45.拡散 diffusion

 diffuseの名詞で、the diffusion of gases気体の拡散のように使い、化学の実験室でdiffusionというと、真空系vacuum lineで使う拡散ポンプdiffusion pumpを意味します。よく似た単語synonymにはscatterやspreadあります。diffuseは、光、熱、臭気など形のないものが広がっていく感じでdiffuse a feeling of happiness 幸福感を周囲に漂わせるのようになりますが、scatterは、scatter clothes about the house 家中に服を脱ぎ散らかす、The leaves were scattered by the wind.木の葉が風で散ったのように、形のあるものをまき散らすという感じです。spreadはspread (out) a map 地図を広げるのようにたたんだものなどを広げるという意味で、spread butter on breadパンにバターを塗るのようにも使うので、パンに塗るスプレッドはここからきています。

46.熱と温度 heat and temperature

 heatは、hotの名詞で「熱さ」を表すのですが、動詞として「熱する」という意味もあり、加熱器のことはheaterとなります。他に熱を表す語としては、熱があるときにhave (a) feverのように使うfever があります。feverには流行という意味もあり熱に浮かされるという感じです。temperatureは温度で、10℃はten degree Celsiusと読みます。「調節された」という意味のtemperateには、温暖な気候のという意味があり、the Temperate Zone温帯という言葉もあります。理科では、熱と温度をはっきりと区別していて、熱とは熱量quantity of heatで熱エネルギーthermal energyの量quantityを表し、温度とは熱エネルギーの質qualityを表すものです。熱量の単位として以前はラテン語の「熱」からきたcalorieが使われていましたが、現在では一般的なエネルギーの単位であるjouleが使われています。

47.熱運動 thermal motion

 thermalは「熱の」という形容詞で、thermo-という連結形で多くの言葉を作ります。例えば、温度はtemperatureですが温度計はthermometerとなり、力学dynamicsに対して熱力学はthermo dynamicsとなります。そして、温度調節のthermostatもthermo「熱」とstat「安定させる装置」からできた単語です。運動を表す言葉もたくさんあり、体育の運動にはexerciseやathletics、sportsなどを使いますが、物理的な運動には、movementやmotionを使います。move「動く」の名詞movementは、具体的な動きの方向・目的・規則性などを強調した運動で、各分子がデタラメに動いている熱運動では、動いている状態や過程を示すmotionを使います。moveからはmovie映画、moving引っ越しなどが、motionからはmotion and rest 動きと静止、motion sickness乗り物酔い、slow-motionなどがあります。ラテン語の「動くこと」の意味のmotionに関連したものとして、emotionは「(人を)外へ動かす」の意味から強い感情, 感激, 感動を意味し、promotionは「前に動く」の意味から昇進、進級、奨励を意味します。最後に、motorは「動かすもの」からきた言葉です。

48.物質の三態 three state of matter

 stateは「立つ(位置)」からきた言葉で、a state of war 戦争状態のように、「状態」を表わす最も一般的な語として、人・事物とそれをとりまく状況とのあるがままの状態を示します。「状態」で類語を調べると、the conditions of peace講和条件のように、ある状態や事情を作り出した原因や環境とその人・事物との関連を強調するconditionや、the political situation政治情勢のように人・事物とそれをとりまく状況との相互関係を重視するsituation などが見つかります。さらに、stateにはthe United States (of Amrica)のように「国家」という意味もあります。この国家は法律的・理論的な意味での国家で、「国」を最も普通に表わすのときにはcountryが、国土よりその住民に重点を置くときにはnationが使われます。「状態」からきた言葉には、estateもあり、これは「階級」という意味もありますが、He has a large estate in the country. (地方に広大な地所を持っている)のように地所の意味で使われ、〇〇エステートと不動産会社の名前に利用されることもあります。

