「エス」を載せる



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「エス」を運ぶ場合、自走以外には、大きく分けて二つあり、ひとつは、トラックつまり積載車に載せる場合と、牽引する場合とにわかれる。今回は、いつものメカリポートとは少し毛色の変わったリポートをお届けしたい。というのも、こういったリポートは数ある、それらしいメカ雑誌、A誌や○誌、さらにはモータスポーツ各誌に掲載された記億があまりなく、あればお許しの程を。とにかくけっこう、基木的であたりまえすぎる事 (だからこそ、書籍にそのリポート等紹介記事がないのだろう)ではあっても、一般的でない内容ではある。特に工ンシンの脱着よりは遥かに一般的でない重量のクルマをある高さに上げなければならない行為に違いないからである。さらにはそれを移動させ、無事(この場合無傷で、最悪の場合では落とさず)に目的地まで運び、今度は降ろす行為まで考えると大抵、 および腰になり考えこんでしまうはず。実は筆者も遥か昔、「エス]でヒストリックレースに参戦を決めた時、この問題がます立ちふさがり、ありとあらゆる手段を何か月も思案した記憶がある。、周囲にそういう境遇の人がまったくいなかった事もあって完全な暗中模索だった。当時ツクパに 関東圏以外から参加していたのは筆者と広島(これは、凄かった、脱帽もの)の2人だけだった と思う。だから、最初に考えたのはリスクの少ない牽引法だった。それもトレーラではなく、 かってに3角法と呼んでる、牽引される方も完全に4輪とも地面を転がす、やり方で、これが結構うまく行き、重いクルマを上げ下げするリスクはない。さらにはフロントアライメント のためにまったく内輪差を気にしないで牽弓可能、前車の轍をまったくそのままトレースするのでバツグンだった。「エス」で「エス」あるいはアダプターで、1300で 「エス」を牽引させる事もできるスクレモノだった。それが、いまでも我がガレージで 惰眠を貪っている。が決定的に問題だったのは、高速道路がダメな事だった。だのにである、 初めてのツクパヒストリック力ーレース用運搬手段に最後までその方法が頭を過っていた。一般道路を時間をかけて走り切るという信じられないばかげたアイデアがずっと頭から離れなかった。 それほど未経験の分野、まして経験者が周囲にまったくいない状況では、トラックに積む行為が非常に恐ろしかったのだ。が結局は、レンタカーにしたのだが積むのに恐ろしく時間が、 かかったうえかなり怖い思いをした。載せるためのラダーレール(今でもそれを使っているが、 作ってもらった鉄工所でもそういう経験がなかったから恐ろしく重くできてしまい扱いが大変) が「エス」が乗った瞬間トラックから、そのレールが落ちたり、トラックにロープで固定する方法もまったく分からすにひたすらグルグル巻きにしてしまうなどして相当てこずった記憶が残っている。今では信じられないぐらい、当然の事のように扱っては、いるがこの状態までは試行錯誤の連続だった。今回は、この積載についてリポートをお届けしようと思う。



