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1.電流と発熱(ジュール熱)
1分程すると温かさを感じるようになり,2分ほどするとはっきりわかります(図1-1)。束ねたS-cablleを持つと,よりはっきりわかります(図1-2)。なお,実験中,熱くなって困るという事はありません。
温かくなることで,S-cablebに電流が流れていることを実感できます。これによって,次の「エルステッドの実験」で電流と磁場の関係を認識し易くなります。また,温かくなった電線は,しなやかで扱い易くなります。 少し大きい5Aの電流を流すと,数分で温かさを少し越えた熱さを感じるようになります。この場合,5分程度までの実験にしたほうが無難です。S-cableの標準仕様を最大4Aに設定した理由の一つでもあります。 小学校で導入されたジュール熱の教材は,接続した電熱線の発熱で学びます。しかし,「電熱線だから発熱した!」となり,「電流によって発熱した!」とは認識しにくいのです。それに対し「S-cable」は電線全体が発熱するため,よりわかりやすい教材になると考えています。
児童・生徒が輪になって,「S-cable」の傍に並びます。各自が方位磁針を持って,「S-cable」の好きな位置に近づけます(図1-4)。4A程度の直流電流を流し,方位磁針の動きを観察します。エルステッドの実験を真似て,大きな方位磁針1個の動きを演示してもよいでしょう(図1-5)。 「実験例」 (1) 方位磁針を置く位置を変えて,動きを観察します。 (2) 電流の向きによる方位磁針の動きを観察します。 (3) 方位磁針の動きが,電流の大きさに関係していることを観察します。
電線(電流)に対して垂直方向に渦状の磁場が出来ていることは,一人がS-cableを上下方向に持って,もう一人が持った方位磁針を一周させると確認できます(図1-6)。 手のひらの上に3個の方位磁針をのせ,直交するようにパスカル電線を通します(図1-7)。これは,大変,印象深い実験となるようです。
非磁性体(プラスチックなど)の板を利用すると,演示での説明に便利です(図1-8)。小さい方位磁針をたくさん並べた方がわかりやすと考え,試しました(図1-9)。しかし,大きな方位磁針の方が印象深いようです。 電流の向きを変えると方位磁針は逆転します。また,電流の大きさを変えたり(電圧を変える),スイッチを切ると,地磁気の影響が現れます。これらによって,電流と磁場の関係をより深く考えます。
『鉄粉の描く渦模様』
「鉄粉」 私は,「鉄粉末(50メッシュ)」の試薬容器の口に二重にしたガーゼを輪ゴム留めし,そのまま振るっています。還元鉄なども含め,メッシュ(数字の小さいほど細かい)違いのいろいろな鉄粉を試しましたが,それぞれ,それなりの渦模様ができます。最適なメッシュを探すより,そういった違いを見たほうが面白そうです。粗い渦模様になりますが,海岸で拾える「砂鉄」も使えます。 鉄粉を振りかける板はアクリル板(3〜5mm厚の乳半)で自作しましたが,静電気の影響で渦模様が崩れて困りました。板を汚したり,霧吹きで水を撒いたり,直前にマッチで火を点けたり(炎のプラズマで静電気を中和)という工夫を繰り返しました。そのうちに問題はなくなってきましたが,研究の余地があります。また,板はしっかり保持し,叩く位置や強さを工夫しないと,偏在した振動によって同心円状の渦模様になりません。これに限らず,実験には工夫と慣れが必要です。 「マグチップ」(長さ2mmにカットした直径0.3mmの亜鉛めっき鉄線,中村理科工業)をS-cableに振りかけると周りにくっつき,電流を切ると落ちます。これは,新潟県の乙川尚史先生の提案で,エルステッドの実験の直後にデービー(英)が鉄粉で見つけた現象の再現でもあります。
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●実験室2 ●実験室3 ●実験室4 |