努力していくこととなる。

 原価企画はトヨタ自動車が1960年代から独自に開発した戦略的利益管理・原価管理手法で、欧米にも広く普及しています。

活動基準(ABC)原価計算


 活動基準(Activity Based Costing)原価計算では、製造間接費を経済的資源を消費する活動(Activity)に跡づけ、ついでその原価をそれらの活動から生み出される製品へ割当てる計算を行う。伝統的原価計算が会社組織を基準とした要素別部門別原価計算を行うことと比べて、組織に捉われずに経済活動に基いた配賦計算を行えることに特長がある。

 ABC原価計算では、活動基準管理(ABM)を組み合わせて、ABC原価計算で求めた原価を元にABMのプロセス分析を行って、原価の発生を改善するため、活動の仕方を変えていく方法を取ることができるようになる。

 ABC原価計算では、組織の枠に捉われずに原価配分を行えるようになるため、全社横断プロジェクト等の原価計算に向いていると思われます。

経済付加価値(EVA)


 経済付加価値(EVA)とは、企業が加重平均資本コストをどれだけ上回るリターンを獲得したかを次の算式により求め、それにより株主に対する付加価値を測定する方法である。

 EVA=(投下資本利益率−加重平均資本コスト率)×投下資本
 ここで、
 投下資本利益率=税引後営業利益NOPAT÷投下資本×100
 NOPAT=営業利益+貸倒引当金増加額+営業権償却+研究開発費−営業利益に対する支払税金

 EVAによる企業の評価は、社内管理というよりも株主重視の視点に基いていますので、投資先の選定に用いるのが賢明でしょう。



参考文献: 原価計算(岡本 清)

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