49.固体、液体、気体 solid,liquid and gas

 Solid,liquid and gas are the three state of matter.なのです。solidは「完全な」からきた言葉で、形容詞としてはsolid fuel固形燃料のように「固体の」という意味もありますが、a solid doorがんじょうなドア、solid reasons根拠のある理由、a solid bank 堅実な銀行、a solid friend 信頼できる友などのように「しっかりした」という意味で使われます。liquidは「流れている」から、liquorは「液体の状態」からでアルコール飲料を示します。gasはchaos(空気)の意味の造語で(麻酔用)笑気(laughing gas)、催涙ガス(tear gas)などがありますが、ガソリンの意味からstep on the gas(アクセルを踏む)や、そのまま動詞にしてgassingで「毒ガスで殺す」という意味に使われたりします。「流れる」からきたfluidは、気体と固体を合わせたもので「流体」と訳され、形容詞としてはThe situation is very fluid. (事態はきわめて流動的である)のように使われます。そして、それぞれの動詞は、solidify固化、liquefy液化、gasify気化となります。さて、solid geometryのsolidはどのような意味でしょう。

50.蒸発と沸騰 evaporation and boiling

蒸発evaporationには、mysterious disappearanceのような「人が姿を消すこと」というような意味もありますが、もとの動詞はevaporateで「蒸気(vapor)を出す」という意味の言葉です。vaporは蒸気のほかに霧や霞なども含み、水蒸気water vaporのように使います。vaporの動詞vaporizeには「蒸気になる」という意味があり、名詞形のvaporizationは、gasifyと同様に気化という意味になります。蒸発皿はan evaporating dishといいます。蒸発と沸騰の違いは泡がでることで、沸騰boilingは、「泡」という意味からできたboilの名詞で、boiling pointは沸点となりますが、boilには「ゆでる」という意味もあるので、boiled eggは沸騰卵ではなくゆで卵になります。では、とろ火でゆっくり煮ることは何というでしょう。

51.凝固と融解 solidification and fusion or melting

 freezing pointが凝固点なので、凝固はfreezingという言葉を考えるかもしれませんが、ダメです。freezeは「冷凍する」というように凍らせてカチカチにすることを意味するので、Freeze! (動くな!)という使い方もします。化学では、solidifyの名詞形solidificationを一般的に温度を下げて液体が固体になるようなときに使いますが、boiled eggのように温度を上げると固まり、冷やしても元に戻らないような固まり方は、coagulate の名詞形coagulationを使って区別します。融解は、melting pointが融点なので、meltingという言葉を考えるかもしれませんが、これはイケます。他に電気の「ひゅーず」というfuseの名詞fusionも使えます。化学では、liquefyの名詞形liquefaction をliquefaction of coal 石炭液化のように熱ではなく化学反応を使って液化するようなときに使います。

52.凝縮 condensation

 condensationはcondense の名詞形で、The steam has been condensed into a few drops of water.(蒸気は数滴の水に凝縮された)のようにcondenseは気体が液体になって分子が小さく集まるときに使います。もとの意味は「非常に濃く(dense)する」という意味で、condensed milk(condense milk.では、「牛乳を濃縮しなさい」となる)やCondense this paragraph into a few sentences.(この1節を2, 3の文に要約せよ)といった使い方があります。closest packing最密構造や、close to youというときのcloseはすき間がないということですが、denseは中味がぎっしりと密度濃く詰まっているということなので名詞のdensityは密度を表します。

53.平衡 equilibrium

 「平行parallel」は知っていても「平衡」は知らない人もいるのではないでしょうか。簡単に言うと「つりあい」ですが、balanceの方がequilibriumよりもなじみ深いと思います。つりあいの類語を調べると、平均balance、均衡equilibrium、対比proportion、均整symmetry、調和harmonyとたくさんあります。equilibriumは二つのものがequalになって釣り合うという感じです。一方、balanceは「二つの皿」の意味で天秤ばかりを意味し、the Balanceで天秤座、釣り合っていないのがunbalanceです。

54.飽和 saturation

 「満たす」という意味の動詞saturateには、「十分に含む」という意味があり、The room was saturated with the aroma of coffee.(その部屋はコーヒーの香りが充満していた)のような使い方をします。化学では、水や空気に他の物質が十分に含まれていて、もはやそれ以上含めないときをsaturationで「飽和」と訳します。形容詞はsaturatedで飽和水蒸気圧はthe saturated vapor pressure of waterとなります。saturateに似た言葉としては、fill (up)一杯にする、pack詰める、satisfy満足させるなどがあります。

