LETTERS

         
いただいたメールの中から、ご紹介したいものを公開します。

         も・く・じ

         ●「父のお別れの会」についてご報告/木下バリ 2002年6月24日 
         ●財産放棄はとってもカンタン木下バリ 2002年7月11日 
         ●生前の財産放棄は意外とめんどくさい/木下バリ 2002年7月11日 
         ●「財産放棄」についてのQ&A 2002年10月17日
         箱宮、焼いてしまいました木下バリ 2003年1月23日 



        

         ●「父のお別れの会」についてご報告/木下バリ 2002年6月24日

 
 実は 6月8日に急性心不全で実父が亡くなりました。

 2日に姉夫婦と甥が訪ねたときは、ちょっと元気なかったけど生きてたんですが、10日に団地の階下の人が「最近、音がしないけど」と姉に連絡くれたんです。

 それで義兄が見にいったら、布団の中で眠るように亡くなっていました。検察医によると、死亡推定日が8日。

 本人が葬儀はするな、と言ってたんですが、11日に無宗教の「お別れの会」をしました。団地の役員もやってたんで、役員仲間の人、近所の人も来てくれました。戦友のお友達も来てくれて、5月もそのなかの一人と旅行にいって、楽しかっ たようです。

 父の行きつけのスナックのママとかマスターも4人来てくださって、いろいろな話が聞けました。(ホント、よー飲む人だったんです)

 香典の類は辞退しました。あとが気楽でいいです。どうしてもという方と、会社関係、自治会などの団体からは受け取りました。

 それで、お別れの会についてなんですが。最近、需要が多いのか、葬儀屋さんが即座に、こうしたらどうですかと提案してくれました。
 
 無宗教なんですが、来てくださった方が困るので、焼香ではなく、お線香を立ててもらいました。坊さんなしで。

 でも父は実は神道なんです。

 献花にしようか、榊を手向けてもらおうかとも言ってたんですが、何人来られるかわからないので用意する量がわからないので却下、無宗教なのに、お線香という、よくわかりませんね。

 来られた方も、数珠を持ってたりしてね、そりゃそうなりますよね。

 狭い団地の3kなんですが、自宅で午後3時から10時まで「お別れの会」ということでやりました。たまたまなんですが、ちょうどよく分散してみなさんが来てくださって、混乱することもなくよかったです。

 喪主の姉は、来る方にごとに同じことを説明しなければならず、ずっとしゃべってましたけど。
 あとから「亡くなったときの状況をA4の紙なんかにプリントして、『ご自由にお持ちかえりください』なんてしてもよかったかも」なんて姉妹3人で冗談いってました。

 棺桶(ドライアイスとかね)と市の斎場に払うお金で約30万円かかりました。姉との折半で支払いました。

 結構借金があって、私たちは相続放棄をすることになりました。もちろん、棺桶代なんか残っていません。

 父としては落第ですが、あんなけ好きなことして、いい人やったダンディだったと言われて、本人は幸せだったと思います。毎年のように、お友達と旅行したりね。

 葬儀は、残された人のためにあると、思いました。姉も「無宗教でしようか」と言ったし、近所の人も「出してあげたら」というし、私も同意しました。

 「葬儀」お別れの会、というのは「けじめ」なんやなあ、家族としても思いました。


 お別れの会してもいいかもと私自身思いました。本音は何にもしないでほしいんですが。みんなが納得して、けじめもあっていいかも。

 夫も体験できたので、「私の時も、こうやって」と言えますし。

 無宗教なのに、骨は一心寺さんというのも矛盾しているんだけど。戒名いるんだなあ。困ったなあ。(※)

 ちなみに父には入るお墓があって、8月に納骨します。

 他にもいろいろあるんですが、このへんで。

 無宗教のお別れの会、そして相続放棄、なんでも聞いてください。私、コンサルタントになれそうです。
       
 肉親の突然の死というデリケートな体験を、書いていただき、ありがとうございました。さらりとした筆運びに、なんともいえずご本人、お父さん、ご家族、ご近所、さまざまな人たちのお人柄がにじみ出て、悲しいはずのお話も、さらりと読ませていただきました。お父さんも娘さんたちに見送られて、さぞかし喜んでおられたでしょう。

掃苔記のオープンとほぼ同時に、一心寺のことを私に最初に教えてくださったのは、木下さんでした。今は亡きお母さんは一心寺に納骨。お骨仏となっておられるそうです。
ご家庭のやや複雑な背景などについては、過去のお便りのNo.1をご覧ください。でも、何でもご自身も一心寺に入ると決めてらっしゃるそうです。(※)の補足としてお知らせしておきます。

