操業

炎が40〜50センチ上がる状態で20〜30分加熱してから砂鉄を投入しはじめます。炭が十能1杯分くらい減ると砂鉄を100〜150グラムくらい入れて炭を足します。

これを数十回繰り返すと、覗き窓からのろが溜まっているのが確認できるようになります。(覗き窓から炉内を見る時は必ず濃いサングラスが溶接用の眼鏡などを使って下さい。直接炉内を見ると目を傷めてしまいます。)のろが羽口を塞ぐ前に「のろ抜き穴」を開いて炉内からのろを流し出します。のろが十分出るとのろ抜き穴を塞ぎ操業を続けます。これを数回繰り替えし、「ケラ」が羽口を塞ぎそうになる前に操業終了の準備にかかります。

砂鉄の投入を止めて炭だけを入れます。20〜30分経つと炭を入れるのも止めて、送風量を増やし炉内の温度を上げ、溶けきれていない鉄やのろを溶かし炉内を綺麗にします。上釜の部分の炭が無くなる頃、のろ抜き穴を開き残っているのろを全て流しな出します。それから上釜を取り去ります。

更に中釜と元釜を分離します。この時、中釜と元釜は、つなぎ目の粘土が溶けて固まっている事が多いので最初に楔などを打ち込んではずします。それから、中釜の中には灼熱の炭や鉄くずが詰まっていますから、分離する時は特に注意をして下さい。出て来た炭は素早く火消し壷に入れて辺りを片付けて下さい。残った元釜の中にケラとのろが詰まっています。これをバールなどで掘り出します。出せない時は元釜を裏返して柄の長いハンマーなどで叩いて出して下さい。出て来た塊を溜めておいた水に沈めて冷却します。この作業は大変危険ですから、露出部のない服を着用し溶接用の革手袋などを使って下さい。

冷却の終わった塊を鎚で叩き、のろを外して下さい。カチンカチンと硬い感触の部分が鉄で柔らかい感触の所は炭やのろです。上手く行くと投入した3割程度の重さのケラが出来ます。

炉の継続使用

炉体が十分冷めると元釜や中釜に付着したのろや繋ぎ目の粘土は、コンクリートなどを砕くノミで丁寧に取り除いて下さい。羽口も残った部分を取り外し次の操業に備えて下さい。使用中に壊れた部分は耐火セメントにほんの少し粘土を加えた物で補修して使って下さい。この炉は手入れを丁寧に行うと10回くらいは継続使用が可能です。

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