イスラマバードの風 NO.23      2008年11月23日発行

 アッサラーム・アレイコム!石原武司です。
 (あなたの上に平安あれ!)
 長かったパキスタンのサマータイムもようやく終わり、11月1日からやっともとの時間に戻りました。それと同時に停電もなくなりました。気温は、一番下がる明け方でも15度以下にはならないし、日中でも25度を越えることはありません。我々にとっては1年で最も過ごしやすい季節ですが、暑いのに慣れたパキスタン人にとっては寒いらしく、我が家のチョキダール(警備員)は一日中電熱器にしがみついています。妻は「来月の電気代の請求はどれくらいになるか」と心配しています。

◆ 朝の楽しみ
 私は、毎朝6時半から30〜40分、ジョギング1km+腹筋15回+ウォーキング2kmを日課としています。サマータイムの6時半は、実際は5時半なので真っ暗ですが、11月からは本来の6時半となり、急に景色が明るくなりました。そして、ある朝、大発見をしました。私が公園のベンチで腹筋をしていると、ベンチのそばの柳の木の枝に止まって私を見下ろしている鳥がいるのに気づきました。それは何と、アオバズク(フクロウかもしれない)ではありませんか。次の日、今日もいるかなと思って探すと、やはりいました。しかも、今度はペアでいました。2羽仲良く並んで止まっているアオバズクを見ると心がなごみます。
 それ以来、彼らに会うのが朝のジョギングの楽しみであり、毎朝カメラを持っていきます。アオバズク夫婦の写真も撮りましたが、暗いのと望遠レンズがないので、なかなかいい写真がとれません。取りあえず、一番ましな写真を載せてみました。いい写真が撮れたらまた披露します。
 パキスタンでよく見かける鳥は、インデアン・マイナとカラスです。インデアン・マイナは黄色いくちばしと黄色い足を持った、九官鳥によく似た鳥で、バヌアツにもたくさんいました。ここはインド亜大陸ですから、インデアン・マイナはここが本場で、すずめよりたくさん見かけます。
 また、パキスタンのカラスは真っ黒ではなく、灰色と黒のツートーン・カラーです。野球選手のアンダーシャツみたいで、姿はかっこいいのですが、日本のカラスと同様、ごみ捨て場のごみを漁るかわいげのない鳥です。
 それ以外によく見かける鳥は、すずめ、鳩、つぐみ、とんび、オウムに似た鳥やタカも見かけます。タカは、その付近で一番高い鉄塔のてっぺんにいて、いつもまわりを見渡しています。
 先日、ジョギングコースの道ばたで動物の死体を見つけました。最初は、車にはねられた子犬かと思いましたが、よく見るとそれは子どものイノシシでした。足が短いのと鼻の形でわかりました。ヒマラヤ山系のマルガラ山が近くにあるので、イノシシがいてもおかしくありません。でも、誰が片付けたのか、次の日には影も形もありませんでした。
 イスラム教ではブタを食べることはタブーですが、イノシシはどうなんでしょう。イノシシはブタではないから食べても良いのか、それともブタに似ているから食べられないのか、一度パキスタン人に聞いてみたいと思っています。そもそも、なぜ牛は食べても良くてブタはダメなのか、私には理解できませんが、イスラム教徒は「それはアラー(神)の教えであり、コーランに書かれているから」と納得しています。

◆ ビデオ制作は順調
 私の任期もあと4ヶ月余りとなりましたが、ビデオ制作はまずまず順調です。配属先の責任者、Mr.アッバスが10月から空き部屋を専用スタジオに提供してくれました。写真は36作目である「光合成」のビデオ撮影で、演示者は生物のシニア・リサーチ・オフィサー(責任者)のMrs.サイマ、撮影は実験助手のMr.シェファです。カウンターパートのMs.ショエバは他の仕事が忙しいといって余り協力的ではありませんが、演示者とカメラマンと私と3人いれば撮影可能なので、目標の50本を目指してどんどん制作を進めています。

◆ Mr.サバと二人の息子
 Mrs.サバは化学のシニア・リサーチ・オフィサーです。彼女の夫は空軍将校です。彼女の二人の息子は私立の学校に通っていて土曜日は休みなので、彼らをよく職場に連れてきます。浮沈子、空き缶分光器、偏光板で作った不思議な箱などをプレゼントしたせいか、彼らは私のオフィスをとても気に入っています。副所長のDr.シャミの息子、Mrs.サイマの娘と息子も時々私のオフィスに遊びに来ます。それぞれ教育熱心で、自分の子どもを科学者か技術者、医者にしたいと思っているようです。

◆ ナディーム青年
 Mr.ナディームは18才、職場で一番若い実験助手です。私の職場には、大学または修士卒のリサーチ・オフィサー(研究員)が18人(女性10、男性8)で実験助手が10人(全員男性)、清掃員2人がいます。職務分担がはっきりしていて、オフィサーは実験の準備や後片付け、講義の機器セッティング等をすべて実験助手にさせます。私など何でも自分でしようとすると、カウンターパートのMs.ショエバに「それは○○にさせなさい」と注意されます。Mr.ナディームは私の講義の機器セッティングをしてくれるだけでなく、私の講義の大のファンでもあります。ちなみに彼の給料は約5千ルピー、Ms.ショエバは約2万ルピーです。

◆35ルピーのランチ
 ニステの隣のコムサット大学に一緒にランチを食べに行っていたMr.イムランは10月13日から9週間、理科教育の研修で日本(帯広)に行っています。その間、私は妻に弁当を作ってもらっています。
 その妻が久しぶりにパキスタン料理を食べたいというので、金曜日(勤務は午前中)の昼にニステに来てもらって、コムサット大学にランチを食べに行きました。いつも食べるミックス・ベジタブルを注文しました。カレー味の野菜スープにチャパティー2枚(追加無料)ついて35ルピーです。ここのランチは余り脂濃くなく、なかなかおいしい。日本料理店(マリオットホテルの火災で廃業)だと1000ルピーはかかるのでめったには行けないが、ここだと毎週でもOKです。

我が家のチョキダール(2人はいとこ)


公園のアオバズク(?)


インデアン・マイナ


パキスタンの鳩


道ばたのイノシシの死体


新しいスタジオでの撮影風景


Mrs.サバと二人の息子


ナディーム青年


35ルピーのランチ


ニステ実験器具展示室にて(私)