設備投資の意思決定 

資本予算とは?

 資本予算とは、企業の業績に重大な影響を及ぼす設備投資に関する財務的計画と統制を意味する。したがって、設備投資の意思決定を行う際には、資本予算を検討しなければならない。資本予算の重要ポイントは、将来にわたって発生する収益・費用であることから、時間価値を考慮に入れた計算を行うことにある。

 設備投資プロジェクトの実施は、プロジェクト毎に予想増分現金流入額と予想増分現金支出額の現在割引価値を計算し、これらの差額の多寡によって判定されることとなります。

設備投資の意思決定モデル(NPV)


 設備投資の意思決定モデルの代表的なものとして、正味現在価値法(NPV)がある。NPVは次の算式により求めることができる。
       n    Pt         m     It
NPV = ------------- − ----------------
       t=1  (1+c)t       t=0   (1+c)

ここで、
     Pt    t年度の純現金収入
     I    t年度の投資額
     c    資本コスト率

 正味現在価値法は、投資によって生ずる年々の純現金収入を各年の資本コスト率で割引いた現在価値合計から、投資に必要な現金支出を資本コスト率で割引いた現在価値合計を差引いて、その投資の正味現在価値を計算する方法である。

 正味現在価値法によれば、NPVの大きい投資案を選択することになります。

内部利益率法(IRR)

 内部利益率法(IRR)とは、純現金収入の現在価値合計と投資に必要な現金支出の現在価値合計が等しくなる資本コスト率(IRR)を求め、IRRの大きい投資案を選択する方法である。

     n    Pt         m     It
    ------------- − ---------------- = 0
    t=1  (1+c)t       t=0   (1+c)

 上記算式の成り立つような資本コスト率(c)がIRRとなる。

 内部利益率法によれば、投資効率の高い投資案を選択することができます。

収益性指数法(PI)

 収益性指数(PI)は次の式により求めることができる。


        n    Pt       
       ------------- 
       t=1  (1+c)t     
PI= ----------------------------
       m     It
       ---------------- 
       t=0   (1+c)

 収益性指数が1より大きければその投資案は有利であるが、1より小さければその投資案は不利である。

 この方法もNPVの応用版といえます。

設備投資のキャッシュフロー

 設備投資にあたっては、キャッシュフロー計画を立てることも重要である。t年度のキャッシュフロー(CF)は次の算式により求めることができる。

CF=税引前当期純利益×(1−実効税率)+減価償却費

ここで、実効税率は現在ほぼ40%となっています。

 この算式により各年のキャッシュフローを求め、資金計画を検討していきます。

参考文献: 原価計算(岡本 清)

←前へ      次へ→ 

(C)大塚淳税理士事務所