まず、トラック積載のリポートの前に先述のトレーラについて。現在の規則によれば、「エス」 をトレーラに積み普通免許で高速道路を走行する事は残念ながら不可である。規則によると牽 引車がその台車と積載車つまリ「エス」との合計が750Kgまでが、普通免許で牽弓可能らしい。 当然そのトレーラー自体も車検を取ってであるが、どんな軽い「エス」を作っても不可能である。 はっきり言ってしまえば近拒離以外はトラックしかないのが現状である。普通、積載車と言うとほ とんどが判で押したように2トン積み以上と言われるのだが、最初のレンタ力ーからの経験でもっと 小さいトラックでいけるはすとの判断でこのイラストのボンゴロング1トン積みに決定した次第。 この決定は大正解でまったく問題はなく今日まで至っている。ごくわずかの金額で購入し、すでにもう10年以上ツクバにフジにさらにはナ力ヤマ、TIにそしてスズ力にと日本中を 「エス」を積んだフルキャパシティで走り回った。取り同しや維持の事、さらには購入にしても 「エス」の積載トラックとしてはこのセダンベースのトラックが最適といえる。このサイズ、 容量から言えばまったく問題はない。が、その固定法から言えば、オーナトラックであれば後述するように問顎はないが、レンタカーであれば問題が生じる。まず、レンタカーのあおりの下部に穴のあいているタイプだとかなり間題が解決するが、大抵は開いていない。このことは「工ス」 を荷台に固定する際に、非常に間題で、「エス」を下方向へ引っ張るようにしなければそれは、 固定が不完全になる。つまり「エス」側の固定位置はとうしてもシャシー部分になり、必ずあおりについているフックは上部にありシャーシーからでは「エス」を引き上げるようになってしまう。 「エス」の上部にフックポイントがあれば問題はないが、まったくない。また、その荷台が木製や、フラットな鉄板だとまた問題で、大抵「エス」の下にはラダーレールを二本入れると、それが床がまったくのフラットな場合そのラダーレールがコーナーで内側からタイアを押し、先述 のフックポイント上部のために「エス」は、あおりに危険接近をしてしまう。これには、 太目の雑誌をガムテープ等で何冊か重ねてあおりに固定しスペーサにすれば、解決するが、 載せる度にその間隙が変わるので大変である。だから予算に問題がなければ、あまりにもスペース の無駄遣い感があるにしても、積載専用車がレンタ力ーではベスト。ただ、借りに行き、また 返しに行く時間と手間、更にその費用を考えると、自家用ではリアルタイムで使え、その 車検費用等は4ナンバに付き、ごく僅か(ユーザ車検では、積載専用レンタルフィ1回分ぐらい、 の約3万円で内訳 強陪十重量税十手数料)で、これで1年使えてしまう。筆者の場合シャッターつきガレージに工夫のうえ、S800Rと一緒に入れてある(詳しくは、Video”S”5に収録) ので基本的には費用はゼロ。この件に関しては別の機会にレポート予定。 さらに先述の問題に関しても.自分のものなら穴開け自由でフロアにアイボルトやフック用U字ホルダをセットしてある。これでシャーシーより下方向にテンションを懸けることができる。 フォトがそれ。これも最初はパイク用タイダウンベルトを使っていたが、とあるパック時に死角にあった植えこみの縁に後輪があたり、ものの見事にフック部分が、まっすぐになり、フォトのフェイルセイフ2番ロープのお陰で事なきを得た。それ以後、フォトの車両輸出船用タイダウンベルトを使い、まったく問題なしで現在に至っている。また、これにも、さきのフエイルセイフ用 にも使っている、両端が輪になった□ープが活躍し、数種類の長さを用意して使用しているが、 これを「エス」のシャシーにかけその両端の輪を合わせて、タイダウンにかけ固定している。 またフロント側のフェイルセイフにはパンパーステーにそれをかけ、カラビナを使いフロアの アイポルトに繋いで、完璧を期してある。先述のようにパンパーステに掛ける時に巻きつけ回数を 調整し左右から、ある程度テンションがかかるようにすれば完璧である。また、この両端が輪に なったロープはエンジンの積み降ろしにパツグンの活躍をするスグレもの。基本的にフロア面積 の小さなトラックに積む場合には、とうしてもフロントいっばいに持ってこなければならないため、 よくタイア等で支えている場合があるが、やはリボディ変形の危険大で、急プレーキや跳ね等で ノーズが変形した何例かを知っている、これはイラスト、フォトのように特製のL字鋼のスペシャル パンパー(実は、先述の牽弓法の内、3角法と呼んでいるものの牽引される側に取りつけるも の)をセットして、トラックのフロントにそれを押しつけるスタイルを取っている。 こうすれば、荷台上の「エス」はタイダウンヘルトで前下方へ引っ張っているために それが切れない限り完璧にそのテールが振る事はありえないし、フロントパンバーに巻いたロープ のテンションをある程度確保すれば、荷台上の「エス」が右左にスライドすることもなくなり、 あおりとポディの接触が防げ、これで「エス」を積んだ特急マシンができあがる。 この状態で何年も大阪からツクパ、フジ、ナカヤマ、TI、スズカへと走り回ってトラプル皆無であった。



