イスラマバードの風 NO.6   2007年8月8日発行

 みなさん、こんにちは。石原郁子です。
 8月になりました。日本では夏休み真っ盛りというところでしょうか?
 
 先日隅田川の花火大会の模様が、NHKワールドで放映されていました。私がまだ小学生の頃、大阪府枚方市の大橋にかかる夏の花火大会を、毎年楽しみにしていました。まだテレビもない時代のことです。当時の子供たちが楽しむ素朴な線香花火などと違って、夏の夜空に大小色とりどりに打ち上げられる花火は、幼い私にとって驚異であり不思議でもありました。一瞬にして消えていく様を、どれも見逃すまいと一生懸命見上げていたものです。
 ある年には途中で大雨になり、ゆかたも帯もずぶ濡れになって帰ってきたことがありました。たらいと洗濯板で私のゆかたを洗いながら、せっせと立ち働いていた、まだ若かった母を思い出してしまいました。もうすぐ母の初盆です。

 ☆雨期になりました。
 パキスタンは雨期に入りました。相変わらず暑い日が続いていますが、(室温32度、湿度35%午前11時)夜になると急に雷がなり強風がふきあれます。
 この強い風によって10〜20mの大木がよく倒れています。中には家の塀をこわしてしまったり道路をふさいでしまったりと日本では考えられないことが起こっています。
 ここの土は挿し木をするとすぐについて、見る間に大きくなります。そのぶん根っこの成長がおっつかないのでしょう!。
 
 さて我が家は一軒家の2階借りです。アルミサッシが入っているのはリビングだけでその他は昔ながらの鍵穴式ロック(?)です。これがまた面倒で、吹きぶりの雨に対応しきれません。網戸の上下2方向に鍵を開けて、外側のガラス戸にも同じことをして、また網戸を閉めて・・・をやっていると私までビショ濡れになってしまいます。一見豪邸風住宅ですが、中にはいると問題山積みです。
 何と言ってもその@は、パキスタンのコンクリートの家の暑さです。夜中になっても温度が下がりません。これは遠赤外線効果のためです。いつもは25度にする冷房ですが、寝るときには30度に設定しています。30度はここではとても涼しい(?)温度なのです。
 そのAは電気配線のずさんさです。
 私が見ても「これちょっと怖い!」と思うようなのが、室内外にいっぱいあります。そのせいか叉は計画的というのかよく停電があります。私のところは10分〜1時間くらいですが、カラチの友達の所は4〜5時間ぐらい止まるそうです。あるときには14時間も停電したと言っていました。それ故冷蔵庫対策に車のラジエーターを使っています。ラホールにいるSVは停電時によく電話をかけてくれます。コンピューターもテレビも使えなくなり、夜真っ暗な所に一人でいると人恋しくなるのでしょう。「叉停電ですか?」と笑いながら話している夫をよく見かけます。

 ☆魚屋のおじさん
 自宅から歩いて約15分、ラナマーケットの中に魚屋さんがあります。カラチから送られてくる冷凍モノですが、こんな内陸では魚は貴重品です。ムスリムのこの国では豚肉が食べられないこともあって、私たちはせっせと魚を買い求めて食べています。
 ある時レジに座っているおじさん(店主?)が「これあんたのハンカチと違うか?」と、机の中から奇麗に折りたたんだのを私に見せました。なくしたんだと思っていたハンカチでした。「うわぁ、ありがとう!私のです。」と言うと、「洗濯しておいたよ」と おじさんは言いました。髭もじゃの濃い顔に似合わず、ちょっとハニカミながら下を向くその仕草が可愛くて(?)「ありがとう!じゃぁ今日はこれを置いていく!」と 持っていた汗みずくのハンカチを渡そうとしました。おじさんはびっくりしていました。
 ただそれだけのことですが、4人いる店員さん達(男性)は皆笑っていました。英語を話さない彼らにも何となく雰囲気が分かったのでしょう。
 私は気分良く次の八百屋さんに向かいました。

 ☆道を知らない運転手
 たくさんの買い物を手に、タクシーを呼び止め乗りました。ウチには車がありません。「F7/1、street44」と言ってもタクシーの運転手はピンときてないようなので、乗ってからずっとナビをしました。どうもこういう運転手が多いのです。
地図を見せても分からないらしく、その上英語を話す人はごくわずかです。でもお金の勘定だけは今までどの運転手でもちゃんと通じていました。
私が「30ルピー、OK? (60円でいい?)」と聞くと、この運転手は「No、トウェンティルピーほしい!」と言いました。
「オイオイ!安くなってるじゃないか!だめだよ」と私は心の中で思いました。

 ☆カラコルムハイウェイ
 「カラコルム」とはトルコ語で「砕ける岩」という意味だそうです。その名のとおりパキスタンと中国を結ぶ岩山を貫く街道が「カラコルムハイウェイ(KKH)」です。ハイウェイと言っても高速道路とはほど遠く、実際はかなりの部分が未舗装です。インダス川沿いの渓谷・ギルギット・フンザ川をぬけ中国国境のクンジェラブ峠(4733m)を越え、中央アジアの山岳地帯、パミール高原を経てタクラマカン砂漠西端のカシュガルに至る全長1284kmにも及ぶ世界でも有数の高地を走る街道です。
 
 ☆フンザ
 イスラマバードからフンザまでは、バスで約11時間(実際は18時間)かかります。飛行機では約1時間です。天候や予約状況で往復とも飛行機というのは難しく、たいてい片道はバスになるようです。運が悪ければ往復バスになります。それ故フンザに行くなら最低一週間は欲しいところです。
 私たちがパキスタンに来たとき(3/30)の飛行機に、約50名ぐらいの日本人とおぼしきフンザツアーの人たちが乗っていました。今も昔も桃源郷を求める人たちのとっておきの秘境、それがフンザです。5000mを越える山々に囲まれて春はあんずの花々、秋は紅葉と 見飽きることのない美しさです。フンザの飛行機の玄関口はギルギット。ここからバスに乗り約3時間KKHを北上するとカリマバードに着きます。周囲はカラコルム山脈7000m峰のラカポジ、ディラン、スパンティーク、ウルタルなどが取り囲みフンザ川を隔てての大展望。町にはフンザの歴代藩主が住んでいたバルティット・ホートがあります。朝夕のフンザの谷はドラマチックに彩られます。

 フンザは、私の日頃の鬱々とした気分を癒してくれるでしょうか?あんずのピンク色の花は私に華やぎを教えてくれるかもしれません。白い花は日本女性のつつしみを再認識させてくれるでしょう。紅葉は思いっきりの自己表現を呼び覚ましてくれるかも?
    行こう!きっと!カラコルムハイウェイをバスに乗って、
    (お尻をかばいながら)超雄大な自然の中へ!
    いつかきっと!
 
                             それではまた。

美しい・・・


倒れた木々


塀を壊してしまいました


我が家のリビング


外部の電気配線


魚屋の主人


魚をさばく従業員


フンザへの道(KKH)


バルティット・ホート


カリマバード