イスラマバードの風 NO.31      2010年4月14日発行

 アッサラーム・アレイコム! ご無沙汰しています。石原武司です。
 1月16日から3月16日までの2ヶ月間、パキスタン国小中学校理科教育改善プロジェクトの仕事でイスラマバードに行っていました。今回が初年度3回目の長期滞在でしたが、今回は4年生理科の指導書の完成とプロジェクト1年目の終了報告書を作らねばならないので、忙しい毎日でした。
 治安の方は相変わらずで、イスラマから200km離れたペシャワール周辺では毎週のように自爆テロがあり、アフガン国境では政府軍とタリバン派が毎日のように銃撃戦をやっています。イスラマは比較的平穏ですが、油断は禁物、自爆テロや誘拐に遭わないよう気をつけて生活しています。

■家族宛メール3-1 (1月24日)
 今日はこちらにきて2度目の日曜日です。一昨日の金曜日、オーナーが日本人の,ラベンダーゲストハウスから 中国人オーナーの金門ゲストハウスに移りました。ラベンダーは快適なのですが、宿泊費が高いのと、政府機関に近いため、散歩、ジョギングが出来ないという欠点があるからです。
 金門に移って3日目の今日、はじめてお客様をお迎えしました。お客様は、パキスタンのSVで同期だったAさんです。(パキスタン生まれで、日本に帰化)。彼はSV終了後、日本で仕事を探していましたが、いい仕事が見つからず、やむなくパキスタンに戻ってきました。昨年12月末から今年6月末まで、イスラマバードのNAMULという大学で、通信工学を週6コマ、1コマ1000ルピー(1100円)で教えることになったそうです。月24000ルピーにしかならないのですが、お兄さんの家に居候しているので、何とかやっていけるそうです。Aさんには、すし太郎の五目ちらしとインスタントのシジミのみそ汁をご馳走しました。
 
先週は、火・水・木とワークショップがありました。今回のワークショップは、35人の指導書作成委員会のメンバーが作った50の授業案のうちの20について、イスラマ市内の小学校の先生にそれを使って授業をしてもらい、授業をした先生の感想を聞いて、授業案の改善を図るのが目的のワークショップでした。
 
■家族宛メール3-2 (1月31日)
 今日はこちらにきて3度目の日曜日です。先週は、ワークショップ明けの比較的落ち着いた一週間でした。金門ゲストハウスを朝8時15分に出て夕方5時半に戻る規則正しい毎日でした。先週は前々から買おうと思っていた品々をF6のマーケットで買うことができました。
1.ジョギング用トレーナー 1600Rs (1Rs=約1.1円)
  夏用は持ってきたが、冬用を持ってこなかったから。
2.パジャマ上下 1500Rs
  店でパジャマが欲しいと言うと日本のパッチを出してきた。
  パジャマはナイトウエアと言わなければいけない。
3.バンド 450Rs
4.予備の老眼鏡 3700Rs
以上ですが、すべて失敗なく、まずまずいいものが買えたと思っています。 
 先週の木曜日、勤め帰りにM氏と家を探しに行きました。プロジェクトで一軒家を借りて、家賃をシェアして住みたいと考えているからです。
 最初に案内されたのが、F10にあるマンション。
2bedroom、Full furnishedで、月800US$となかなかよかったのですが、窓から外をみると、2005年の地震で壊れたマンションが向かいにありました。それを見て、即座に断りました。
 次に紹介されたのが、同じF10にある新築のロッジ(食事なしゲストハウス)、1日3000Rsだが、1ヶ月以上借りるなら1日あたり2000Rsでよいとの話。Full furnishedで何もかも新品、ほぼ話を決めかけたが、正式契約はJICAのセキュリティ・オフィサーのチェックの後でということになった。ところが、JICAのセキュリティ・オフィサーは「このロッジは周囲の環境がよくない」といってOKを出してくれず、またもや断念。今回は、金門ゲストハウスを動くことはないでしょう。  
 ということで、元気にやっていますのでご安心下さい。

■家族宛メール3-3 (2月7日)
アサラーム・アレイコム。みなさん、お元気ですか?
先週は金曜日がカシミールデーでお休み、久しぶりに週休2日でした。私の一日の生活は次の通りです。
5:45 起床
6:00ー6:45 英会話(教材はニュースで英会話)
6:45−7:15 ジョギング・散歩
7:30−8:00 金門の朝食(お粥かラーメン)
8:15ー8:30 車で出勤
8:30ー12:00 午前中の仕事(9時まで停電、この間に会議)
12:00ー13:00 停電、この間に昼食
(昼食はイムランとコムサットへ行くか、事務所でチキンラーメン)
13:00−16:00 午後の仕事
16:00ー17:00 停電で仕事にならない
17:30 帰宅(帰金門)
17:30−20:00 夕食づくり、夕食、片付け、風呂、洗濯
20:00ー22:00 英会話(ニュースで英会話)、インターネット
22:00 就寝
 帰宅後は仕事はせず、英会話のみすることにしました。「ニュースで英会話」はとてもいい番組で、週に5つの教材が配信されますが、このうち3つを選んで、1つを2日かけて、朝夕で計4回やるようにしています。
 
