今、俺ことギルバート=クロウはガルディニアスの山の麓(ふもと)の名もない小さな村にいる。
ガルディニアスの山というのは旅人の間で言われている通称で本当の名前は地元の住民ですら誰も知らない。
ガルディニアスの山という名の由来は俺が生まれるよりも昔、ガルディニアス博士という魔術師が研究に打ち込む為にその山にこもった事が所以であるらしい。
そして、それからというもの穏やかだった雪山が誰もを逃さない魔の山と化してしまった。
それはガルディニアス博士が正体不明の化け物を生み出したと噂されているが、実際のところはよくわかっていない。
だが危険なことを承知で俺はそんな所へ向かおうとしている。
その理由は三つある。
一つは頼まれたからだ。自慢じゃないが今まで受けた危険な依頼はなぜかほとんどこなした。
もう一つはただ旅の路銀の底が見えかけたからだ。まだ旅の目的は達成するまで死んでやるものか。
そして最後は…いや、もういいや。寒地対策は出来たし、剣の手入れも完璧だからさっさと依頼遂行するか。
村で情報収集したところ、登山ルートは二つあるらしい。
一つはガルディニアス博士が来る前からあったルートで少なからず登山者たちが通っていたが、古代の負の遺産である獣兵…ソルビーストなどのモンスターが住み着いた為に誰も通らなくなった。
…登山をする上では比較的にらくだと思うが、魔物の大軍勢を覚悟しなければならない。
もう一つは山頂まで一直線の道なき道。…モンスターは滅多に出てこないだろうが雪山と直接対決しなければならない。
さて、どっちの道で行くか…
@旧一般登山ルート
A直線ルート