55.体積 volume

 本の第一巻のことをvol.1(volume 1)というようにvolumeは「巻きもの」という意味からきた言葉で、本という意味がありますが、book1が本の「内容」に関わるのに対してvol.1は「外形」からみた言葉になります。理科では、the volume of water in a lake (湖の水の容積)のように体積、量などを表しますが、He turned up the volume on the television.(彼はテレビの音量を大きくした)のように「音」のような目に見えないものの量も意味することがあります。形容詞はvoluminousで、volumetricは容積[体積]測定のとなりvolumetric analysisで容量分析の意味になります。

56.圧力 pressure

押すという意味のpressからきたのでしょうが、「おす」という漢字にも「押」、「圧」、「捺」などがあるので、調べてみるとpushは一定の方向、通例前方へ圧力を加えることで、shoveは力をこめてぐいと押すこと、thrustは力強くす早く押す[押し込む]こと、propel は(特に, 機械の力で)前方に押しやることとあり、fanとpropellerの違いがわかります。これらに対してpressは表面に力を加えて押すことで、対象物のかたちは変わっても、移動することには関心のない言葉のようです。会話でもpressureをかける(put pressure upon a person)のような使い方をしますが、関連し た言葉としては、圧力計pressure gauge(manometer)、圧力団体pressure group、圧力なべpressure cookerなどがあります。

57.絶対温度 absolute temperature

 温度の決め方には、水の凍る温度を0度とした摂氏(セルシウスCelsius)温度や氷に塩を混ぜたものを0度とした華氏(ファーレンハイトFahrenheit)温度などいろいろなものがありますが、気体の状態を記述するには「これ」ということで、(比較・相対を離れて)絶対のという意味のabsoluteが使われるのでしょう。絶対温度で0度は、摂氏温度で-273.15℃でこの温度のことをabsolute zero絶対零度といいます。ただ、化学ではこのような仰々しい言い方をしますが、物理では簡単に熱力学的温度thermodynamic temperatureという言い方もします。

58.比例と反比例 proportion and inverse proportion

proportionは、「ために(pro)」と「分け前(portion)」からきた言葉で、pro and conは賛否両論という意味になります。形容詞はproportionalで、The volume of the gas is proportional to the absolute temperature.(気体の体積は絶対温度に比例する)やThe volume of the gas is inversely proportional to the pressure.(気体の体積は圧力に反比例する)というように使います。inverse(逆の)は、数学では、inverse function逆関数、The inverse of 1/3 is 3.(1/3の逆数は3)のように使います。動詞のinvertには、逆転するという意味があり、類語のconvert(転換する)には完全に回転するという意味があるので、vertは回るという意味なのでしょう。

59.気体定数 gas constant

 定数を調べるとconstantの他に、fixed number、invariableなどが見つかります。constantは「共に(con)」と「立つ(stant)」で、絶えず続くという意味から「不変の」「一定の」となったようです。at a constant temperature(一定温度で)、the circular constant 円周率、Avogadro constantアボガドロ定数(Avogadro's numberアボガドロ数とは言わない)のように使います。fixは「固定する」で、気持ちが固まるということで「決心する」という意味もあります。fixerには、買収事件などをもみ消したり裏取り引きをする人の意味もありますが、化学では反応を固定するための定着剤を意味します。invariableは、否定を意味するinとvary(変える)の形容詞variableからできたものです。気体定数を表すRはRatio(比)に由来します。これは、PVに対するnTの比(分数)が気体定数となっているからです。ratioは、The ratio of men to women was the ratio of 2:1(two to one). 男女の比率は2対1だったというように使います。rationalでは理性のあるという意味になり、分数で表すことのできる数はratinal numberといい、日本語で有理数となります。