6月23日、日経新聞日曜版の文化欄で作家の重松清氏が『郊外のメメント・モリ』と題したエッセイを寄せていました。
彼が住む町は世界で一番墓地が多いとか。と同時に故郷に住む両親の死をどう見届けるかと、最近よく老いや死のコストを考えるのだという。否応なく決断を迫られる親の見送り方。でも、こんなご時世、それがたとえ不完全であっても、子どもとして何かができるのは幸せなことなんですね。

いずれ、財産放棄についても体験談をお寄せくださるとのこと。お待ち申しております。(や)


        ●財産放棄はとってもカンタン/木下バリ 2002年7月10日 

 相続放棄はとっても簡単でした。
 父の除籍謄本、私たち3姉妹の戸籍謄本をもって、家庭裁判所に行って、(死んだ人の住んでいる市の家庭裁判所)簡単な質問事項に答えて(回答を記入して)それでおしまい。

 金曜日に書類を出して、姉なんか、次の日に相続放棄を認める書類が来たと行ってました。私は月曜日になりましたが。

 そのあとのことは、弁護士もわからんというし、司法書士もわからんというし、しゃあないので、昨日、債権者に相続放棄証明書を送りました。

 公団からは、今日すぐに連絡が来て、鍵をかえしてもらって、「あと適当にしてもいいという書類に署名してくれるだけでいい」(古いので建て替えをするので、いま、新入居者を入れないんだそうです)ということです(姉のところに、連絡がきたそうです)。

 銀行関係は、なんにも連絡がきてません?銀行関係は私のところに連絡がくるようになっているので、とりあえず、社内でなんか手続きやってるんでしょうね。

 なんせ、D銀行には100万近い借金があるんですが、借金のかたに、公団に残っている、ぼろい冷蔵庫なんて、差し押さえしたりしるのかしら。ゴルフの会員権はわずか25万円だし。

 公団は10万ぐらいの損(滞納家賃ぐらい)でいいけど、のこりの銀行さんたちはどーするのかなあ。だから、公団だけの判断で動けませんよね。

債権者集会ってやるのかなあ。「あんたとこ、回収額の3割もらいや、うち4割もらうで」なんて、銀行同士でやりとりするんですかね。

なんか、ワクワクしてきました(ワクワクしてる場合かとは思うのだが)。不良債権の処理ってどうするか、身近で聞いたことないので。

続きは、乞うご期待!


         ●生前の財産放棄は意外とめんどくさい/木下バリ 2002年7月10日 

 あれから公団からは連絡きたけど、銀行関係は来ません。

 土曜日にまた実家に行って、ゴミだけ捨てました(ベランダに積んでたので)。ほんと、立て替えのため、後の人をいれないという時期でよかったです。どうせ、ブルドーザーでつぶせばいいんですもんね。

 相続放棄の話を、先日うちにお参りにきてくれた友人にしたら、生前の相続放棄のほうがめんどくさいことがわかりました。

 彼女は、亡くなったお祖父さん(お父さんも故人)造り酒屋で、それを長男(彼女からみたらおじさん)が継いで、それをまた長男(彼女からみたら従兄弟?)が継いでいるという状態なんです。

 この不景気で銀行からお金を借りたいのだけど、土地と古ぼけた酒屋の建物が、まだおじいさん名義になっていて、その子どもたち(おじさんとか亡くなったお父さんとかを含む7人きょうだい)に相続放棄をしてほしいと、従兄弟が言ってきたので、相続放棄をしたといってました。

 相続権のあるお父さんが亡くなったら、その子どもが相続するのだそうです。(彼女と彼女の妹。この場合は、妻(彼女の母)には相続権がない)。

 それで、みんな放棄したのだけど、一番下のおじさんがごねてるんだそうです。

 このばあいの放棄は、印鑑証明もいったそうです。

 うちなんか3姉妹で結構仲がいいし、それ以外にうるさい親戚がいないのでなんでもすぐ決まるけど、兄弟が多いと、中には変わった人もいますよね。

 

