企業環境の変化と新しい原価計算 

企業環境の変化

 生活水準の向上、価値観の多様化、及び生産技術の進歩等に伴って企業環境は大きく変化し、生産形態は多品種少量生産が主流を占めるようになってきた。これに伴い、企業側もJIT(Just In Time)方式を導入し、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)・TQC(Total Quality Control)・TPM(Total Productive Maintenance)等の諸活動を行うことによりコスト削減と品質管理の維持向上に努めてきた。

 また、生産のIT化・自動化・ロボット化も加速度的に進められてきており、新鋭工場においては人影もまばらななか、生産が粛々と自動的に進めれている光景も珍しくない。

 人が汗と油にまみれてモノ作りをするという光景は、次第に過去のものとなりつつあります。代わって多くのIT技術者が生産プログラムを作るようになってきました。

ライフサイクル・コスティング


 多品種少量生産における原価計算については、単なる生産コストを集計するだけでは不十分であり、開発から廃棄に至るまでの製品のライフサイクル・コストを管理していく必要がある。トータルな費用管理の下で原価管理を行わないと、生産コストは低くても、開発コストが膨大にかかっていたという事態を招きかねないからである。

ライフサイクル・コスト:
      研究開発コスト
      生産コスト
      アフターコスト
      廃棄コスト

 IT化の進展により特にこの現象は顕著になってきました。例えばソフトウエアの原価を考えるとき、材料のCD-Rは1枚100円前後ですが、プログラム開発には膨大なコストがかかっています。

品質原価計算


 高品質の製品を維持するために、品質管理費用を
    予防原価:品質管理費用
    評価原価:検査費用
    失敗原価:仕損・手直し・廃棄費用
に区分し、
    予防原価>評価原価>失敗原価
という状態に是正する取組みを行うことにより、トタールな原価削減を図るものです。

 何も対策を講じないと、予防原価<評価原価<失敗原価 という状況に陥ってしまいますので、何らかの手を打っていく必要があります。


参考文献: 原価計算(岡本 清)

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