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フォトは出発スタンバイの「エス」積載のトラックで、ごのように雨の可能性がある時、レース仕様ではシールラパー等極力省いてあるため、特にトップにサイドモール とそのシールラパーをつけてないため雨中走行すれば、とうしてもコクピットに雨が侵入する。 このため保安も兼ねてカパーをかけるのだが、フォトにある上側のシートはアウトドアに興味の有る方は御存じのモンベルのビック・タープで、その下には、通常よく販売されているシルバーの ポティカパーを覆ってあるが、このシルバーカバーは非常に弱く、このカパーのみで豪雨のなかを 大阪からツクバまで走ったとき、到着時になんと後方は真っ白でガーゼの様になり、 当然の様にズタズタに裂けていた。ところが、このタープ、まさに広告コピーのまま、 強風に強く、高速道路走行の風圧に耐え続け、裂けることもなく雨の侵入もない超スグレものである。 ただ晴天時にはカバーの類はつけないほうがベスト。カパーの場合、とうしてもゴムベルトや 力バー自休がボティと擦れて塗装面を曇らすことがあるため。ただ、どうも「エス」のフロント ウインドにトラックのキャビンからの気流の影響で小石等が当たりやすいと思われるので、 最低でもレインX等の保護剤が必要。さらにむき出しだと、ボンネットルーパから侵入した雨水 がプラグスペースに溜り、ノーマルプラクキャップでは始動困難になる恐れがある。ノンカパー の場合は、シリコンキャップかオリジナルプラグ力バーのセットをお勧めする。



最後になってしまったが「エス」をトラックに載せるには、小径ダプルタイアの場合には3メートルほどのラダー レールがあれば事たりるはす。長いに、こした事はないがトラックの荷台をはみ出すとリアのあおり を上げる事が出来なけなる。また短いラダーレールでも、トラックのフロントをジャッキアップすればクリア出来る。ただこの時はパーキングプレーキが完璧に作用しなくてはやりずらいものが ある。また、段差のある場所を利用して積む方法も簡単だが、常にその状態になる場所であればいいが、出発地と目的地が同じ条件であるはずはなく、出来れば平地でそれが可能にする方法 をマスターしておく方が、オールマイティで、条件に左右されない迅速な積み降ろしが可能になる。



<ホイールナット適正トルクについて>

基本的なメ力知識として、最近気になったホイールナットの締め付けトルクについて少し触れて おきたい。ホイールスタッドボルトがちぎれてしまった事がないだろうか。よく聞く話で、 それについて配慮すべき点を少々。諸悪の根源は、現行のクルマは12ミリのスタッドボルト を採用していて、「エス」のそれは10ミリである点にある。基本的な10の締めつけトルクは 4〜5Kgなのだが、なんと巷、ガススタや、ショップではなんでもホ−イルなら10Kgmの トルク設定で締めているらしい。ほとんどが12ミリ仕様のためらしいが、それもプリセット型 トルクレンチで。ごれは危険でクロモリロングポルトでも設定は6〜7Kgmに止めて欲しいもの。 その時点で必ずしも破断しないで、数度重なって金属疲労の限界に達した時にその不幸は起ごる。 ク□スレンチでも思いきり両手で締めれば限界を超える事がある。すぐに結果が出ない、 時限爆弾を抱え込まないためにも、可能な限り自分で締めるよう、ぜひとも、ご注意のほどを。 スパークプラグの締め付けも、また同じ。

(1994/06)

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