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このページは、想い出のページなので、時間的概念がありません。時代を行ったり来たりします。

<パイナップル>

俺は、昔から髪の毛が異常に早く伸びる。
学生時代も同じ事。
例えば、スポーツ刈りにしたとする。
一ヵ月後には、もうボーボーになってしまうのである。

5〜6センチは伸びる。散髪代もバカにならない。
東京に出てしばらくは体裁を考えて毎月行ってたけど、
東京なんてこんなものさ。
なんて悟りを開くと同時に、散髪屋には別れを告げた。

タダ新聞紙を、尻の下に広げて、自分で散髪。
長渕剛が、まだ禿げてなくて、パイナップルカットなる髪型をしていた頃だから、
それを真似る。
簡単だ。テッペンのあたりを全部同じ長さにしてやればいいだけ。
あとは、自前の剛毛が自然に独り立ちしてくれる。
見えない後ろの方は合わせ鏡で処理。

いちいち右だから左とか考えなくても、見たままに作業すればいいから楽だ。
しかし、5回に一回ぐらいは、業者に任せる。いよいよ原型が崩れてくるから。
御茶ノ水の、下倉楽器の裏辺りで見つけたパーマ屋。
見習ばかりが働いていて、カットだけなら800円。

今は、毎回業者に任せるほどの身分になった。

収入も こんなに伸びたらいいのになあ 常識外れた成長率

<歌舞伎町>

しばらく前のこと。「パパァ、学生時代って、風俗とかよく行った?」嫁さんが聞く。
「良くでもないけど一度『覗き小屋』ってのに連れてってもろたことあるよ。
新歓コンパで歌舞伎町に。・・・それくらいやろ。」

「どんなことすんの?」
「覗くだけやと思うとるやろ。歌舞伎町を甘くみたらあかんで。
路地裏に普通のビルの裏口みたいな入り口があんねん。
入って、暗〜い廊下を案内されると、まあるい部屋があんねん。
その部屋を囲むかたちで、たたみ一畳くらいの部屋が一周しててな、
5〜6部屋ほどあったやろか?それぞれの部屋にひとつ、
マジックミラーの窓がついとってな、そこから、まぁるい部屋の方が見えるちゅう訳や。

ほやで、ああ、あの窓の向こうがハセチンやな、あの窓にはヤマモトがおるんやな。
とか思ってるうちに、まぁるい部屋にスケスケの服着たキレイなお姉さんが入ってきてな、
オナニーしながら順番にマジックミラー越しに客を挑発しょるんんや。

一周したとこで今度は、なにが始まるんやろ?と思ってたら窓の上に説明が書いてあるやないか。
『マッサージを希望される方は小窓に1000円入れて下さい。』って、
どおいうこっちゃ、どないしたらええんやろ!
心配になって、他の部屋の方見たら、
ヤマモトのおる筈の部屋の小窓から1000円札がひらひらと落ちた。
おお、ハセチンも出しよった。俺だって出さいでか!ほんでな、そのキレイな姉さんがな、
最初の部屋の前に行ってな、多分、ハセチンも、ヤマモトも、みぃんな、そこに視線集中させとった思うわ。

俺らみんな椅子に座ってマジックミラーに顔くっつけとるやろ、
ちょうど股間のあたりにもう一つ小窓があるんや。
もっとも最初の部屋のその小窓を、姉さんが開けるのを見て、
自分のとこを確認したんやけどな。

姉さんなぁ、その小窓に両手突っ込んでゴソゴソ始めるんよ。
時間にして一分ぐらいやったやろか、窓から出した両手、
オシボリで拭きもって隣の部屋や。
あかん俺の部屋四つ目や。

次の次の次や。あの姉さん、ヤマモトとハセチンのチンポ握った手で俺のも握るつもりや。
逆周りではでけへんのやろか?あ、あかん、そしたら俺、二番目やんか。でも、もう逃げられへん。
観念せなあかん。ドキドキしながらアッと言う間に俺の番やがな、
ハセチンも、ヤマモトも、もっとしっかりせえよ。他愛もない。あかん・・・扉が開いた。
こっちからは姉さんの顔見えるけど、むこうは鏡が相手や。

遠くで見てたのよりキレイちゃうやん。『カチカチねぇ、大きいわよ、もう!若くて逞しい。
いつもこれで女の子泣かせてるんでしょ?』なんて白々しいこと言いもって、
チンポにローション塗ってツルツル撫でるもんやから、あえなく昇天。
Tarou、ジ・エンドや。三振、スリーアウト、ゲェームセット!や。」
「ははは、バッカみたい。」
「これだけ話させといてバカはないやろが!」

