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2017/07/03(月)

Tarou 御生誕51周年

この世に生を受けて51回目の誕生日・・・
半世紀が過ぎた・・・

ちょうど二年前に癌を宣告され、二年間生き延びた。
その間に何人もの芸能人のガンによる死の報道も聞いた。
身の回りでも数人見送った。

で、どうよ・・・悲壮感漂う報道に反して、
俺は毎日、犬の体内時計の正確さで4時58分に顔に跳びつかれて起こされ、
洗濯機、を回し、ゴミ出しをしてきて、洗濯が終わると干し、
シュン(犬)の朝ごはんを作り、その後起きてくる嫁さんと食事して、
嫁さんの出勤を見送って、シュンと診療所を開けて、

シュンが、おばあちゃんが起きだしたと教えるので、
おばあちゃんに朝ごはんを提供して・・・

犬のこと嫌いな患者さんが来たら、シュンは診療所から退席。
それをおばあちゃんが、診療所のドアを開けてこっちに放り込む。

もう何回目だろう・・・。

「事前に言ってくれれば、そんなことしないのに・・へぇっへっへ。」

お昼・・・・嫁さんが下ごしらえしてくれた具材を温めて、
俺と老婆、シュンで食事。
T2号は大阪で大学生生活、T1号は深夜勤務の仕事だし、

婆と、51歳の病人と犬だけの食事・・・・
最近は婆さん、常にうながさないと箸を持ったままボォ〜〜っとしてる。
食べながら寝てしまうこともある。

ま、のらりくらりと半世紀、ガン年齢2歳、
主治医にも、よく二年も生きてますねとか言われながら、昨日は字の川堀り農業用水に出役させられた。

オキシトシン シュンのおかげで生きてるの 確かにそうかも お犬様

2017/07/06(木)

お前の仕業だよ

要介護に認定されて、新しい施設に通うようになった母。
今まで週二回だったものが3回利用できるようになった。

が、、送り出すまでが大変。迎えが9時30分。
それに間に合わすには二時間前に起こさなければならない。

起こして、紙パンツとパットの装着を確認して、
ズボンを履かせて気温に合ったシャツを見繕って・・・

もう、嫁さんは出勤で出て行かなくてはならない。
俺が朝ご飯の用意をして母を待つ。

いつまでたっても台所に出てこない。
見に行くと・・・・・・・・・・
紙パンツ、パットを水洗トイレに捨てちゃって、モモヒキ、その上にズボン、
またその上にモモヒキを四枚、その上にズボン、そしてその上にモモヒキを履こうとして、
ベットの上でもがいてる。

なんやねんこれは?
「だって、ねぇ〜外は冬だから、これだけ履かないと寒いだろうねぇ〜」

まぁそれは最近のいつものことだから驚かない。
んで、母さん、紙パンツをトイレに捨てるのは勘弁してくれ!
幸い流すのすら忘れてたからいいけど、詰まったら大変だろ!?

「私がそんなことするわけないでしょ!、そんなことするのはお前の仕業に違いない!!}

怒られた・・・>< 51歳にもなって・・・・

要介護 認可が下りて一安心 さもありなん いばら道

2017/07/13(木)

わやくちゃや!

介護認定で週3回、場合に応じてショートステイが気楽に予約出来るようになった。
んで、今日、俺が新しい治療の点滴に行かなければならなくなったので、そのお泊りをお願いして、
朝一で施設に送り、俺は俺の病院へ・・・
最新のMRI検査で、腰椎3番目に疑わしい影がある。と、いわれ、精密検査したら、
なんと、腰椎全部に扁平上皮癌が転移してると言われた。

画像を見せられると、特に腰椎3番目の椎体内部全部が腫瘍。
その上下の椎体にも黒い斑点がブチュラブチュラと点在してる。

足は痺れてませんか?激痛はありませんか?
主治医が訊く。なんか切羽詰まった表情で・・・。

残念ながら、何も症状はない。主治医の見てる前で、己の身体に、神経節に刺激を与えて、
様々な神経反射テストを実演して見せた。
あそこをピ〜ンとやるとそこが跳ね上がる。
こっちを突くと、あっちが反りかえる。

「Tarouさん、分かりましたって・・・」

主治医も、俺の職業を知ってるから、変な行動を理解してくれる。
で、言う。「薄々ってか、隠してもしょうがないから言いますけど、
今は神経症状ないけど、いずれ、近い将来、知覚障害、激痛、伴い、緩和ケアとなる
可能性が非常に大きいです。」