 日を置いて送っていただいたお便りを、便宜上一緒にUPしました。

 
遺産相続って、庶民にはほとんど関係のない問題だと思っている私。
亡くなった親が債権を抱えていた場合、相続放棄という手続きが必要なのだということは、やはり実際に直面してみないと、考える機会さえないでしょう。そういう意味で、バリさんのお話はリアルゆえに興味深かったです。彼女とお父さんは一緒にお住まいではなく、少し距離のある関係だっただけに、荷物にも家財道具にも愛着が薄く、こういうときにはかえってよかったのかもしれませんね。弁護士さんも司法書士さんも、その後のことはノータッチ。建替えが決まっている公団は、建物の解体とともに家財を処分するというし、銀行だってリストラで人員削減の折、個人のささやかな負債に目くじら立てて連絡をよこすことより、目の前の処理で手一杯なんでしょう。

 一方で造り酒屋さんの生前財産放棄問題は、お金を貸し渋る銀行や、財産をあてにする人々のの態度が見え隠れ。庶民より少し財産が
あるのも、よしあしなんですね。しかも相続権を行使する側は、こういう時によけい本性が見えてくるもんです・・・。

 人の死にお金がついてまわるのは世の常といえましょう。せちがらい話ではあるけれど、ためたお金も借りたお金も、いわば生きた証し。でも結局はあの世にまでは持ち越せないんですね。

 余談ながら、あの「白肌の女王」で一世を風靡した(その理由は私には謎ですが)故鈴木その子さんは、確か生前とっても思い入れた豪邸建設中に亡くなって、結局建築途中の建物は壊してさら地にし、土地も売却されたそうな。あれだけ財をなしても、家を持っては死ねないんですよねえ。

 さて、思えば私も女3人姉妹。昔はよく喧嘩したけれど、大人になると「かしましい」のはけっこうありがたいもんです。姉が相当欲深でもない限り、法律的な話も円満にいくことでしょう。ところが、ここになまじ男兄弟が入ってくると、弟でも葬儀の喪主は男がするんだとか、お焼香の順番がどうとか、財産分与でもめるとか、昔ながらの男尊女卑の世界が繰り広げられるようです。そんな話を、お母さんのお葬式で末っ子の弟が喪主になり、自分は末席に座らされて悲しい思いをしたという知人(彼女は次女)から聞きました。
 

         ●「財産放棄」についてのQ&A 2002年10月17日 
         

 Q:○×△さんより

 はじめまして。
 興味深く拝見させていただきました。

 下記の文章なんですが・・・・・。

「棺桶(ドライアイスとかね)と市の斎場に払うお金で約30万円かかりました。姉との折半で支払いました。
結構借金があって、私たちは相続放棄をすることになりました。もちろん、棺桶代なんか残っていません。

 これは棺桶代も放棄できたという意味でしょうか?棺桶は残された親族が購入するわけですから棺桶の権利は親族であり、亡くなられた方の財産とはみなされないような気がするのですが・・・。

よろしければ教えて下さい。


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 A:木下バリさんより「では、回答を」

 確かにご質問者のおっしゃるとおり、棺桶の権利は親族にあると思います。なくなった者の財産ではないと思います。

「 結構借金があって、私たちは相続放棄をすることになりました。もちろん、棺桶 代なんか残っていません。」

 こういう書き方をしたのは、普通でしたら、何百万という現金はなくても2,30万ぐらい、棺桶代のために残して死ぬ人が多いだろうなということ。

 そして、残された者が、相続してから、葬儀一式にかかった費用を、たとえばうちの場合でしたら、父から受け継いだ財産の中から、姉と私が15万ずつもらって、残ったお金を3姉妹で分けるという方法をとるだろうということですね。

 うちの場合は、父の借金が多くて相続放棄をしたわけですから、まったく姉を私が葬儀代を負担したということです。

 棺桶代は放棄できたかの問題なんですが、父の場合は、ふつうに私たちと行き来がありましたし、出しました。妹は自営業で、店をちょうど移転したばっかりで、お金なくて出せない状況だったので出しませんでした。

 たとえば3姉妹とも全然お金がなくて、病身で、生活保護を受けている状態だったらどうなるんでしょうかね。それとか、父親が蒸発していて、全然便りがなかった場合に出す気になるのかな。

 また、全然身よりのない人だったら、どーするんでしょうね。誰が棺桶や斎場のお金を負担するのかな、本人にお金がない場合は。各自治体が責任もつのかな。

 団地の役員のかたがおっしゃるには、独居老人の孤独死って、父の住んでいた古い団地には多いそうです。その方は役員をしているから、何人もそういうのに警察とともに立ち会ったそうです。

