差額原価収益分析 

差額原価収益分析とは?

 差額原価収益分析とは、安値受注のような特殊な非反復的意思決定を行うときに、追加的に発生する収益及び原価・費用のみを抽出して差額利益を計算し、迅速な意思決定を行う手法である。

 安値受注の例でいえば、従来の計算方法(総額法)では、現在の売価での損益計算を行い、さらに安値受注後の損益計算を行って差額を調査することになり、大変な手間がかかり、経理部門も巻き込んで計算を行わなければならない。

 これに対し、差額原価収益分析(差額法)では、受注によって変化しない原価(埋没原価)は計算上無視し、変化額のみを抽出して差額利益を計算する。この方法によれば、より簡便・迅速に差額利益を計算し、意思決定を行うことができる。

 差額法を用いると簡単に差額利益を求められます。特に営業部門での意思決定に有用ではないでしょうか?

差額原価収益分析の例:安値受注


例題: 現在、原価が変動費40円・固定費10円(計50円)の製品を、売価65円で100個販売している。このとき、売価45円で20個の追加注文の引合がきた。この引合は受注すべきか?

単純に考えると原価50円の製品を45円で販売すれば赤字となってしまいますが、このような場合には差額原価収益分析が必要です。

(差額法)
差額収益…45円×20個=900円 :45円で20個販売
差額原価…40円×20個=800円 :変動費のみ追加発生・固定費は追加発生しない埋没原価となる。

差額利益…900円−800円=100円

この分析の結果、差額利益が100円発生することが判明した。追加注文20個は受注すべきである。

差額原価分析では、追加費用が発生するか否か、つまり変動費か固定費かの区別が重要となります。



参考文献: 原価計算(岡本 清)

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