「いや、それはできない」

(・・・!)

アナスタシアは驚いた顔でこちらに振り向いた

「別の方法を考えよう、危険すぎる」

僕はそう言いながら横に跳躍し『ファイアーボール』をかわす

アナスタシアを囮にする案は確かに一時的にチャンスを生み出すかもしれない

だが、相手が賢者クラスならあまり分がいい賭けとは言えない

しかしこのままの状態を長く続けられるわけではない

なんとかして別の打開策を――

「ギルバート、危ない!!」

「―――!!

一瞬何が起こったさえ分からなかった

気がつくと僕はボロボロになって地面に転がっていた

「ハハハ、さぁ止めだ!」

「そうはいかねぇ!」

不意にサーフィスの背後の空間が歪んでリックが飛び込んできた

「「「(リック!!)」」」

「何っ!?」

その場にいた全員が同時に叫んだ

リックはまだ展開中の魔法を斬りつけ発動をキャンセルする

「へっ、遅くなったな」

「助かった」

リックはシュタッっと僕の隣に着地した

「リック、ギル、ミリィ、アナスタシア、一気にいくわよ!」

「おう!」

「分かった」

「まかせて」

(うん!)

僕らはそう言って一斉攻撃の体制に入った

「古の水の力よ、水龍となりて飲み込め!」


ハーメリアが魔法を放つ、水系統の呪文、『激流葬』だ

「ええい、じゃまだ!!」

サーフィスが『煉獄』で『激流葬』を打ち消すが、ほんの一瞬水蒸気で視界を奪われた

「今度はこっちよ!」

間髪いれずに『アローレイン』を速射する、怒涛の3連激だ

「ちぃ」

次々に降り注ぐ光の矢を放出した瘴気でなぎ払う

僕とリックはアナスタシアに乗って同時に攻撃した

「2刀流剣術『轟』!」


「天駆ける風よ、牙となりて引き裂け」


2本の剣から生み出された衝撃波と僕の放った『サイクロンロア』がサーフィスを襲った

「この下衆どもめが―――」

サーフィスが放った何かの魔法と『轟』、『サイクロンロア』が共鳴を起こし、世界は白く染まった――