「分かった」
僕は静かに力を溜める
「君たちってホントにあきらめがわるいねぇ、さくっと死んだほうが楽だろうに」
「やかましい!」
無茶な要求に思わず怒鳴り返してしまった
(ギル!)
「おう!」
アナスタシアが羽ばたいて突進すると同時に溜めていた力を一気に解放した
人体の限界を超えた加速に全身の筋肉が悲鳴を上げる
「くっ!」
だがここで止まるわけには行かない
アナスタシアは前面で僕のたてとなって無数の魔法を浴びていた
(・・・・・・っ!!)
アナスタシアは『煉獄』をもろに喰らいバランスを崩して墜落した
僕はその上を一飛びで飛び越えてサーフィスに突進する
「無駄な足掻きを!」
そう言って放たれた大量の魔法は光の矢と刃、炎の濁流に飲み込まれる形で消滅した
「・・・あんただけイイ格好しようったってそうはいかないんだから」
ハーメリアとミリィも無理をして魔力を搾り出したのだろう、一瞬、全身から霧のように血を吹いた後、糸の切れたマリオネットのように崩れた
みんなで作り出してくれたチャンスを無駄にするわけには行かない
僕は、全身に魔法を浴びながら、最後の一撃を繰り出した
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
僕の視界は、少しづつ、白く、黒く塗りつぶされていった
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