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このページは、想い出のページなので、時間的概念がありません。時代を行ったり来たりします。

<インド人もビックリ>

ラホール・テラングはインド人。
日本に仏教を学びに来ている。
国へ帰れば結構な身分らしい。

ついでに柔道を習うということで俺たちと知り合った。
宗教に疎い俺たちは、インドという国が仏教国なのか、
ヒンズー教が盛んなのか何も分からない。
ラホールの言葉は英語なのだが、
これもボンクラ学生には分からない。

インドといえばガンジーと西遊記しか知らない俺らが
「ガンジー イズ グレート ピーポー?」とか尋ねたら、
黒い顔をドドメ色に変えて
「ガンジー イズ バットマン!!ガンジー イズ バットマン!!」と、
怒り出した。本気である。
俺はビックリ仰天。ガンジーはコウモリ男らしい。
しかし、何故怒る?

どうやら、カースト制度とかと関係があるような感じだったが、
これまたボンクラ学生には分からない。
柔道の稽古の後、皆で銭湯に行った。
おなじみの大黒湯である。
ラホールも言葉が分からないまま、
何処へ行くのかも分からないままニコニコしながらについて来た。
番台で金を払い、脱衣所までは・・・入ってきた。
そして、そこが風呂だと分かると、また怒り出した。

「フロ イズ バットプレイス ナンデ コンナトコニ ツレテキャガッタ!!」
と、言ったかどうかは定かでないが、
何か母国語で叫びながらそのまま帰って行ってしまった。
インド人は他人と一緒に風呂に入らないのだろうか?
宗教の決まりで、裸を見せてはいけないとか・・・?
それとも、アレがやたら大きかったり小さかったりなのだろうか・・・?

ラホールさん 風呂が嫌いなインド人 思想も動きも摩訶不思議

<イソップ> 

「大介の弱虫!」
乱れるテレビ画面の向こうでイソップが叫ぶ。
ご存知「スクールウォーズ」の一場面である。
何度目かの再放送なのだが、これが始まる時間になると、
第一銀嶺荘の213号室に人が集まってくる。
午後の4時ごろである。

とにかくその時間帯に茗荷谷周辺にいる仲間が、
スクールウォーズを見逃すまいと、駆け込んできて鑑賞会になってしまう。

終盤に差し掛かると、むさくるしい男たち全員が目に涙を浮かべて鼻をすする。
ハセチンなんかは意地っ張りだから涙を見せまいと、
俺の黒いフルフェイスのヘルメットをかぶって観てる。

最後、テケテケテケテケテケテケ
チャ〜ンチャ〜カチャチャチャァ〜ンカチャ〜ンチャ〜カチャチャチャァ〜カ と、
朝倉未稀が唄い始めると、みんなが今日の名場面を再現し始める。
大木大介の役をみんなで奪い合い。
イソップは知名度こそ高いが不人気。

昼下がり 他にすることあるだろに 役者集いて男泣き

<江戸っ子>

男の一人暮らしってのは味気ない。
コーヒーを飲むのも、レトルトを食うのも、味噌汁飲むのも全部マグカップ。
他に食器らしいものといえばキャンプ用のシェラカップぐらいしかない。
そこに、クリスタルのワイングラスが仲間入りした。
しかもペアで。
あっちゃん(19ページ参照)が持ち込んだのだ。
しかし、ちっとも部屋の雰囲気に似合わないのである。

食器棚は、押し入れを開けた中のダンボール箱。
そこに新聞紙敷いて並べてやったら あっちゃんが怒った。
「ムードないじゃないの!」
ムードがどうしたこうした言える部屋ではないのに、
すぐにムードとか、ロマンチックとかの言葉を使って俺を困らせる。

仕方なしに 「あっちゃんコーナー」 なる、カラーボックスを据え付けてやった。
3段のやつを横にして置き、一番右がグラス置き場。
真中が腕輪とか首輪のアクセサリー置き場。
一番左が化粧品とか、お気に入りのカセット置き場。
上にピンクのパッチワークの布切れを敷いてワインやら、
写真立てやら、鏡やらが並ぶ。
「グラスだけじゃ寂しいわ。」
スペースが出来たもんだから今度は お紅茶 を飲むカップをお家から持ってきた。
ヤカンは穴があいて小銭入れになっているから、
おしゃれなティーポットも持ち込まれた。

「おい、こらTarou!なんだよこれ。部屋が狭くなったじゃねぇか。」
「あっちゃんコーナーだぁ?ケッ!笑わせんじゃねーよ。」
ハセチンが怒る。
「ハセチン、今度、あっちゃんにそう言ってくれよ・・・。」

「やだね。あのアマ、すぐ泣きやがるからよぉ。たまったもんじゃありゃしねぇ。」

俺以上に部屋の雰囲気に溶け込んでいるハセチン。

べらんめぇ 裸電球ぶら下げて ティーポットとは笑わせらぁ

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