「他には・・・・・?」

「知るかい。また後で話、したるがな。」

歌舞伎町 今も昔も歌舞伎町 嬉し恥ずかし歌舞伎町

<サンクリスタル>

「わたくしどもサンクリスタルは、相模原に自社焙煎工場を持っていまして、
そこから新鮮なままのコーヒーを窒素ガス充填によりご提供することが出来る、
今までにない画期的な流通システムを開発致しまして・・・。」

何回でも言わされる。覚えるまで・・・・・。

3日前、ハセチンと、新しいバイトを捜していてフロムAで見つけた、
コーヒー豆の訪問販売の仕事だ。
ハセチンは、面接で落ちた。
営業の仕事なのに、あの受け応えじゃ当たり前だ。
質問を聞き返すのに「おおっ?」とか「なにっ?」
こっちが目を覆い、耳を塞ぎたくなる。
勧められた椅子の背もたれにふんぞり返ってるし・・・。

昨日から仕事なのだが、売り文句ばかり覚えさせられてる。
覚えるまで帰さないつもりのようだ。
明日までに覚えないと現場には出られない。
「やってらんねぇよ・・・。もうヤメる。」
同期が、勇ましく休憩時間に便所で俺に言う。
「俺はもう覚えたけ。バッチリじゃんけ。」流暢に標準語で答える。
その同期、そのあと、事務所にもヤメる。と告げに行った。
そしたら、「いま辞めると二日分の給料出ないよ。」
と、言われてスゴスゴと戻ってきた。・・・ダメじゃんけ。

研修期間中に辞めると、基本給すら出ないことが、
ここに来て初めて分った。
労働基準法かなんかに引っかかりそうだけど、
こっちには何も知識がない。
仕方なしに二日間頑張っているのだ。
落ちたハセチンのほうが利口だったかもっ知れない。

今日から本番の仕事。
支給のスポーツバッグに、
サンプルの豆と、コーヒーメーカーを忍ばして渋谷のオフィスビル廻り。
5人組で移動して、一人ずつが階ごとに事務所を攻める。
新聞の勧誘と何ら変りがない。
すでにユニマットとかが入ってる事務所に、
スポーツバッグをぶら下げた、いかにも学生風情が訪ねても、
全然話すら聞いてもらえない。
当たり前だ。
「豆を継続して購入してくれれば、
無料でこの、コーヒーメーカーを貸与します。」
などといいながら、うやうやしくスポーツバックから取り出しますは、
銀嶺荘の俺の部屋にあるのと何ら変わらないコーヒーメーカー。

なんて、ショボい特典なのだ。竹やりでB-29に挑むようなものだ。
ある事務所では、
「せっかく上司に頼み込んで自動販売機を入れてもらったのに、
何で今更手で入れなきゃいけないのよ。」って怒られた。

給湯係りに怒られたりして全くイヤになる。
それでも初日に3件獲得。
5人の中では2番。
こんなバイト、長く続ける気なんかサラサラないから、
せっかく覚えた営業言葉なんか使わない。
関西弁で充分だ。

5軒に一軒ぐらいは、話を聞いてもらえるようになった。
一言目が肝心。
「えらい、すんまへん。こないつまらん話でお仕事煩わせてしもて。」
もう「ニシ ハジメ」である。
すると、不思議と対応に出た女社員が優しくなる。
「学生さん?この寒いのに大変ねぇ。」
「いや、寒いのは平気やけど・・・。」
「ただ、売らんと帰れんのです。社長がイケズいわはるもんで・・・。」
もうマッチ売りの少女である。
「そうなの・・・、買い続けるかどうかは分らないけど、契約だけならしてあげるわ。」
ってな具合。

まず、事務所の水道をお借りして、
前の事務所で使ったままスポーツバックに投げ込んだサーバーを洗わせてもらう。
おもむろに家庭用のごときコーヒーメーカーに、お借りした水を入れる。
ミネラルウォーターなんか、ない時代だ。
自社特製の紙ファイルターを広げ、窒素ガス封入のサンプルコーヒー豆を破いて入れる。
セッティングして、事務所のコンセントで電気をお借りして、コポコポと待つこと10分。
事務所に10人社員がいても、5杯分しか作れない。
持参した特製紙コップに三分の一ほど注いで10人分に分ける
お盆をお借りして、全員に配って歩く。。
モタモタしてたから、もう冷めてる。

