営業費計算 

営業費の特徴

(1) 営業費には製造原価と異なり次のような特徴がある。

・ 投入コストと成果との因果関係の測定が困難
・ 営業活動には多様性があり、どの方法を選択するかにより、営業費も大きく異なる。

(2) 営業費は大きく次の種類に分けられる。

・ 注文獲得費: 広告宣伝費、販売促進費等
・ 注文履行費: 運賃等

(3) したがって、注文獲得費については経営者の方針により定めていかざるを得ない。注文履行費については、変動予算により管理することが可能である。

 広告宣伝や販売促進等のマーケティング活動については、費用対効果を直接的に測定できないため、どれだけの費用を投入するかは、設備投資同様に、売上予測等に基く回収可能性に基いて行わざるを得ないでしょう。


販管費の分析


 販管費の分析には純益法と貢献利益法がある。

(1) 純益法 販管費を原価と同様に全ての製品に配賦して管理する方法である。長所は、全ての原価を製品に跡づけられることから、製品別に回収の事実を確認できる点である。一方短所は、配賦基準により製品別損益が大きく左右される点にある。

(2) 貢献利益法 売上高から変動費を控除して貢献利益を求め、さらに個別固定費を控除して製品利益を求める方法である。

 両者の違いは共通固定費の配賦の有無にあります。実務的には貢献利益法の法が分かりやすいと思いますが、管理者からは純益法の要望が出されることがあります。

※売上高の差異分析

 売上高の差異は次のように分析を行う。

 比較売上高−基準売上高
=比較単価×比較数量−基準単価×基準数量
=P2・Q2−P1・Q1
=P2・Q2−P1・Q2+P1・Q2−P1・Q1
=(P2−P1)Q2+(Q2−Q1)P1
=(比較単価−基準単価)×比較数量+(比較数量−基準数量)×基準単価
=売価差+数量差

 このように売上高の差異を売価差と数量差に分けることにより、売上高の増加が値上げによるものか、出荷増加によるものかに分けて考えられるようになります。



参考文献: 原価計算(岡本 清)

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