結界を破ったその内側には別の世界が広がっていた

どこまでも続く荒地、どこか規視感を覚えるような光景だ

「ここはいったい・・・」

僕はアナスタシアから降り立って周囲を見渡した

すると、少しはなれたところに一つ人影があった

「へぇ、俺の結界を破るとはね・・・少しはやるじゃないか」

「――!」

僕たちは一斉に身構えた

「なにもそんなに身構えることはない、見たまえ、魔王の復活はもうすぐそこまで来ているのだ」

そう言ってその人物は両手を広げる、心なしか大地や空が脈打って見える

「あなたがサーフィス=ネオ・・・」

ミリィがその人物の名を口にする

「なんて強力な力なの・・・」

ハーメリアはその操る魔力の強大さに震えた

「お前・・・こんなもの復活させてどうしようって言うんだ!」

「新世界を作るのさ!この世界にはあまりにもゴミが多すぎる、ここまでくると一から作り直したほうが早い」

狂っている・・・そう僕は感じた

そしてなんとしてもここで食い止めなければならないと思った

「そんなことはさせない!」

僕はまちがいなく自分よりはるかに強大な相手に、躊躇なく飛び込んでいた

「ふっ、君も所詮ゴミだったということか」

そういってサーフィスは左手を振った

すると数十個の特大ファイアーボールが忽然と現れた

「受けよ、報いの業火を」


「荒ぶる風の力よ、刃となりて刻め」


僕はファイアーボールの群れに飛び込むことでその多くを回避した

そして目の前に迫った一つを真っ二つにする

だがそこには次のファイアーボールが待ち構えていた

「猛き雷の力よ、矛となりて貫け」


後ろでこんな呪文が響く、ハーメリアが唱えた呪文、『サンダースピア』だ

僕に迫っていたファイアーボールを雷の矛が次々に貫き、爆散させる

「裁きの光よ、雨となりて注げ」


ミリィがアローレインで援護射撃をくれた

「ハッ、この俺に、新世界の神に『裁き』だと?面白いことをいうね」

降り注ぐ光の矢を煉獄で一気に焼き払いながらサーフィスは言う

(あなたは神なんかじゃない、ただの『ヒト』よ)

アナスタシアがもはや熱線と化した高出力のドラゴンブレスを吐き出す

「いっけぇぇぇぇぇ!」

僕もそれにあわせジャベリンを放つ

だが

「神に逆らいし愚か者どもには死を!」


大量に放たれた瘴気に一瞬で跳ね除けられてしまった

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

全身を襲った強烈な痛みに思わず絶叫する

何度もごろごろと転がって目を開けてみるともろに瘴気を浴びてしまってボロボロになったアナスタシアが目に入った

「アナスタシア!」

(ギル・・・大丈夫、私はまだ戦える)

痛みを噛み殺すかのようにゆっくりとアナスタシアは立ち上がった

(今ので分かった、私達とあの人では力の差が大きすぎる、私が囮になるから次の一回で決着をつけてしまおう)



@アナスタシアの言うとうりにする
A他の方法を考える