60.全圧と分圧 total pressure and partial pressure

 totalには、全体という意味がありますが、allと違って地名を表わす固有名詞にはつかないので、「全日本」というteamをAll Japanとは言ってもTotal Japanとは言いません。totalは個々の総合を表わしますが、類語のwholeは欠けたところのない全体を表わし、grossは控除する前の総体を表わします。allは用法こそ違いますが、意味はwholeやtotalと同じようです。grossに対してはnetがあり、netはフランス語の「純粋な」の意味でそこから「正味の」という意味になり、NET 100gとあれば、包装などを除いた中身が100gということです。partialはpart(部分)の形容詞でpartは全体の一部をなす部分を表すのに対して、類語のportionは分け前や割り当てとして全体から区分された部分を表し、piece は切断・分離された部分を表します。portionはproportionにつながり、pieceはjigsaw puzzleでつながります。

61.理想気体と実在気体 ideal gas and real gas

 idealはideaの形容詞で、イデアideaの語源は古くギリシャ語の「形態、様相」に遡ることができ、日本語では、アイディアとして思いつきや着想という使い方をしますが、英語では(心に描く)考えを意味し、Eastern ideas 東洋思想のように使います。類語のthoughtは理性に訴えて心に浮かんだ考えを、notionは漠然としたまたは不明確な意図や考えを意味することもあるようです。これに対して、realはラテン語の「ものの」という意味で外見と内容が一致していてにせものや架空のものではないことを意味し、派生語としては、reality、really、realizeなどがあります。「ウッソー」というのはreally? なのでしょうか。類語のtrueは現実のものや実際と一致していることを、actualは実際に存在することを示します。idealとrealはidealismが理想主義でrealismが現実主義というようにantonymとなります。

62.調査と研究 investigation and research

 investigationとresearch、どちらも調査と研究と両方の意味がありますが、「中に跡(vestige)をたどる」という意味のinvestigateは、組織的調査によって事実を見出すのに対して、researchは、新しい事実や科学的法則などを発見する目的で特に高度な知識をもって綿密周到な調査を行なうようなときに使われ、これらには、research institute研究所、researcher研究員、investigater研究者などの言葉があります。その他に、「熱心である」という意味のstudyは、the study of history(歴史の研究)のように(綿密で批評的な)研究や学問という意味で使われ、「(重さを)測定する」という意味のexamineは、厳密に観察し試験して調査するというところから、examinationで試験となります。

63.実験と考察 experiment and considaration

 experimentは、「試すこと」という意味からきた言葉で、「化学の実験をする」は、do an experiment in chemistryといい、機械などを実際にためしてみるための実験はtestといいます。よく似た言葉のexperience(経験)も「試すこと」という意味からきた言葉で、a man of great experience(非常な経験のある人)という使い方をするのは、いろいろと試したことがその人の経験となるからでしょうか。また、多くの経験をした人(熟練者)のことはexpertで、an expert in economics 経済学の専門家、an expert at skiing スキーの名手、an expert on the population problem 人口問題の専門家のように使うそうですが、前置詞の使い分けには頭が痛くなります。considerは、「星をよく観察する」という意味で、何かを決定する時に星占いをしたことから、決定にあたってよく考えると変化してきたのではないでしょうか。実験の結果が何を意味するものかをよく考えて判断することがconsidarationです。

64.測定と観察 measurement and observation

 measurementの動詞はmeasureで、measure the distance from A to B(A からB までの距離を測る)のように使い、measuring cup計量カップ、measuring warmシャクトリムシ、巻き尺tape measureなどがあります。測定するという言葉には、gaugeもありますが、この言葉はもともと竿ばかりからきたので、測定器や標準としての意味が強くなります。observationの動詞observeは、「注意する」からきた言葉なので、単に見るのではなく「観察」という意味になります。派生語としては、observable観測可能な、observer観測者(会議では、採決に加わらない人)、observatory気象台や天文台などがあります。「見る」で調べると、lookとwatchはものを注意して見るという自発的行為を表わしますが、lookは静止しているものについて、watchは動いているものについて用いい、see は単にものが見えるということ、gaze は驚きや賞賛などの気持ちをこめてじっと見続けること、glance はものをちらりと見ることだそうです。watchは「寝ないでいる」からきたので夜の見張り番が動く獲物や敵を探し見るという感じでしょうか。

