「全治一ヶ月、あんたも無茶するねぇ」

「はぁ」

あの日から7日後、僕たちは病院に来ていた

僕はあの戦いで右腕をポキっと折ってしまったのだ

部屋から出るとそこにはリックとリーファがいた

リーファは全身の傷がまだいえていないためミイラみたいに包帯でぐるぐる巻きにされていた

「怪我は?」

「全治一ヶ月だって」

「そいつはよかったじゃねーか」

リックはそう言って手をひらひらと振った

「そういえばハーメリアたちは?」

僕は姿の見えないハーメリアの行方を聞いてみた

「ショッピングだとよ、アナスタシア借りて飛んで行っちまったよ、薄情なや――」

「ふーん、リックって私のことそう思ってたわけ?」

「へ?」

次の瞬間!一瞬でリックの懐に潜りこんだハーメリアが強烈な後ろ回し蹴りを見舞った

「・・・がは・・・!」

リックは身を「く」の字に折って吹き飛ぶと壁に激突し、ずるずると床に延びた

「あいかわらず見事な蹴りだな・・・」

買い物袋を両腕にぶら下げた状態でよくもまああんな蹴りが放てるものだ

「さすがハーメリアちゃん、容赦ないわね・・・」

ハーメリアのやや後方、ミリィが半分固まっていた

「その袋はいったい?」

僕はとりあえずリックのことは放っておいてハーメリアに質問した

「なにって打ち上げ会の準備よ、このパーティはここで解散だから」

「あ・・・」

そうだった、すっかり忘れていたがこのパーティはサーフィスを倒すために作られたもので

それが終わった以上パーティは解散することになるのだ

「だから、最後にぱーっと盛り上がって最後の思い出作りをするわけ」

なるほど、悪くない考えだ

「リーファ君もどうですか?」

ミリィの言葉にじりじりと後退し窓からの脱出を図っていたリーファの両肩がぴくっと跳ねた

「僕はそろそろ次の仕事に・・・」

(最後まで付き合いなさい?)

アナスタシアが窓の外から中をぬぅっと覗いた

その表情は心なしか悪戯をしている子供のようだ

「あぅ・・・」

「さーて、パーティ会場にレッツゴー!」



パーティは『リバイアサン』の裏側の空き地に机や椅子を運び出して行われた

初めは嫌がるリーファに無理やり飲み食いをさせるというイジメなパーティであったが一人二人と人が集まっていき最終的に大宴会になっていた

酒気に当てられ少し気分の悪くなった僕が少し離れた場所に避難していると隣の椅子にハーメリアが腰掛けた

「どう、楽しんでる?」

「うん、結構楽しんでるよ」

ハーメリアの顔が心なしか少し赤くなって見える、ひょっとしてお酒が入っているのだろうか?

「あのさ」

「うん」

「ちょっと考えたんだけどね」

「うん」

「このままあたし達とパーティ組まない」

「?」

「い、嫌なら別にいいんだよ?」

いつものハーメリアらしからぬ言い方だ

「・・・だめかな」

僕は少し考えて、でもすぐに結論を出した

「いいよ、断る理由なんてないしね」

「本当!?」

「う、うん、本当」

「じゃああっちで一緒に飲みましょ、パーティの参加祝いに」

「あ!ちょっと!手ぇ痛い!ねぇ!」

僕は折れた右腕をぐいぐい引っ張られながらも頭の片隅でこう考えていた

この世界に来れてよかったな・・・と



終わり

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