アメリカ見聞録7

学校、教育制度の事など  Education System in the USA

今回アメリカ滞在中にシカゴ市内の2つの高等学校を見学する機会があった。一つはシカゴ郊外の比較的裕福な地域Evanstonにある高校と、前にも少し触れたが、シカゴ南部のAfrican American Neighborhood(黒人居住地区)のEnglewoodにある高校を案内された。
 生徒に質問する時間が少なくて十分には聞けなっかたけれど、clique(生徒のグループ)の事や、peer pressureの事など少しは話し合えた。Englewoodでは相当ひどい状況を予想していたけれど、学校は平穏で生徒は(summer sessionに参加中)very friendlyでわれわれguestsを心から歓迎してくれているようだった。生徒は日頃、child abuseやdrug, domestic violenceなどにさらされているので、学校にいる時が一番安全なのだそうだ。教師は熱心でcomputerを身に着けさせる事で「生きる力」をつけようとしているようだった。
一方、Evanstonは全米屈指の一流校でHarvard, Yale, Stanfordなどへ進学する生徒も6,7人いるとの事。日本語も教えていて、日本の学校と短期の交換プログラムもやっているとの事。校舎も小さな大学並みの規模だった。ここは、黒人や、Hispanicの生徒も少なからずいて、うまくintegrate出来ているらしい。 
さて、地域によって同じ公立校でも教育環境や教育条件などまったく違うのがアメリカである。予算もcurriculumも使う教科書も違う。日本では当たり前の先生の転勤というものもない。その理由は、基本的に一つのschool districtには一つの高校しかなく、school districtはcommunityに対応していて、各school districtにboard of education(教育委員会)があり、そこが、curriculumから教科書採択、教職員の雇用まで一切の権限を持ち、Federal Governmentはそれにはまったく関与できない仕組みになっているのである。
文部省検定教科書や、指導要領など国レベルの画一的教育が問題になっているどこかの国と違って、アメリカでは教育の地方分権が確立しており、教育の自由や自主性を保障する土台がしっかりしているのである。ただ、現在の制度下でアメリカにも悩みがあり、連邦政府は基礎学力の国基準のようなものを作りたがっているそうである。

アメリカ見聞録8へ

連載エッセイ アメリカ見聞録のTopへ