振り向き、戦闘に備えるが敵も速かった。
水柱の下から、水の玉が5つ浮かび上がり、俺達に向けて飛んで来た。
「この程度!」
俺は剣で、水を叩き落とした。
安全になったところで、みんなが無事かを確かめるため、後ろを向く。
みんな、少し離れすぎている。
一番近くにいたアルタイルは、うまく避けたようだ。
「楯よ “インスタントシールド”」
リーリアの声だ。小さな岩の楯が宙に出現し、水を防ぐ。
一番離れていたアイリスは、
『アイリス』
フィソラが腕でアイリスを守った。自分の分も尾で叩き落す。
「大丈夫よ。ありがとう!
火属性を解除しておくわね、水を飛ばすってことは、きっと水属性ゴーレムよ」
アイリスが、指輪から紅炎玉をはずすと、フィソラの姿が元に戻った。
みんな無事だったようだ。安心して敵に向き直る。
水柱は無くなり、そこには、巨大なカジキがいた。
核が青い。アイリスの予想通り、水の属性ゴーレムであった。
体の大部分は水だが、特徴的な角は、氷で出来ていた。
そして、どういう原理か知らないが1メートル程浮いている。
「速き動きの象徴よ、その動きの素早きを彼に与えたまへ クイックウインド」
アイリスが、敵に一番近い俺に、素早さをあげる魔法をかける。
俺の足を竜巻が包む。
「ありがとよアイリス!」
「速き動きの象徴よ、その動きの素早きを彼女に与えたまへ クイックウインド」
間髪をいれずに、呪文を唱えだす。前に出る全員にかける気だろう!
そのときであった。ゴーレムが、俺に向けて突っ込む。角が当たりでもしたら、串刺しだが……、
「受けて立ってやる!」
剣を構える。ここで突っ込んでくるのは、好都合でもあった!今角を折れば、後が楽だ!
こちらへ迫る!だが見切れないスピードじゃない。相手が通る瞬間、剣を角に叩き付け、へし折る。そして紙一重で衝突を避ける。
減速し、こちらへと向き直る敵!また突進する気のようだ。俺も湖を背にし向き直る。
敵の武器は無い。もう、ぶつかっても大した事にはならないだろう。突進くらい……。
「ギルバートさん!避けてください!」
アルタイルが叫ぶ!
敵は武器を失ってるんだぞ!真っ向勝負でたたっ斬る。
良く解らないが、考えがあるんだろう。急いで、避けたほうがいいな。