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<田舎のクリスマス>

毎年クリスマスが近づくと天気予報の姉さんが決まって言う言葉・・・。
「クリスマス寒波が来ます。今年はホワイト・クリスマスになるかもしれません。」
聞いている視聴者に、赤や緑の光の海に雪がフワフワ舞い落ちるロマンチックな光景を思い起こさせようとしているのだろうが、
そうは問屋が卸さない。

そうか・・・寒くなるのか・・・。
思い浮かぶ情景はこうだ。24日の朝、起きたら大雪だった。
昼休みに、頼んでおいたクリスマスケーキを取りにいくために、長靴履いて車の雪下ろしをして、
除雪車が作っていった氷の壁をスコップでかち割って、
いざ出発してみると、スリップして横向きになって道を塞ぐ車なんかがあるもんだから皆で横にどけて、
店に着いたら着いたで、チェーンを巻かない横着な普通車が駐車場の入り口で立ち往生。
また車から降りて押してやる。ガッポガッポと長靴のままデパートの中に入っていき、ケーキを受け取りいざ我が家へ。

店から出るとまた激しく降ってきゃがった。前方視界0ダ。車の轍だけを頼りに慎重に進む。
途中には難関が数箇所ある。狭い農道。ガードレールも無ければ轍もすでに埋もれてる。
道なのか田んぼなのか分からない光をさえぎり分厚くのしかかる降雪に何もかも真っ白け。
どうやら無事に家に着くと、二度目の除雪車がまた氷の壁を作っていきやがった。
駐車場に入るためにまた車から降りてスコップを振り回す。

それなのに、最近のガキときたらケーキなんかクリスマスだからしょうがなしに食べてます。
とでも言いたげな態度。丁度俺たちが冬至の日にかぼちゃを食うような感覚。
天気予報の姉さんの何気ない一言が、俺を疲れさす。

<除夜の鐘>

我が村(戸数24軒、人口107人)では、昔の昔から除夜の鐘を「若衆」という組織が衝くことになっている。
当然、紅白歌合戦なんか観られない。俺はもう5年前に卒業したが。

中学生になる年の正月に、「角入り」という形でこの組織に入り、翌年、「元服」をして一人前の大人になる。
そして、そこで酒を覚える。ゲロを吐きながら春祭りの神輿担ぎや、除夜の鐘衝きを受け持つ。
30歳になる年の正月に卒業なのだが、今回、俺の5歳年下の弟が卒業の年を迎えてる。
卒業する者は一升瓶をぶら下げて行って、残る若衆と酒を飲み交わし、
次の世代に代を譲るのだが、この弟が帰ってきやがらない。県外に出て生活しているのである。
故に、俺が酒をぶら下げて、次期若衆頭に卒業の挨拶に行かなきゃならん。

そして5年後には、息子1号が「角入り」
それにも俺が慣わし通りに、ネクタイ締めて、
一升瓶ぶら下げて、息子の入隊をお願いに行かなければならない。
しかし、面白いもので、計算してみると、
俺が「角入り」した時の若衆頭の息子が、我が子が角入りする年に若衆頭になるのだ。
営々と代々に亘って受け継がれてきた因習である。

若衆入りをする者は、その年の成人式の日の前日、当日、翌日の早朝6時に、
「今回、若衆に入れて頂くことになった○○です。ありがとうございます。」
と、若衆のいる家に挨拶をして回る。大雪の年でも雪を掻き分けて・・・。大人としての最初の試練である。
なのに、去年は、気を使って、早起きして玄関前を雪かきしておいてやったのに、「雪が降ってるから・・・。」
と、角入りの挨拶が来なかった。珍しく、4人も小学校の卒業生がいたのに・・・。これも時代の流れか・・・。
最近、学校からの通達にも「子供に、余りお酒を飲まさないであげて下さい。」
というのがある。

(2001年暮れ現在)

<除夜の鐘U>

20009
ところがどうだ、2人とも元服を終えていっぱしの若衆。
が、今年はハルが

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