 こんなところで回答の方、いかがでしょうか。

 納骨すみまして、また、お話したいことがちょっとあります。ドラマもありました。また、お便りします。


 
 記名なしのメールでいただいたご質問を、バリさんにお問い合わせして、ご回答いただいた。メールのアドレスにお名前らしきものがあったのだけど、ご本人に許可を得ていないので、ここでは○×△さんとさせていただく。読んでいただき、ほんのちょっとしたフレーズにも疑問を感じて、メールを寄せていただいたことに感謝を込め、こんな形でUPさせていただいた。
 
 葬儀にかかる費用

 財団法人 日本消費者協会 第6回「葬儀についてのアンケート調査」(平成11年9月)によると、葬儀費用の全国平均は228.7万円だそうだ。地方によってばらつきがあって、東北や中部エリアは比較的高く、中国や九州エリアは安い、西低東高傾向があるようだ。棺桶台もピンからキリだろうけど、バリさんの亡くなったお父さんはご自身の棺桶費用のお金も残されなかったから、娘たちが負担せざるを得なかった。しかし、生前行き来があっただけに、ご本人とともに燃やしてしまう棺桶の所有権まで云々する場合ではなかったのだ。

 確かに、身寄りのない無縁仏は誰が費用を出すのだろう。一時的に立て替えたとして、最終的には誰に請求がいくのだろう。そこまでいけば、法律論の世界。でも、ホームレスが急増している今、それとてすでに問題になっているかもしれない。

 実際、団地の独居老人の孤独死は増えているようだ。それを裏付けるように、つい先日、都市基盤整備公団(都市公団)の住宅団地が、家族らにみとられずひっそり死んでいく「孤独死」が増えていると発表した。なんでも1999年度から昨年度までの3年間で計690人。その過半数は65歳以上の高齢者。「今後も孤独死は増えるのでは」という。都市公団の団地の調査では、入居高齢者の割合は20%で、総人口の高齢化率(17%)を上回っているそうだ。

 私の身内にも公団で老後を過ごしている叔父夫婦がいる。階段もない4階。長年高齢者うつ病に悩んでいる叔父を叔母がひとりで面倒みていたけれど、今ではほとんど寝たきりになってしまい、介護ヘルパーのお世話になっているそうだ。とはいえ、すでに年老いた叔母がいつまで叔父を支えきれるのか。介護疲れも心配されるし、もしものことを考えれば、独居老人と同じ危うさがある。公団ばかりではない。普通のマンションでも、独居老人は年々増えていくだろう。

 若いといっても明日はわが身。経済性が優先する世の中だ。最低でも自分の葬儀代や棺桶代は残しておかなくてはいけない時代なのだ。

         ●箱宮、焼いてしまいました木下バリ 2003年1月23日          

 ごぶさたしています。

 父のことはどこまで話ししたのか、わからなくなってしまいましたが、公団には鍵を返し、大和銀行からは何もいってきません。父が自分の親と愛人をまつっていた箱宮(神道の仏壇みたいなの)をこのあいだ、庭で燃やしました。

 仏壇燃やすなんて、とんでもないことやなあと思いながら、炎を見てましたが、よく燃えました。じゃまだったし、姉妹、みんな困っていて、私に押しつけられたんです。一応近所の神社に相談したんですが、祀ってあげなさいと言われた。  

 父の両親の位牌(神道ではなんていうんでしょうね)も燃やしました。写真とともに。もう過去の人だからいいかと思って。

 父の位牌と、父が手作りでつくった愛人の位牌(5年ほど前に亡くなったんですが)は残して、父の位牌の箱の中に、その位牌もいれてあげました。

 父の彼女っていう人に、私も中学生の頃、会ったことがありますが、父より7つ年上で、気っ風のいい方でした。
幼いときに両親を亡くして、甘えただった父にはピッタリの人だと、思春期のわたしでさえ、思いました。(ということを、前にも話しましたっけ)

 寂しがりの父がかわいそうなので、彼女の位牌もくっつけてあげた。でも、まさか、両親の箱宮に、紙で、手作りで、彼女の位牌を入れておくとはね。(彼女にはもちろん家族いるんですよ)

 うちの姉は、私が箱宮を燃やしたと聞いて、あわてて「父の位牌をひきとろうか」と連絡をしてきました。ハハハ、私が父の位牌も燃やすかもしれないと思ったのかも。過激な妹を持つ姉もたいへんです。

 ほんと、神仏のない私です。

 父の話はこれで終わりそうです。何か、ご質問がありましたら、おっしゃってくださいね。いろいろな仕事が重なって、ばたばただったんで、父
のことも、なんだか遠いことのようで、思い出せなくなってしまいました。

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