65.溶解 dissolution

 動詞solveには「解き放す」の意味があり、それに否定の接頭語disがついているのでdissolveには「とけ込ませる」というような意味があるのでしょうか。Salt dissolves in water.(塩は水に溶ける)のようにも使いますが、dissolveには分解するという意味もあり、These chemicals dissolve fat.(これらの化学薬品は脂肪を分解する)のようにも使います。名詞solutionには、solve a problem (問題を解く)のように「溶液」のほかに「解答」という意味もあります。類語には、溶質solute、溶媒solvent、溶解度solvilityなどがあり、concentrated solutionは濃い溶液、dilute solutionは薄い溶液となります。溶媒和solvationのうち特に水を溶媒とするものを水和hydrationといいます。また、aquaもラテン語由来の水を表す言葉なので、王水をaqua regia、水和イオンのことをaquoion、そして、水溶液のことをaqueous solutionといいますが、Aquariousは水瓶座のことになります。

66.親水基と疎水基 hydrophilic group and hydrophobic group

 ラテン語でphiliaは〜好きをphobiaは〜嫌いを意味し(英語では、phileとphobe)、philicとphobicはその形容詞形となります。ここではhydro-が水を表すので、親水基と疎水基になります。類語を探すとaudiophileハイファイ愛好家、bibliophile愛書家、acrophobia 高所恐怖症、agoraphobia(雑踏する広場などを嫌う)広場恐怖症などがあります。audio-には、「聞く」という意味があり、audienceで聴衆、audiometerで聴力計となります。biblio-には、本の意味があり、Bibleは、古代ギリシャがパピルス(紙)を輸入したフェニキアの町Byblosの名からきていて、後に「本」や「聖書」を示すようになりました。acroについては「つま先で歩く人」という意味のacrobat(軽業師)が高いところで曲芸をすることからきているのでしょう。agoraは古代ギリシャの「市場」からきた言葉です。最後に、化学嫌いはchemophobiaとなり、反対に化学好きはchemophiliaとなります。

67.電離 electrolytic dissociation

 単に電子がとれたりしてイオンになることはionizationというのですが、ここでは溶解してイオンに分離するので、dissociationとなります。動詞は、dissociateで、It is impossible to dissociate language from culture.(言語を文化と切り離して考えることはできない)のように使います。反対語は、「仲間に加わる」という意味からきたassociateで、名詞はassociationとなり、form an association to promote social welfare(社会福祉を促進させる協会を作る)のように使います。次に、どちらの言葉も-sociateとなっているので、そこを調べるとsociety(社会、形容詞はsociety、連結形はsocio-)が見つかりますが、この言葉は「仲間や友」のからきたものです。さらに、接頭語のas-を調べるとas-となるのはassociateのようにs-の前にきたときで、元はad-とわかり、ad-を調べると「変化」を表すとわかります。化学では、水分子などが水素結合によって結びつくこともassociationといいます。

68.電解質と非電解質 electrolyte and non-electrolyte

 A compound which when dissolved in water will conduct electric current(水に溶けたときに電気が流れるような化合物)がelectrolyteで、その反対がnon-electrolyteということになります。接頭語のnon-は、名詞、形容詞、副詞について「非、不、無」の意味になりますが、同じように否定を表す接頭語un-は、unkindness(不親切)、unhappy (不幸な)のように名詞、形容詞、副詞に付いて「不」の意味を表すだけでなく、uncover(ふたを取る)のように動詞について逆の動作も表します。

69.溶解度曲線 solubility curve

 solubilityとtemperatureとの関係をgraphに書くと曲線になるので、「曲がった」からきたcurve が使われます。名詞としては、French curve 雲形定規、a woman with ample curves(豊かな曲線美の女性)のような使い方もあります。形容詞は二つあって、curvedは「曲がった」という意味でcurved line(曲線)のように使い、curvyは「カーブが多い」という意味で使われます。動詞としてはcurveが曲線状に曲げるのに対し、bendは厚紙や板、金属、腕などの堅いものを力を加えて曲げることを、foldは紙や布のような柔らかいものを曲げることを、twistはなかなか曲がらないものを力を加えてよじ曲げることを表します。

