そば用語辞典   < Mobile 辞典へ   < PC 辞典へ

まかずそば     まかず蕎麦伝説
 
江戸時代中期(享保・元文の頃)に紀伊藩(和歌山)が藩内の産物を調査して幕府に報告した紀州産物帳のなかに「蕎麦」は「小そば 大そば」とある。すなわち小粒と大粒そばの二品種だとしている。ここに取り上げたのはそれ以外に不思議な蕎麦についての記述がある。「まかずそば」で、それによると「まかずそばは牟婁郡之内平治川村どうじという所々山に三四拾間之間、鍬を入れ候得は、種まかずして蕎麦生立実成、常之そばと同様に食用に成」とある。(牟婁郡は紀伊半島の南部・熊野の地域) 紀州産物帳で報告されている「まかずそば」の産物や植物としての追跡はできないが、熊野本宮のデータベース(本宮つれずれ)というサイトのなかに「まかず蕎麦伝説」(本宮町大瀬地区)が紹介されている。「伝える所に依ると昔、弘法大師が修行された時、」とあって、要約すると「この地に立ち寄ったときの山中で日暮れて、貧しい老女の家に一夜の宿を乞うた。食べてもらう物がない中で、種用に置いていたソバを粉に挽いてそば掻きにして振舞った。来年用の種であったと知った弘法さんが、挽いた時に出たソバ殻を貰い受けて老女の畑に蒔き、来年からは蒔かずとも生えるからと伝えて立ち去った。年があけてソバの季節になると大瀬の畑の一面に広がった。」とある。
 
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