仏教の巻
「仏教」
この仏教の巻は、次のような構成でできています。
@ まず、「諸仏の道現状、これ仏教なり。」で始まる総論があります。これが、この巻の核心であり、結論であります。この正法眼蔵では、多くの巻で冒頭に結論が述べられます。
A 次に二つのエピソードが紹介され、道元禅師の考え方が 示されます。
@ ある僧が巴陵に尋ねる。「祖意と教意は、同じか、それとも別のものであるのか。」と。
これに対して、巴陵は「鶏が寒いと樹に上り、鴨は寒いと 水に入る。」と応える。
A 僧が玄沙に尋ねる。「三乗十二分教は即ち不要なり、如何ならんか是祖師西来の意。」と。
これに対して、玄沙は「三乗十二分教総に不要なり。」と応える。
B 具体的な仏教の形について説かれます。
@三乗十二分教
A九分教
教外別伝と仏教
皆さんは、教外別伝という言葉をご存知でしょう。仏教の核心は教外別伝だと聞いている、そういうものだというふうに理解しているという方は、多くおられると思います。
ところが、この冒頭で、このようなことを説く輩は、たとえ大先輩であっても仏法を知らないものであるとされます。仏教の他に一心ありとする汝の仏教はいまだ仏教でないと言われます。