70.再結晶 recrystallization

 接頭語のre-は、「再び」というような意味で用いられますが、ハイフンを用いるのは、re-examine、re-recover、re-Christianizationのように次の音節がe、re-および大文字で始まる時や、re-collect(cf. recollect冷静にする)、re-cover(cf. recover取り戻す)のように既成語と区別して「再び」の意を表わす時があります。また、別のreとしてreact(反応する)、resist(反抗する)、remain(残る)、redouble(倍加する)、resign(辞職する)のように「相互、反、後、退、秘、離、去、下、再、否、不」などの意味を持つものもあります。

71.濃度 concentration

 濃い霧のことをa dense fogのように言いますが、化学ではdensityを密度として使い、濃度のことを言うときはthe concentration of salt in sea water(海水中の塩分の濃度)というようにconcentrationを使います。動詞のconcentrateは「共に中心(center)に集める」の意味で、You must concentrate your attention on what you are reading.(読んでいるものに注意を集中しなければならない)のようになります。形容詞はconcentratedでconcentrated juice濃縮ジュース、concentrated fire集中砲火のように使います。数学で使う同心円はconcentric circlesで反対語のeccentricには「風変わりな」という意味があります。類語のcondensationが濃縮という動作に重点があるのに対して、concentrationは、どれくらい集まっているか(どれくらいの濃度になっているか)という状態に重点があります。

72.沸点上昇 boiling point elevation

 沸点、凝固点の点をpointで表しますが、pointは、「刺す、とがった」という意味からきているので、the point of a sword(剣の先)のようにとがった先を示すのが元の使い方になり、ball-point penのpointもこの使い方です。現在では、the point where the two streets cross(二つの街路が交差する所)のような空間上の点、At this point he burst out crying.(この瞬間彼はわっと泣きだした)のような時間上の点、three point one four(3.14)のように小数点、win a game by ten points to three (10対3で勝つ)のように試合や試験の点、そして、That is just the point.(まさにそれが要点だ)のように話の要点までがpointでbe pointed(示されます)。では、pointmanはどういう意味でしょう。また、漢字の「点」はどのような意味なのでしょう。elevationの動詞はelevateでReading good books elevates the mind.(良書を読むことは精神の高揚になる)のように性格などを高めるのが元の意味のようですが、一般的にelevated road (高架道路)、elevator(エレベーター)のような場合にも使われます。elevationにはboiling point elevationのように「高めること」をいうときとat an elevation of 1,000feet (1000フィートの高さで)のように「高さ」をいうときがあります。「高さ」について類語を調べるとelevationが特に地上における海抜を表すのに対して、heightは程度に関係なく最も一般的に「高さ」の意味を表わし、altitudeは普通は地表や海上から計測したかなりの高さを表します。だから、飛行機の高度計にはaltitudeと書いてあるのでしょう。

73.凝固点降下 freezing point depression

 depressionの動詞は「下に(de)押された(press)」という意味のdepressで、Her death depressed him.(彼女の死で彼はすっかり元気をなくした)のように憂うつにするとか、Business is depressed.(景気が悪い)というような意味もあります。そこから、depressing weather(うっとうしい天気)、depressive illness(うつ病)やdepressed erea(不況地域)、the Depression(大恐慌、1929年10月米国に始まり30年代初めまで続いた世界的経済不況)などが派生しています。〜pressという形の単語を調べてみると、compressは共に(com)押すからきて圧縮するという意味になり、decompressで減圧するという意味になります。圧縮機のことをcompressorというのを聞いたことはありませんか。repressは力づくで抑圧するという感じの言葉で、同じ抑圧するということでも、下に押すという意味のsupressは権力で抑圧するという感じになりAll the newspapers suppressed the news.(どの新聞もみなそのニュースを差し止めにした)というように使われます。また、逆に上に押すのはimpressでHe impressed me as honest.(彼は私に正直だという印象を与えた)のように印象づけるという意味になり、第一印象のことはfirst impressionといいます。expressには、急行や特急の意味もありますが、外に押し出すというところからI don't know how to express my gratitude.(私の感謝の気持ちをどう言い表わしていいかわかりません)のように「表現する」となり、numerical expressionは数式となります。

