時間を訊くと10時半らしい。ここに着いたのは10時頃だから、寝たのは30分程か。
時間も早いし、仕事は午後からにした。
それまでは、戦闘に備えて、2人の戦闘スタイルなどを訊く事にした。
「あたしは、回りくどいのもチマチマしたのも嫌いだから、後方からいっつもでっかい魔法を叩き込んでいるの。
呪文が長いけど、アルタイルが優秀でね。一人で攻めたり守ったりできるから、どんな呪文でも唱えきれるの。
コンビも長いし、もうこの戦闘方法は慣れてるわ」
そうか、組織に威力のでかい人と依頼したからこの人が来たのか。
じゃあこの人には、今までのスタイルを変えず、後方でバンバン魔法を使ってもらおう。
「ほとんどリーリアが言ってしまいましたが、私は拳士です。
このグローブには特殊な力があって、私の魔力と引き換えに、威力を増してくれます。
それから、実は私は半獣でして、いつもは前衛で戦っていますが、必要な時にはユニコーンとなり皆の回復にまわります。
あなた方はどうですか?」
聞く限りかなりの戦力になってくれそうである。
実はアイリスは回復はできるものの1人しか回復できないのである。
大きな泡を出し、中に入った者を癒す魔法なのだが、最初に決めた時間が来るまで外に出られなくなる。
そのため、いつ敵が出るかわからない状態では使えないというのが、のが難点である。
パーティーが増えたのだから、攻撃役が増えたことより、いざという時の回復役が増えたことは喜ばしい。優秀ならばなおさらだ。
何をおいても、無事に帰ってくることが先決だ。
「私はアイリス、竜召喚士です。相棒のフィソラが戦っている間に、後方で補助や回復の魔法を唱えます。
フィソラは、複数の属性に変化できる、エンシェントドラゴンですから、かなりの戦力になると思いますよ」
この世界において属性は、各能力を象徴している。
火の属性は力の象徴、水の属性は癒しの象徴、風は速さの象徴、土は守りの象徴である。
そしてそれぞれの属性には、優劣関係がある。
火は風に強く、風は土に強く、土は水に強く、そして土は火に強い。
フィソラの変身とは、その能力を体に宿し、自らの姿を各属性のドラゴンへと変えることである。
ちなみに、普通の姿では苦手な属性がない代わりに、得意な属性もない、いわゆる無属性である。
『よろしく』
「フィソラもよろしくだそうです」
「俺は、ギルバート=クロウ、剣士だ。
魔法は使えないが、剣の腕には自信があるぜ」
一応皆の戦闘スタイルは話し終わったが、まだまだ時間は有る。
いったいどうしようか、と思っていると、リーリアが、
「ねえ、みんな話し終わったんだしさ、外でゆっくり散歩でもしない。
こんなに空気のうまいところめったにこれないよ!」
「私もそれに賛成です。きっと気持ちいいですよ」
「いいですね!ぜひ行きましょう。ギルバート、どうする?」
「すまないが、少し寝かせて!」
「いいね眠気覚ましにちょうどいい!」