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2015/09/21(月)

とりあえず生還

生きて帰ってきた。とりあえず五体満足で・・・・

が、舌を三分の二失った。どうにか喋れるようになったのが、つい数日前。
手術が8月18日だったから、およそ一か月間は声すら出せない状態。
喉に穴あけて気管チューブなど付けられて、例えば痛くて唸り声だそうとしても、
「グァ」だの、「ヒー」だの、うめき声すらヒューヒュー風切り音がするのみ。
痰が出て、呼吸困難になってもゴロゴロ、涙ポロポロでナースコールのボタンに縋りつくだけ。
夜中に何度も吸引してもらってもアリガトウも言えない。
両手を合わせようにも両手は管で繋がれている。目でお辞儀するだけ。

そしてこの創・・・顎のラインに沿って横一文字、首の左右を縦に胸まで二本。
頭と胴体が頸椎と頸動脈だけでつながった状態での手術。
術後目が覚めたのが二日後のICUの部屋で、人工呼吸器やら、体中にパイプやらコード、
様々な管が両手両足に繋がれて、天井しか見えない。動かせるのは目玉だけ。
と、様々な電子音が聞こえるだけ。

三日ほどしたら、呼吸器外されて、頭の固定も取られた。
「ひゅ〜〜」と喉から空気漏らしながら起き上がったら、周りのスタッフが驚いて俺を押さえつけた。
まさか動くとは思わなかったらしい。実際、普通は動くはずがないらしい。

頸の筋肉だって一度切断してるわけだし、まさか頭を持ち上げるとは異例のことらしい。
でも、あがってしまったのだから仕方がない。
あとあと、やはり柔道で首の筋肉がやたら強かったからという結論に達したみたい。
ICUを二日後に追い出されて、大部屋に移されてしまった。

失った舌の欠損部分は、腕の筋肉と神経、動脈を移植して再建してくれた。

 

腕に開いた大きな穴は、お腹の筋肉やら皮膚で塞いだ。んで、こんな左腕に・・・。
これはやたら回復が早くて、ひと月経たずに、ちょっとした火傷ぐらいに目立たなくなってしまった。
ブラックジャックみたいな迫力ある縫い目を期待していたのにチョイ拍子抜け。

というわけで、手術から一か月で、外泊が許されて、帰ってきて更新してます。
舌はまだまだ思うように動かせず、飲み食いも、かろうじてノリみたいなお粥を飲み込めるくらい。
缶コーヒーを20分もかけて飲めるくらい。
なので、流動食が主食で、お腹に付けた、ビーチボールの空気栓みたいなもの(胃瘻)から流し込むのです。

嬉々として自分の惨状を写真に撮ってる者など、そういないらしく、よく怒られる。
でも、手術後の経過が早く進むので、研修医やら看護師の見習いが主治医に連れられて、
毎日俺を見学に来る。動物園の珍しい動物のようである。
点滴の練習材料にされたり、介護の寝かしたり、起こしたりの練習材料である。ダミーみたいにされる。
そりゃ、点滴の時、腕に力入れれば、見事に静脈は浮き出るし、
体勢を変える練習にちょっと手を添えればすぐに起き上がるし、
失敗しても痛がらないし怒らないし、扱いやすいらしい。

病室は最上階の8階の窓際。毎日琵琶湖のほとりで目が覚める絶景。

 

とまぁ、ここまでは順調・・・ここまでは・・・
この外泊の二日間が終わって、病院に戻ると、いよいよ放射線治療。
リンパ節に転移してて、取り切れなかった癌細胞を焼き殺す治療ですね。
でも、禿げないらしい。ここの部位の治療では・・・。癌の細胞の種類によるらしい。
すでに、化学療法は始まっていて、人によってはたちまち吐き気やら全身の潰瘍、下痢等々と、
副作用が現れるらしいけど、俺は鈍感なのか、まだなにもわからない。
放射線治療もそんな調子ならいいのになと思うけど、そうはいかないらしい。
人間が一生の間に受けられる放射線許容量が70グレイというらしい。
それを2グレイづつの33回、つまり66グレイ照射するそうで、次に再発したら、
もう放射線療法は使えない。化学療法でだましだまし・・・らしい。

ま、オペ室に入る際に一度は別れを告げたこの世界、この命、
今、痛いも、つらいもなく我が家に帰ってこられただけでも儲けもの。
これからは余生だし・・・気楽に、気長に…。

次の外泊はいつになるやら・・・。
っていうか、退院して通院治療も可能なのだが、なんせ、加入していた生命保険の関係で、
入院していた方がお金がかからないと嫁さんが言うから、病院に帰ります。
今日は帰ってくるなり、立て付けが悪くなった風呂の戸を修理させられるし、
入院してれば美人の看護師さんが優しくしてくれるし、病院に帰ります。

なんか、実際は重症患者で、入院環境も最優先の患者らしく、俺を院内感染から守るために、
個室に移されたのです。個室料無料で。差額ベット代も請求されない。
んで、俺の部屋にはDVDプレーヤーやら、ワンセグのテレビ、ギターやら持ち込んであるから、
案外快適。

2015/09/23(水)

また病院にかえります。

手術後一か月でこんなにキレイ(?)に。喉の穴もほとんど塞がった。
んじゃ、また行ってきます。ってか、帰ります。
次の外泊はいつになるかわかりません〜〜。

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