昨日の土曜日、同僚のMさん、Oさんといっしょに、ユネスコで仕事をされているMZさん宅に夕食のおよばれに行きました。MZさん宅は、金門のあるF6/1の一角にあり、ご家族(奥さんと子供2人)は治安悪化のため2008年10月に帰国、現在は一人暮らしです。今年の6月には多分任地替えになるが、それまでに家族が戻ってくることはまずないだろうとのことです。MZさん宅では、ビールやワイン、いろいろご馳走になりましたが、料理は金門からのケータリングでした。言うと悪いので私が金門に間借りをしていることは伏せておきました。
 MZさんはほぼ毎日ブログを更新しています。私が彼のブログを知ったのは、国際協力の仕事を目指している教え子のH君からです。MZさんは博学で大変な読書家です。彼のブログは、国際協力に関係するものにとって、とても参考になります。ブログのURLは、
http://miyaichi.seesaa.net/article/146047414.html

■家族宛メール3-4 (2月14日)
 アサラーム・アレイコム。みなさん、お元気ですか? 
今日はこちらにきてちょうど1ヶ月です。先週の10日(水)、指導書作成ワークショップ(30人参加)がありました。4年生の指導書はほぼ完成、いよいよ今回から5年生の指導書にとりかかります。今回は、10グループ内の仕事の分担を決めるだけだったので、1日だけのワークショップでした。
 プロジェクトの仕事は、まずまず予定通り進んでいますが、NISTEの所長、副所長、大臣も次官も変わり、引き継ぎが全く出来ていないので、いろいろトラブルがあります。最大のトラブルは、NISTEの職員の半数(サバ、ショエバ、フメイラ、ウズマ、タヒラ等)は臨時採用ですが、今後契約更新しないと新所長、副所長が言い出したことです。彼女たちがプロジェクトの中心になっているので、彼女たちがやめさせられると、プロジェクトは暗礁に乗り上げることになります。(Sabaさんは年末に交通事故に遭い、2月いっぱい休みです)
 
■家族宛メール3-5 (2月21日)
 先週の昼食は3回外食でした。月曜は、元SVのAさんがNISTEに訪ねてきたので、一緒にコムサッツ大学の食堂に食べに行きました。2人で100ルピーでした。彼は月に24000ルピーしか稼いでいないので、私がおごりました。
 そのときに、彼の子供さんの話を聞きました。
彼の子供は3人(日本人の奥さんは他界)。一番上は39歳の息子さんで日本に在住。まだ独身です(外資系勤務)。2番目は34〜35歳の娘さんで、この6月にドイツ人とドイツで結婚式を挙げることになったそうです。一番下の娘さんは30歳、24で結婚して子供が二人います。
 息子さんは、日本で日本人の奥さんをもらうべく婚活をしたそうですが、いい人が見つからず、結婚相手探しをお父さんのAさんに依頼したとか。Aさんがこちらの新聞に花嫁募集の広告を出したところ、30人も応募があったそうです。たいていは、親か親戚が連絡してくるとのこと。そのうち2人(一人は北西辺境州の人で容貌が西洋人のよう、もうひとりはパンジャブの人)の写真を息子さんに送ったそうです。どちらかに決まりそうです。私が、「決まればやれやれですね。」というと、次は自分の再婚相手を探すつもりだといいました。彼は先日70歳になったそうですが、まだまだ気持ちは若いですね。
 
