短期集中連載!

デスカノン
第七話


 動物愛護の北川は前に進む。
 いや、動物愛護というのはデスクリムゾンかもしれないが。
 そのデスクリムゾンはまたしても形を変えている。
 例によって例のごとく、そんな事は北川は気にしてはいないが。
 目的さえも忘れている人間なので、どんな事があっても驚かないのだ!
 ぽんぽん。
 そんな北川の肩を軽く叩く少女。
 手に持ったスケッチブックには
 『こんにちわなの』
 と大きく書いてある。
 「こ、こんにちわ」
 不審に思いながらも返事を返す北川。
 少女はにっこり微笑み返す。
 屈託のない笑みだった。
 「どうしたんだ?]
 すると、少女は少し戸惑いながら
 『道に迷ったの』
 と書いて北川に見せる。
 北川も目的がわからなくなっているのだから同類と言えば同類か。
 「まぁ、迷っているといえば、俺もそうなんだが……」
 『一緒なの』
 にこにことスケッチブックに書く少女。
 しかし、コレは資源の無駄使いともいえなくもないだろう。
 北川の地球愛護の気持ちが募る。
 「なぁ、君はどうして紙に言葉を書いているんだ?」
 素朴な疑問。
 それがどんな意味をしているのか、北川はまだ気付いていない。
 少女はその問いに戸惑いながらも書き上げた。
 『喋れないの』
 「そうか……」
 気まずい雰囲気が流れる。
 そして、次に出た北川の台詞は……
 「手話が使えれば、そんな資源の無駄もないと言うのに、それを覚えようとしない地球の敵だな!」
 今までの柔らかな雰囲気が一気に崩れる。
 そして、残ったのは殺伐とした雰囲気のみ。
 『酷いの』
 「地球に対して酷いのは貴様じゃぁ!」
 大きく声を張り上げる北川。
 ビシっと少女を指差す。
 が、ごそごそと彼女は何かを探し出した。
 どこからともなく現れるホワイトボード
 『これなら、書き消しできるの』
 得意げに胸を張る少女。
 だが、そんな偽善が北川に通じるわけもない。
 大きくため息を吐く。
 「そんなものがあるならなぜ今まで使わなかった!やはり地球の敵決定」
 銃口をゆっくりと少女に向ける
 『撃つの?』
 「これまでの無駄遣いを後悔するんだな」
 パァン……
 乾いた音が響く。
 地面に倒れる地球の敵。
 「ふっ。地球の敵がまた一人減ったか」
 勝利に酔いしれる北川。
 だが、少女の手は、地面にある文字を残していた。
 最後の力を振り絞った、この事件の犯人の名を。
 「ん?なんだ、この赤い文字は?」
 文字を見る。
 赤字で『デスクリムゾン』と書かれた文字。
 北川はその場で、綺麗に文字を消した。
 これで証拠はなくなる。
 少女は何も残せず、この世からいなくなってしまった。
 「赤字で名前を書くとは……呪うつもりか。まったく逆恨みもいいところだ」
 北川。
 彼はダイイングメッセージの意味が分かっていない。

 残り人数 5人

 


つづく


是非是非是非是非ハベラさんにご感想を(笑)
ちなみに杉菜は内容に関与しておりません(笑)

メアド:habera@kun.ne.jp

HPアドレス:http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/9113/

【第六話へ】 【BACK】 【第八話へ】