立てなく、歩けなく、寝たままでも激痛が来ると言われてしまった。

骨への転移は直接の死因にはならない。
内臓が丈夫な分、苦しむ時間が長引く。堰を切ったように説明されてしまった。

で、今日、未練たらしく、骨の代謝を押さえて骨のガンを抑制するという点滴を受けた。
二時間、することもなく天井を見つめながらポトポト落ちる薬品を見つめてた。

これは一か月に一度でいいと言われたが、直す治療ではない。
死期を遅らせる延命治療。
一回が結構高額だし・・・。

婆さんは日に日にボケが飛躍的に進行してるし、
で、俺が動けるうちに、完全看護の施設をひとつキープした。
「介護する者が病気で介護が困難」という利用条項に合致した。

おかあさん 明日は俺がオムツかも せめて自分で履き替えて

2017/07/14(金)

死刑宣告

「骨(脊椎)の腫瘍を抑制するってことは、直す治療ではないんですね?」
「ま、まぁ、進行を遅らせるわけです。」

「でも、薬がうまく作用すれば二年も三年も生きた例もありますし・・・。」

うまくいってそんなものらしい。
二時間の点滴の帰りに、鎮痛剤はいらんか?鎮静剤はいらんか?とか聞かれたけど、
残念ながら何処も痛くも痒くもない。

で、その帰りに、最近できたばかりの特別養護施設を見てきた。
入所条件に、介護が困難な理由を提示しなきゃならない。

主に介護をしてる者が、癌で、転移して、背骨が腐りかけてる。
それでもデイサービス以外の日は、朝昼晩と婆さんの食事を、洗濯を・・・。
と、日常生活の困難さを書き連ねて、提出書類を作成した。
少々大げさだけど、嘘ではない。

なんで歩けるんですか?とも言われたこの身体。なんで歩けるのか痺れがないのかわからないけど、
痛くない、感覚があるんだからしょうがない。
が、体力、気力の限界と書いて書類を作成した。

しかしなぁ〜うまくいけば2〜3年生きた例もありますって、本人にズバッと言うけ?

帰って、ドナーカードに全部〇してやった。
髪の毛なんか最近、何故か黒々フサフサしてるし、角膜なんかは、新聞の一番小さな文字も、はっきり見える。
肝臓、腎臓、膵臓も、定期健診の採血で20代の数値だとか言われてるし。

でも、一番嬉しいのは、この、よく聞こえる耳をもらった人だろうなぁ〜

初入院 可愛い看護師に初浣腸 あの時から怖いものなし

2017/07/15(土)

専業主夫

いつものように、朝4時58分になるとシュン(犬)が俺を起こす。
俺の目に肉球を突っ込んだり、喉にある人工心肺を入れてた穴の跡をピンポイントで突く。

起きると洗濯をするのが俺の日課。
いつものように洗濯機を回して、洗濯物を干そうと裏口の鍵を開けて干場に出たら、
なんと!母が素っ裸でウロウロしてる。

「え!? 何? 何事??」
俺は確かに鍵を開けて出たのに、何故そこにいる?
どう考えても表から出て、大回りして裏に行ったとしか考えられない。

え〜〜なにぃ〜〜! 廊下は」失禁でビショビショ。
にもかかわらず、濡らしたであろうズボンやらモモヒキが見当たらない。
夕べ、寝かせる前に確認した紙パンツと尿漏れパットも見当たらない、履いてない。

捜したら、細かくちぎって布団の下に隠してあった。

生まれたままの姿で、靴下だけ履いて洗濯物干場に立っている。
こんなのお隣さんに見られたら笑もんやん!
すかさず家に連れ込んで、パットやら紙パンツ装着させてズボン履かせて、
今日のデイサービスに備える。

で、デイのお迎えが来た。「来てくれたよ。」と言ったらまたズボンを脱ぎ始めた・・・
露出狂かぃ!!