我ながら情けないと思いながら、そこの社員と一緒に紙コップ三分の一をいただく。
美味いわけがない

とりあえず、一区切りの2週間を勤め上げ、成績もまあまあで、歩合給も貰い、勇退。
なんやけど、散々いやな目にあったバイトの同僚達はストレス満々。

対して、終わったから安心したのであろう、担当責任者が、
「いやぁ〜僕もバイトだから、どうなるかと思ってたけど、みなさんのおかげで、
無事責任が果たせましたよ。」とかニコニコしながら喜んで見せた。
そこで、我々を最初の教育からずっと偉そうに指導してきた老け面の男が、
なんと我々と同じ学生で、バイトで、歳まで同じという事が判明。

「散々コケにしゃがって!」
と、袋叩きにされていました。卒業式の、お礼参りですね。
俺は争いごとは嫌い。

スポーツバックを、そいつの頭にかぶせただけ。
無造作に放り込まれてた豆の出し殻まみれ。

u003icn.gif  

売れるまで 帰ってくるな冬の空 売れば官軍泣き落とし

寒くても 帰れへんがな ゼニのため 味の説明 一切なし

同じケースで考えてみた

テレビの前で首を長〜くして待っていたみなさん
今回は視聴者様限定で、素晴らしい商品をご用意いたしました。

その商品とは・・・驚かないでくださいよ〜〜〜ナ、ナント 包丁です!!

うわぁ〜!見るからに包丁って感じですね!

でしょう・・・・これぞ包丁ってかんじです。他のなにものでもありません。

包丁だけでも驚きなのに、ナント、今回ケースを1個お付けします。

ケ、ケース!!・・・これは盲点でしたァ。にくいトコ突いてきますねぇ〜

はい。科学技術の粋を集めた製法で、なんと!プラスチック製。
絶対に錆びません!!
これを、包丁一本に一個、二本なら二個、送料込みでお付けしちゃいます。がんばりました!

でもお高いんでしょ〜〜?

まだまだ・・話は最後まで聞いてください。このケースというのがとにかくすごいんです。
ほら、透き通ってるでしょ?プラスチックでしか表現できない機能です。
しかも、濡れても安心。水洗いもできます。
この機能を最大限に生かして、なんと!収納後も中が見えるんです。
これなら使用後の洗い忘れも防げます。濡れたままの収納も、ほらご覧のとおり、
まったくふやけません!

ですよねぇ〜紙じゃ濡れに弱いし、中が見えない。台所用品としてNG・・・
といって、ガラスじゃ中が見えても割れちゃうし。しかも重いですもんね。
それに比べてこのケース、まさに包丁のために生まれたケースですねぇ〜。

でも、これだけじゃないんです。今、ご購入を決めて頂けば、更に・・・

さ、サラに・・・・?

な〜〜んと!これをぶら下げるフックもお付けしちゃいますぅ。

ふ、フックも・・・!?

はい〜包丁を使った後、置き場に困っているというお声の多さから、
わが社自慢のルートを使って、この素晴らしいケースを作っているメーカーから
急きょ取り寄せた、これもまた錆びないプラスチックの専用フックです!

うわ〜。至れり尽くせりですね。企業努力ってやつですか?

イエイエ・・・日ごろお世話になっているみなさまに、わが社からのささやかなお礼です。

お客様あってのわれわれですもんね^^

さて、お値段ですが、この青く透き通った専用ケースと、
包丁以外の重いものを下げると重量で自動的に壊れて危険を知らせる安全機能付き専用フック。
これら計二点をお付けして、な、なんと一万九千八百円!一万九千八百円、
大変お安くなってます!
限定一万本で、今から五分間受付しております。

お電話番号、お間違えの無いように。
東京 03 の、111 7186   111 7186
          川 ナイヤロ   川  ナイヤロ  と、お覚えください。

カワナイヤロとはしゃれてますね〜〜

包丁なんて、どれも同じだと思ってましたけど、このケースがいいですねー。
包丁が錆びても、このケースならプラスチックだからいつまでもピッカピカ。
これがあれば、カバンの中に入れて持ち歩けますもんね。

そうです。急にお友達が一緒にネギを切ろうなんて言った時、
すぐにカバンの中から取り出せますからネ。便利です。

備えあれば憂いなしですネ!

あっ!
あっ!

・・・スタッフがこちらに向かってサインを出しました。
どうやら、一万本、完売のようです。
今回ご購入できなかった残念なお客様、
ご安心ください。次回は、更に趣向を凝らした濡れに強いマナイタを・・・・・

それでは、また明日〜
それでは、また明日〜

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