74.半透膜 semipermeable membrane

 semi-には、semicircle(半円)のように半分という意味から、ここでは浸透するというpermeateの形容詞permeableについて半透性を意味しています。半分という意味の接頭語には、the Northern hemisphere(北半球)のhemi-やフランス語でhalf cupの意味を表すdemitasse(デミタス)のdemi-などがあり、八分音符a quaverに対して六十四分音符はa hemidemisemiquaverです。membraneとは「膜」の意味で、semipermeable membraneというのは、In water a crystalloid can pass through a semipermeable membrane, but a colloid cannot pass through it.ようなものです。

75.浸透 osmosis

 接尾語の-osisには、二つの意味があって、一つはneurosis(neuro-神経)神経症のように病名の意味と、もう一つはthe metamorphosis of tadpoles into frogs(おたまじゃくしのカエルへの変態)のmetamorphosisのように変化の意味があります。もちろんosmosisの場合は、後者の意味になります。metamorphosisのmeta-はafter、beyond、with、changeなどの意味で、morphは形という意味なので、「形を変える変化」ということで「変態」となります。他に、電気泳動electrophoresisも〜sisのつく言葉です。

76.コロイド colloid

 漢字では膠質と書き、結晶質のcrystalloidに対する言葉です。Kolloidとドイツ語では書きますが、ギリシャ語でkollaが膠なのでそれに-oidがついたのでしょう。語尾の-oidは「ようなもの」という意味で、膠のようなものとなります。「コラーゲン配合でお肌にうるおいを」というときのcollagenはkollaとgenで膠の素という意味ですが、言葉どうり膠はcollagenから作られます。〜oidとなる言葉を調べてみると、惑星planetに-oidがついたplanetoidは、惑星のようなものということで小惑星(asterが星なのでasteroidともいう)となり、繊維fiberに-oidがついたfibroidは、繊維性のものを示すことがわかります。

77.分散系 disperse system

 コロイド溶液colloidal solutionは、食塩水など真の溶液true solutionに対する言葉で、true solutionでの溶解dissolution(溶解するdissolve)にあたるのが、分散dispersion(分散するdisperse)です。溶質soluteに対しては、dispersoid分散質やdisperse phase分散相が、溶媒solventに対してはdisperse medium分散媒という言葉が使われます。媒と訳されるmediumは「中間の」という意味の言葉で、Do you have a medium in this color? (この色のMサイズありますか)というように衣服のMサイズやステーキの焼き具合を示すほかに、Television is an important medium of communication.(テレビは重要な報道機関である)のように媒体を示すこともあります。mediaはmediumの複数形でmass mediaの意味でよく使われます。

78.ゾルとゲル sol and gel

 液体状のcolloidal solutionのことは、solutionの頭をとってsolといいます。また、colloidal solutionが固化してjelly状になったものをgelといいますが、これはjellyがgelatinゼラチン(精製した膠)から作ったものの製品名で、gelatinの頭をとってgelといいます。さらに乾燥して固化したものをxerogelキセロゲルといい、xeroには乾いたという意味があって、乾式コピーの商品名にXeroxというのがあります。jellyを調べると、jelly fishクラゲが見つかり、つぎにfishで調べると、black fishがクロメダイ、blue fishムツ、cat fishナマズ、dog fishツノザメ、goldfish金魚、silver fish紙魚、star fishヒトデ、sun fishマンボウなどが見つかります。

79.ブラウン運動とチンダル現象 Brownian motion and Tyndall phenomenon

 Brownはイギリスの植物学者Robert Brownからきたものですが、Brown'sとはせずに〜anで形容詞的に使っています。このようなものを探すとLaplacianラプラス演算子、Boolean algebraブール代数、Gaussian distributionガウス分布、Cartesian coordinatesデカルト(Descartes)座標などが見つかります。motionはラテン語のmotus「動くこと」からきた言葉でモーターmotorも同じくmotusがもとになっています。phenomenonはギリシャ語phainomenon「現われる」に由来した言葉で、A rainbow is a natural phenomenon.(にじは自然現象だ)のように使います。また、複数形はphenomenaとなります。

