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このページは、想い出のページなので、時間的概念がありません。時代を行ったり来たりします。

<勝訴>

「野郎!」と思った瞬間に転倒した。
走ってる車を左側から抜こうとした所を幅寄せされたのだ。
バイクは歩道に乗り上げ横切って行って止まった。
俺は、柔道家。
転倒しても怪我をしたことがない。
今回も冷静に軌道修正しながら転がる方向を決める。
三回転して、スタッと立ち上がったところにおまわりも立っていた。

転倒自体は珍しいことではないのだが、
現場におまわりが立っているってのは初めて。
飛び込んだ先が警察署だったのだ。
富坂上警察。バイクは駐車場で横たわっている。
どっちかっていうと被害者なのにお説教を喰らう。

「学生か?」
「はい。」
「何処の学生だ?」
「○大です。」
おまわりに捕まった時は、この一言が運命を変える。
対応の警官が○大出身なら無罪放免。
仮に○海大だったりすると間違いなく切符を切られる。
この時は運良く無罪放免。
「気をつけて行けよ。」と、
バイク起こすのも手伝ってくれながら励まされて事なきを得た。

って・・・幅寄せした車、まだ、30m位先で信号待ちしてるやん!
ホントなら、車から引きずり出して俺がお説教なのに・・・。
おまわりさんが、こっち向いて敬礼で見送ってるから、できるわけがない。

以前にも、公園でハセチンにバイクの乗り方を教えてるところを捕まった。
近所の住民が通報したらしい。爆音を轟かせてたわけでもないのに・・・。
罪状は、「無免許運転ほう助
ハセチンは「無免許運転」・・・・公道じゃないのに・・・。

「何処の学生だ?」
「○大です。」
「俺の縄張りで○大の書生がこんなことすると困るなあ!」
「今回だけは同朋として一発殴るだけで許してやる。」
と、おっしゃって本当に許してくれた。殴りはしなかったけど、
調書をとるボードでパカーンと叩かれた。
やはり茗荷谷駅前の交番のおまわりだった。

娘よく聞け ○大の書生さん 末は馬賊か警察か

<あっちゃん 3 > 霊長目 ヒト科 ヒト属 哺乳類 亜種

あっちゃんはお嬢様。
なんだか、シリーズ化してきたような・・・。

ここでふと思う。このお嬢様に限らず、自分も含めて主な登場人物は大学生、短大生だ。
一番若い者でも18歳は下らない・・・。
冷静に考えてみれば、現代・・・二十一世紀と照らし合わせてみるとやることなすことすべて、
現代の高校生レベルなのではないだろうか・・・

あっちゃんに至っては、もはや人類学上「イタイ女」に分類されるのでは・・・
ヒト科ヒト属・・・直立二足歩行し、手で道具を使い、大脳はきわめて発達し、複雑な言語をもつ。
多様な文化を伝承し、地球上で最も栄えた文明をつくり上げている。
間違いではないようだ。

確かに二本足で歩いている。箸も茶碗も前足で使うし、脳みそだって大きさだけは象より上。
こと、言語に至っては、複雑極まりない。俺ですらドイツ語に悩んでいる。
多様な文化とくれば、ここに書いてきたことだけでも十分納得させられる。
そして、まさに諸外国をが目を丸くしてあきれ顔のてバブル景気を謳歌している。

安穏とした暮らしの中からじゃ五感が発達するするハズもない。
みんな生後間もない赤ん坊のままでも生存競争なしに生きていけた。

「このライス、ちょっと炊き具合が・・・」とか、「この野菜スティック、ニンジンが多すぎない?」とか、
「このブーツ新品なのに、右の方がシワが3本多い。」とか・・・
もうあのお店には行ってあげない。・・のである。

つまり、この前置き、前ふり・・・賢明な読者ならもうお気づきだろうが、
俺が何をしてあっちゃんに怒られたかを・・・。

そう。表参道という街にあるレストランで
床に落ちたジャガイモを俺が食っちゃったのが、気に入らなかったという。
映画の中の外人が見せるようなオーバーアクションで、
両手で口を覆ってイスごと立ち上がった。うっわぁ〜〜!って。

「ん?」

「食べちゃった・・・・・・・」

あかんのけ?ちゃんと払ったからゴミなんかついてないやんけじゃんさ。
そういう問題ではないらしい。
まさに多様な文化の違い。俺は、落ちたものでも、お百姓さん、漁師さんが、
一生懸命採ってきた、捕ってきたものだから、そしてお天道様が見てござるから、
粗末にしたら目が潰れると聞いて育ってきたのだから、目が潰れては困る。

実際、おなかが痛くなったこともないし、おかげで目も見える。ありがたやである。

「早く出して・・・」
って、もう飲み込んじゃったし・・・。っていうか、出したら出したでまた悲鳴あげるくせに・・・。

食べちゃった 落ちたお芋を食べちゃった ズボンでねぶって食てもうた

道端の クソでも拾って食ったごとき 驚きように驚いた

八十八(やそや)の手間かけ 米になる 一粒万倍 粗末は業

<エホバの裁き>

エホバの神はいま、邪悪な者たちに対して行動を起こそうとしておられます。
耳を傾けてください。
エホバはこう警告しておられます。
「わたしは地の人・・・・を絶やす。
・・・・わたしは人を地の表から絶ち滅ぼす。」
「主権者なる主エホバのこの言葉は、予言者ゼパニヤを通して語られました。
ゼパニヤは、忠実な王ヒゼキヤのひ孫なのです。」

ひ孫だかどうだか知らないが・・・

障子扉の向こうでしきりにエホバが唄ってる。
ノックの音に一度は開けた障子だが、一目でそれと分る顔つきに、いきなり閉めた。
こいつらは決まって幸福そうな顔で人に話しかけるけど、
向けられた視線は対象物を突き抜け遥か異世界にトリップしている。

早く帰らないかなあ。
もう10分ぐらい扉の向こうで呪文を唱えるみたいに喋りつづけてる。
時々断片的に聞こえる単語が不気味で嫌である。
祭司、偽り、邪悪、バビロニア、崇拝、罪、略奪
・・・およそ日常生活では使わない言葉をよくも流暢に話すもんだ。
なかば感心もするけど、俺には全く関係のないことだ。
冊子を無料で差し上げるなんて言われても絶対に開けてやらない。

貧困、塩の海、ぶどう酒、・・。
何度か話題も変わったようだが、しばらくして、気配は去った。
もう毎回こうだ。
ひと月に2〜3回はこういうわけの分らない布教活動がやってくる。
213号室は入り口に一番近いから、信者が一番最初に戸を叩く。
他の住民は、それを合図に一斉に部屋の明かりを消して居留守を決め込んでしまうので、
被害者は俺ひとり。

「今、こうしている間にもエチオピアでは罪もない子供達が餓えにより次々に亡くなっています。
貴方はこの事実、現実をどのようにお考えですか?」
「そらお気の毒やと、思っております。」
「何故、このような裁きが人類の頭上に降りかかるのでしょうか?」
「育てもでけんのに次々に子供を産むからちゃいますか。」
「今、貴方はこの裁きに対して立ち上がらなければなりません。」
「裁き、裁きってエホバのやろ?ウチは浄土真宗やで。
南無阿弥陀仏で充分やんか。だいたい、裁く神なんかまっぴらや。触らぬ神に祟りなしって言うやんけ。」
・・・不毛な会話は続く。

暇だと、付き合ってしまうこともある・・・

邪悪なる 民の代表Tarouさん ゼパニヤの予言で滅ぶ民

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