てなわけで、特別養護老人ホームの入所手続きは続く・・・。

早朝に素っ裸の婆さんに表通りを歩かれたら嫌だもん><

夢うつつ 朝も夕べもかまいなく ケツ丸出しで 電車道

2017/07/17(月)

けれど生きている

この連休、っていっても俺は二連休なのだが。
屋敷の草刈りをした。
本来なら、母さんが時間を持て余してしてくれるはずの草むしり・・・。

それがまったく出来ない。やる気もない。
必要以上に広い屋敷が裏も表も草ボーボー。ジャングルみたい。
嫁さんは草に触れただけでもミミズ腫れみたいになるように肌が弱い。
で、蜂に刺されても平気な俺が出動。

久しぶりに混合油作ってエンジン刈払い機に火を入れる。
母さんが種を蒔いたであろう草花も雑草に埋もれていてどれがどれやら・・・。
無差別に樹木以外はゼ〜〜ンブ刈り倒してやった。

手術の後、この二年、全然汗が出ない体質だったのに、この二日間、面白いように汗が出た。
玉のように流れ落ちた。なんだか体の中に溜まっていた薬品やら毒素が流れ出すみたい。
ヌウルヌルした臭気を伴う汗・・・が、だんだんサラサラ透き通った汗に変わり素肌美人になった。

草を集めて大量に運んでもやはり腰も背中も痛くない。
蚊に刺されたけど、やはり30分で治った。
本当に脊柱侵されてるのか?免疫力さがってるのか?

広くなった庭でビールを開けてタバコを一服。
本当に俺は病人なのか?

露とおち 露と消えにし わが身かな 庭の更地にも 母は夢心地 (字余り)

奥の細道

三か月前、「母の放浪日誌」なるものをCampusノートに書き止め始めた。
その日母がとった奇妙なふるまいや言葉、会話を、次々と箇条書きにして書き連ねる。
一日でタップリ 1ページになる。

真夜中に両開きの冷蔵庫を開け放して、中の物を鷲掴みで食べてたとか、
口が不自由な俺のために、嫁さんが買ってきてくれた平和堂のコロッケを、
五個入りの紙袋を左手でつかみ、右手で素手で取り出して、立ち食いで全部食べちゃったとか、
履かせていた紙パンツを水洗トイレに下着ごと流そうとして詰まらせたとか・・・。

それが、10ページで終わっている。
もう書くことがなくなってしまったから。
最初は「これが昨日母さんがとった行動だよ。」
と、読ませることによって反省というか、自覚を促せたらいいかなと始めたのだが、
そもそも、もう読むことも出来なくなっていた。

母の過ちを記録しようと書き始めたのに、それが日常になってしまっていることに気づいてやめた。

真夜中に冷凍庫のシュウマイを凍ったまま盗み食いされても驚けない。
ヨーグルトを電子レンジで爆発させても驚けない。・・・・いつものことだから。

ボケに病んで ババァが 日常かき廻す

2017/07/20(木)

この母を残して・・・

「心臓も、肝機能も腎臓も全く異常ありません。」
総合病院の診察室で告げられた。

俺の話ではない。
しばらく前から母の足がパンパンにむくんでいる。

デイサービスで熱中症対策で必要以上に水分を摂らせるからやろ。
それに一日中座りっぱなしやし・・・。

俺の見立てはそんなとこだが、嫁さんが、なんか内蔵の病気だったら大変だから、
ちゃんと検査してもらわなきゃ・・・・と言う。

で、自由時間の多い俺が近くの総合病院に連れて行った。
予診票を書くのに並ばされて、散々待たされた後、20番に行けと言われ、
また待たされて、28番に行けと言われて待たされて、
35番に行けと言われて待たされて・・・

やっと診察になりますけど今度は1番でお待ちください。
今度はどれほど待たされるのだろう?
車に戻ってタバコでも吸ってこようか・・・。とも言ってられない。
母一人残したら、何処に行ってしまうかわからない。

番が来て呼ばれた。診察室に入るなり母がトイレに行きたいと言い出した。
待ってる間に何度もトイレ行っとけと促したのに・・・・
で、順番を送らされて、また待合室。
で、またトイレから出てこない。看護士さんに頼んで迎えに行ってもらったら、
中で半ケツのままボォ〜〜としてた。

で、血液検査の結果、心臓も肝臓も腎臓も全く健康です。
運動不足です。汗をかくような動きをしなさい。   と言われた。

この母を残して・・・恐らくは先に逝かなければならない俺・・・
せめて自分で紙パンツの履き替え、自分でズボンが履けるようになるまで・・・
って、永井 隆先生かいっ! ま、俺も一生分被爆してるし・・・。

もう放射線治療はできない。で、背骨の腫瘍は成長を抑制する延命処置。

2017/07/22(土)

