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与謝 蕪村 そばの俳句 |
江戸中期で摂津出身の俳人にもそばの句がある。「残月やよしのの里のそばの花」と「根に帰る花やよしののそば畠」の二句は花といえば桜の吉野でそばの花を詠んだめずらしい句である。戸隠山の麓は謡曲「紅葉狩」の舞台で、鬼が集まって酒宴をひらく「鬼すだく戸隠のふもとそばの花」は一面に咲く白の妖気であろう。新そばの句もある。「新蕎麦やむぐらの宿の根来椀」は、「むぐらの宿の椀」と解すると粗末な宿で使い込んだ朱の漆椀に盛られた新蕎麦の情景であろう。「しんそばや根来の椀に盛来(もりきたる)」は、新そばの風味と根来椀の風情が重ね詠まれている。 |
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