80.透析 dialysis

 透析というのは、A process for separation of colloid from a crystalloide through a semipermeable membrane.のことですが、dialysisという言葉も「〜を透過する」というdia-と「〜を分解する、分ける」という-lysisからできています。-lysisの語尾を持つ言葉には、analysis はana-「さかのぼって」と分けるで「分析」、hydrolysisは、hydro-「水」と分けるで「加水分解」、thermolysisはthermo-「熱」と分けるで「熱分解」、electrolysis は、electro-「電気」と分けるで電気分解などがあります。

81.凝集(凝析)と塩析 flocculation and solting-out

 凝集(凝析)flocculationは、「毛くず」をあらわすflockからきた言葉で、「毛くず」のようなモロモロとした沈殿ができた状態をflocculentといい、そういう沈殿ができることをflocculationといいます。saltはラテン語のsalからきた言葉で、ほかにも、料理のsaladは「塩づけにされた」からきた言葉で、給料のsalaryは「(古代ローマで兵士に給料として支給された)塩を買うための金」からきています。用法としては、salaryが知的・専門的な仕事をする人に固定的に支払われる賃金に使われるのに対して、payは口語的な語で、給料を意味する最も一般的な語として、wagesは時間・日・週などの単位や肉体労働の量に応じて支払われる賃金として、fee は医師・弁護士・芸術家などの仕事にそのつど支払われる謝礼として使われます。

82.パーセント percent

 もともとラテン語の「100につき」の意味からきた言葉ですが、perは前置詞なので英語では(米語でなく)ではper centと分けて書きます。perには、「…につき、…ごとに」という意味があり、「一週につき20ドル」は、$20 per weekとなりますが、この使い方は、主に専門用語や商業英語で用いるもので、一般には $20 a weekということが多いようです。また、手段を示すこともあるので、per postは「郵便で」、per railは「列車で」という用法もあります。centは100という意味で、通貨では1ドルの1/100が1cent、1フランの1/100が1centime、1ペソの1/100が1centavoとなります。連結形はcenti-で、1meterの1/100のcentimeterや百年祭のcentenary(千年祭はmillenary)、百足のcentipede(pedeは足なので、pedicureは足に塗る)が見つかります。percentの使い方では、Twenty percent of the products are exported.製品の2割は輸出される。Nearly 30 percent of the wheat crop was damaged. 小麦の収穫の3割近くが被害を受けた。のようにofの後の名詞で単数か複数が決まります。また、数字ではなくsmall、largeなどがくるときにはpercentageを用いるのが原則です。

83.析出 eduction、extraction

 eductionの動詞educe(析出する)もeducate(教育する)もラテン語のeduco(引き出す)に由来する言葉で、educationは人が身につけるにいたる過程を意味する語であるのに対して、trainingは一定期間にある目的をもって行なわれる特定の分野での実際的な教育を、instructionは学校などで行なわれる組織的な教育を意味します。extractionの動詞、extractは、接頭語のextra-「…外の」「…の範囲外の」から外へ引き出すという意味になり、化学では溶液から結晶が出てくるという意味で「析出する」となりますが、一般的には、have a tooth extracted 歯を抜いてもらう、extract a cork from a bottle びんからコルクを抜く、のように使います。また、extractにはextract of beef 牛肉エキスのように名詞として析出物(抽出物)の意味もあります。形容詞としてのextraは「余分の、臨時の」という意味で、extra activities 課外活動、extra train臨時列車などがあります。

84.真空 vacuum

 ラテン語「空(から)の」からきていて、もとの意味ならHis departure created a vacuum in our lives.(彼が立ち去ってからは私たちの生活にぽっかりと穴があいてしまった)となりますが、米口語でvacuumというとvacuum cleaner電気掃除機を指します。vacuumを使った言葉としては、vacuum bottle魔法びん、vacuum pump真空ポンプ、vacuum-packed真空パックの、があります。類語のvacantは、空の(名詞はvacancy空)という意味で飛行機などで見かける単語で、反対語はoccupideです。また、vacantの動詞vacateは家や仕事をあけるという意味で、この名詞がvacationとなります。さあ、もうすぐ待望のthe summer vacationがやってきます。

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