三本の矢 + 嫁さん

このHP、この更新を、東京の姉、大阪の弟が度々チェックしてくれている。
俺の病状、母の認知症を心配して連絡を入れてくれた。

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今日は、市立病院に行ってきた。「次は、奥さんを連れてきてください。」
前回、そう言われたので嫁さんに都合をつけてもらい、同伴で行った。

二年前の最初の手術から、一年前の二回目の手術、で、今まで、
俺が平気な顔してるから、家で、俺が嫁さんに診断の結果を伝えずに事実を伏せてたり、
やせ我慢してるんじゃないか?実は家ではへたばってるのではないかとか聞いた。

「いえ・・・毎朝、真っ先に起きて、洗濯して、干して、認知症の母の朝ごはん、デイサービスのない日は昼ご飯、
私の勤めが残業になると、夕ご飯の支度、後片付け、洗濯物の取り込み、風呂の用意・・・。」

「じゃ、ご主人は、我々スタッフの説明や、今後の治療方針をちゃんと家に帰って説明してるんですね?」
「はい。今、先生がしてくれた背骨のこととか、これからの投薬のことも聞いています。」

俺は つんぼ桟敷・・・。

「なにか不安なことがあったら、いつでも相談してくださいね。
緩和ケアのスタッフも嫁さんを慰める。
そして、「本当に痛くないんですか?足の感覚はありますか?」と俺に振り向く。
仕方ないから見てる前でV字腹筋をバタバタしたり、スクワットしたりジャンプしてみせる。
足の指でグー・チョキ・パーして左右ジャンケンしてみせる。

ま、はったりではなさそうなので、今説明した治療方針で行きましょう・・・。と、解放された。

姉も、弟も、遠くにいて中々力になれないけど、せめて経済的な支援してくれると言ってくれた。
弟なんか、認知症の介護のセミナーで受講したり、そんな田舎よりも大阪の施設に託す選択肢はないのか?
とか、真剣に言ってくれた。
姉さんも、そろそろ楽なバイト・パートにでもなって楽しようと思ってたけどまだ頑張ると言ってくれた。

One for all all for one

2017/07/24(月)

故郷

T2号(次男)が前触れもなしに帰ってきた。
関西大学の四回生になっている。就活の中途報告。
& 父の衰え具合、ばあさんの終活状態の確認か?
真夜中に帰ってきて、一泊しただけで、、昨日の日中はほとんど寝ていて、
夜になったら大阪に戻っていった。
言葉少なだが、恐らく就職は大阪か海外だと言う。

一方、T1号(長男)は大津寄りのマンションに契約してきた。
来月から、独り暮らしを始める。こちらは、仕送り一切なしの独立。
フリーターでの貯えで、自活しながら、定職を捜すと言う。

これで我が家には寝ぼけた老婆と、ガンに侵されたオヤヂ、そして嫁さんの三人が残る。
しかもその婆さんは特別養護老人ホームへの入居待ち。
近いうちに、俺と嫁さん、シュン(犬)だけの生活になるだろう。

なるだけ、出来るだけ、社会人としてひとり立ちしてゆく彼らが、
生まれ故郷に時々でも帰省できるよう、一日でも長く頑張らなくては・・・。

種を蒔き 水やり育てた若葉たち 風雨に耐える樹と伸びた

2017/07/28(金)

子の心 親知らず

お母さん、昨日も、一昨日もその前もお願いしてるんだけど、
やっぱり今日もシュン(犬)のエサ食ったね。漏らした紙パンツをあちこちに放置したね。
24時間監視してることも出来ないんだから、少しは考えてくれよ。

「見える場所に置いておくんが悪いんだがね!」
この前怒られたから、箱に詰めて背の高い食器棚の上に置くようにしてた。
それが、今日、椅子の上に立って箱の中身を物色してた。
何度お願いしても、尚更繰り返すから食べ物全部隠したからね。
何回も言うけど、俺は背骨にまでガンが転移してて、いつ動けなくなるか分からないって言われてるんだよ・・・
そんな時、どうなる?せめて自分でパンツの交換とか食べるものの管理ぐらいしてよ・・・。

あぁ〜うるさい!食べたの食べないだの捨てたのなんのって!
そんな細かいことで一々グチグチ言って!!
そんなくだらないことが気になるなら、あんたがボケて、何も分からなくなって、
ガンだか何だか知らないけど先に死んじゃいなっ!

と、怒られた。

うるさいな! 文句言うなら死んじゃいな! 切れた実母に罵られ・・・

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