 木曜日は、NISTEのホステルに住んでいるMr. Ziaが昼食に招待してくれました。彼は現在40歳ですが、昨年2月に結婚しました。病床のお母さんのたっての希望で、今の奥さんと結婚したという話です。彼も北西辺境州の出身で、とても男前です。Mr.Ziaとはそれほど親しくないのに、なぜ招待してくれたのか? 思い当たるのは、日本から持ってきたスナック菓子「味ごのみ」を彼にあげたからではないかと思います。「とてもおいしかった」と言ってました。彼らは酒も飲まないのに、このようなおつまみの類が好きなことを知りました。彼らの住んでいるNISTEのホステルはとても狭く、二人はママゴトのような生活をしていました。でも、奥さんはとても料理が上手で、昼間からこんな豪華な食事をしていいものかと思うほどのもてなしで、これまで食べたパキスタン料理の中で一番おいしかったように思います。 
 土曜日の午後、現地採用職員のProf.マリックとDr.サリームと一緒に、教案作成に必要な参考図書を買いに本屋巡りをしました。昼食は、各国大使館が集まっているエンクレーブの中に出来た日本料理店、「乾杯」ですることにしました。もちろん私のおごりです。実は昨年、私の誕生日に二人から「ワイシャツとネクタイ」のセットをもらい、何かお返しをと思っていたからです。私は、彼らに「すしセット」1000Rsをおごることにしました。一度、日本食を体験して欲しかったからです。セットは、お寿司(マグロ、サーモン、エビ、卵やきネタの寿司と鉄火巻き3個)と唐揚げ、サラダ、酢の物、漬け物、みそ汁、ご飯、デザートでした。彼らはきっとお寿司を喜んで食べると思っていたのですが、期待に反して、彼らはお寿司を残しました。マリックは唐揚げとサラダ、サリームはたくあんの漬け物をご飯の上に乗せて、日本食はおいしい、といって食べていました。どうも彼らには、生の魚は苦手のようです。日本食とはどんなものか、知ってもらったことでよしとしたいと思っています。ではまた。

■家族宛メール3-6 (2月28日)
 こちらにきてちょうど6週間が過ぎました。先週も体調よく元気でした。今年は例年になく雨がよく降りますが、気温は朝でも10度くらい日中は20度くらいで、とても過ごしやすい毎日です。 
 先週、金曜日の夜遅く、プロジェクトの若手、H青年がイスラマに到着しました。昨日の土曜日は本来なら出勤日なのですが、昨日はムハンマドの誕生日ということでお休みでした。はじめは金曜日がその日だと聞いていたのですが、月の観測の結果、1日遅くなりました。
 昨日は、昼間F6のスーパーマーケットにいっしょに買い物に行って、帰って
から昼食にトリ飯を炊き、うどんを作ってごちそうしてあげました。 
 日曜日の今日は、H青年といっしょに、M氏と I 総括が部屋を借りている家に昼食を一緒に食べにいきました。その家はちょうどラベンダー・ゲスト・ハウスの裏手くらいにあり、2階の3部屋を貸部屋にしていて、1部屋2万5000Rs/月だそうです。M氏は年間8ヶ月、I 氏は年間6ヶ月しかこちらにいないのですが、いない月の家賃を払っても、ゲストハウスの家賃(金門で月9万Rs)より安あがりということで決めたそうです。もう1部屋残っているので、私に入らないかという話があったのですが、次回、5月に来たときに考えるといっています。ここでも、昼飯は松茸ご飯と播州うどんの材料を私が提供し、みんなで作って食べました。ちょっと学生時代に戻った気分でした。 
 いよいよ、帰国まであと2週間ですが、今週は1週間の指導書作成ワークショップ、来週はNISTEメンバーのレッスンプラン検討会議が1週間続きます。何かおみやげに買ってきて欲しいものがあれば、知らせてください。私はこちらでスーツをオーダーしようかと考えています。日本でオーダーしたら10万円かかりますが、こちらでは2万Rs以下で出来ます。 
 さて、純さんはもうすぐフィンランドに出発ですね。スリ、置き引きに気をつけて、思い出深い視察旅行にしてください。帰ったら、話を聞かせてください。ではまた。 

■家族宛メール3-7 (3月7日)
 こちらにきて7週間が過ぎました。あと1週間です。先週は、金曜日を除いて毎日ワークショップで、とてもハードな1週間でした。
 先日、イムランと昼食に行く前に私はトイレに行きました。小用だったので、簡単に洗って出てくると、それをイムランが見ていて、手はもっとしっかり洗わないといけないと注意され、レストランでは、もう一度手を洗うことを要求されました。パキスタンでは、一つのチャパティを何人かでちぎって食べるので、私の手の洗い方が気になったようです。彼らは左手を不浄の手といい、大便の始末に紙は使わず、水差しと左手を使います。だから、彼らは食事の前、お祈りの前には一所懸命手を洗います。(お祈りの前は足も洗う。)念のため、パキスタンのトイレの写真を添付します。では、あと一週間頑張ります。
 純さん、気をつけて行ってらっしゃい。
圭さん、迎えよろしく。

イスラマはもうすっかり春


1年ぶりにAさんと再会


音についての授業をする先生


授業のビデオを撮る


F10ブロック中心部


F10のマンション


しゃれたバスタブ


地震で壊れたマンション


金門ゲストハウス


金門ゲストハウスの私の部屋1


金門ゲストハウスの私の部屋2


コムサット大学レストラン


MZさん宅で


1日ワークショップ


靴磨き(1足10ルピー)の少年たち


My favorite lunch (35Rupee)


ジア夫妻


ジア夫人の手料理


すしセット


Dr. サリーム


Prof. マリック


男の料理


好評の播州うどん


パキスタンのトイレ