短期集中連載!

デスカノン
第十話


「えいえんはあるだよもーん」
 子供の声が聞こえる。
 北川ははっとした。
 「ということで、ここは宇宙船だよもん」
 「あー意味が通じない上に、設定が滅茶苦茶なんだが」
 「その前に、この話に設定なんて高度なモノはあったんだよもん?」
 「……………なかったような気がする」
 少女に言いくるめられた。
 窓から見える黒く広がる宇宙。
 ちりばめられたような星々。
 まさしく宇宙である。
 「気になったんだが、この窓に付いている学校の窓みたいな鍵はなんだ?」
 「鍵に決まってるだよもん」
 当然のように答える子供。
 「するとなんだ、この窓は開くと言うことか」
 「換気はどこでも大切だよもん!」
 力説された。
 宇宙で換気が必要ってかその前に空気ねぇだろ!とかいうツッコミを抑える。
 「換気しようかだよもん?」
 「遠慮しておく」
 きっぱりと断っておく。
 このまま窓を開かれたらどうなるか分からない。
 まぁ、今までの展開上、死ぬようなコトはないと思われるが。
 「で、ここにいつの間にか連れてこられた理由は?」
 「もちろん最終ボスを倒すためだよもん」
 「何!?すると、お約束通り、ボスを倒せばクリアになって必要なモノが手に入り尚かつ英雄で何もかも無事に解決!
 これでこそ主人公!ってかそれ以外ねぇだろ?オイ。みたいなコトになるわけだな!」
 「長い上にわかりにくい台詞だよもーん」
 汗を額に浮かべる少女。
 もちろん北川はそんなコトは気にしない。
 なにせ最終ボス。いわゆるラスボス目前なのだ!
 「それでソイツはどこだ!?」
 「ふっふっふ。それは……」
 「貴様かぁぁっっっ」
 パァァァン!
 乾いた音が響く。
 そして、倒れる少女。
 「ち、違うだよもん……」
 「あーいやぁ、スマンスマン」
 悪気の欠片もないように微笑む北川。
 頭を掻く。
 「出会う敵は……ガク」
 「ぬぅっ!重要なコトを言ってから死ね!つーかオイ。マジですか?ってかこれからどうやって帰れってオイ!地球に戻れんぞ?
 死ぬ間際にガクなんて古典的な死に方はないだろ?な?そうだろ?冗談だろ?英雄目の前にしてこのオチはないだろう?
 これは主人公に対しての侮辱だぞ!分かってるの か?おい」
 もちろん反応はない。
 どんなに揺すってもその少女が目を開けることはなかった。
 そしてゆっくりと流れるピアノソロの音楽。
 「なんだよ!?このエンディングみたいな曲は。ラスボスは?俺の最終目的は?英雄の立場は?つーか地球に返せって!誰か!聞け〜〜〜〜〜」
 宇宙船はゆっくりと進んでいく。
 それはまるで、戦士を弔うかのように、ゆっくりゆっくりと……。

 残り −1人

 
 すいません前回の茜で力を使い果たしてしまい現在はこんな絵しか描けません(爆)

 つづく


是非是非是非是非ハベラさんにご感想を(笑)
ちなみに杉菜は内容に関与しておりません(笑)

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