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予算計画の意義
経営計画策定にあたっては、事業計画を作成するすることになるが、これだけでは不十分であってその実行の裏付けとなる財務計画(予算)を作成することによって、完全な計画となる。つまり、事業計画と財務計画はコインの表裏の関係にある。
どんなに素晴しい計画であっても、「先立つもの」がなければ絵に描いた餅というわけです。
なお、予算を策定するのはライン管理者であり、予実績管理においても、そのライン管理者が予算統制を行う。経理部門は予算策定に必要な会計情報を提供し、予算案を取りまとめるが、あくまでスタッフであり、実際に金額を策定することはない。
予算統制がうまくいくか否かは、ライン管理者が予算を策定・管理しているか否かによっています。経理で予算を作ってしまうのはタブーです。
予算管理の目的
予算管理には、次のような目的がある。
(1) 目標管理
将来の目標を掲げ、その実現に向けて努力することが、成功のする重要な秘訣である。企業経営上の目標を予算策定により、具体化し明確にしていくことができる。
(2)経営のコントロール
予算により具体化された経営目標を基準値として、経営をコントロールしていくことができる。(予実績管理)
(3)コミュニケーション機能
経営計画の達成・実現のためには、他部門との適切なコミュニケーションが必要であるが、それを予算策定・予実績管理を通じて実現することができる。
では、どのようにして予算を策定すればよいのでしょうか?
予算編成手続き
予算編成手続きは以下のような流れになります。
予算編成方針(社長)
↓
販売予算・製造原価予算・販管費予算・金融予算(各部門)
↓
損益予算(経理取りまとめ)
↓
設備投資計画(損益予算を踏まえて検討)
↓
資金予算(財務部門)
↓
予算貸借対照表・キャッシュフロー計算書(経理取りまとめ)
とてもここまでできない、という声が聞こえてきそうです。しかし、あまり細かく考えないでください。全社一本の数字だったとしても、立派な予算なのです。
簡単な予実績管理
実績は予算と比較して管理することが重要である。これ予実績管理という。予実績管理は、次のような方法により行う。この方法によれば、予算と実績の差異が単価の増減によるものか、数量の増減によるものかを区別して考えることができる。
数量差異=(実績数量−予算数量)×予算単価
価格差異=(実績単価−予算単価)×実績数量
※算定根拠
実績−予算
=実績単価×実績数量−予算単価×予算数量
=実績単価×実績数量−予算単価×実績数量+予算単価×実績数量−予算単価×予算数量
=実績数量×(実績単価−予算単価)+予算単価×(実績数量−予算数量)
=数量差異+価格差異
先ずは予算と比べることから実績管理を始めてみてください。これにより、仮説→実行→検証 というPDSサイクルをまわすことができるようになります。
参考文献: 原価計算(岡本 清)
(C)大塚淳税理士事務所