短期集中連載!
デスカノン
第三話
街に出る北川。
が、白い街はいつもとどこか違っている。
デスクリムゾンを握る手に汗が浮き出てグリップをぬらす。
イヤでも緊張させられる空気。
「何が出てきてもおかしくないって状況だな」
ぐるりと辺りを見渡す。
……………
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人の気配はない。
が、その刹那!
「覚悟するだよもーーーん!」
「上から来るぞ!気をつけろ」
重力に逆らう事なく落ちてくる一人の女性。
驚いている暇はない。
北川はおもむろに落ちてくる女性に銃口を向け、引き金を引く。
乾いた音と共に銃弾が銃口から飛び出した!
避けられるタイミングではない。
「し、しまっただよもーん!」
「こんな簡単にやられるものか!主人公がっ」
勝利を確信する北川。
彼女も覚悟を決めたのだろう。
重力に逆らう事無く、落下してきている。
が、このまま直撃かと思われた銃弾は、彼女右下にそれて虚空に消えていく。
「は?」
間抜けな声はどちらからだろうか。
が、その答えを見付ける前に。
べちーん!
無様に顔面から女性は地面に激突した。
もちろん、綺麗に人型の穴を地面に開けながら。
「おーい」
「痛いだよもーん」
穴の奥の方でそんなのんきな声が聞こえてきた。
返事が聞こえると言うことは生きているという証拠だ。
しかし、彼女が開けた穴を見ると、そこそこの高さから落ちたのが容易に想像できる。
それでも生きているのは、流石と言っていいのだろうか?
それ以上の何かを感じてしまうが。
「死ぬかと思っただよもん」
「普通は死んでると思うぞ」
「ヒロインは簡単に死なないのが定番だよもん。死んだと思っても生返るのが定番だよもん」
「ゲーム違うぞ。しかも、居なくなるのは主人公の方だし」
「細かい事は気にしないで欲しいだよもん」
自分の開けた穴からはい出てくるなりそんなツッコミを入れる北川。
もちろん、彼女にはスリ傷一つない。
顔は泥で汚れているけれども。
「しかし、あの方向なら確実に当たってたと思うだよもん?」
「ふっ。これだから素人さんは……。聞いて驚け!この俺の銃は普通の市販のモノなんかとは違う!
照準をどんなに合わせても、必ず右下にそれるのだ!」
「……それを一般的に欠陥品と言うだよもん」
「そんな常識など知るか!」
きっぱりと言い切る北川。
その姿にはほれぼれとする自信さえも見える。
もっとも、人間として間違っている姿かもしれないが。
「も、もしかしてその銃はデスクリムゾンだよもん!?」
「なっ!?デスクリムゾンを知っているとは!キミは……」
「別に長森瑞佳って名乗るほどのものじゃないだよもん」
「一言忠告しておくが、それはめちゃめちゃ名乗ってるんじゃないのか?」
「細かいことは気にしないでおくものだよもん」
細かいかどうかなどこの際は気にしない事にしておく。
もちろん、長森瑞佳という少女にしてみれば些細な事なのだろうけど。
「それよりも、そのデスクリムゾンは進化する銃だよもん」
「進化する?どういう事なんだ?」
「さぁ、私の出番はココまでだから後の事は気にしちゃだめだよもん。というか乙女の秘密だよもん」
肝心な所は説明しない。
それが謎を帯びているのか、単に説明不足なのか分からない。
とりあえず、これから先はまだ不明という事だろう。
「なるほど!分かったぜ!せっかくだから聞かずに楽しみにしておくか!」
にかっと何も考えてなさそうな笑いを浮かべる北川。
しかし、その表情はなぜか、どこか納得しなような表情も見受けられる。
「それじゃ、用の無いキャラは処分」
パン!
やけに乾いた音が響く。
「え、えいえんはあるだよ……もん」
残り人数 10人
つづく
是非是非是非是非ハベラさんにご感想を(笑)
ちなみに杉菜は内容に関与しておりません(笑)
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