エリアルイメージ・テレシネ撮影機



 フィルム映像をビデオ映像に変換することをテレシネといいますが、ここではエリアルイメージ(空中像)方式による
テレシネ装置をご覧ください。
8ミリ映写機のレンズから発せられた光束は、レンズのすぐ前にある反射鏡(表面鏡)で90度の角度で反射されます。
反射された光束を片凸レンズで収束させ、そこに空中像を結ばせます。その空中像を片凸レンズを通して、ビデオカメラ
で撮影します。
 エリアルイメージ(空中像)方式は、スクリーンプロセス方式のようにスクリーンを撮影するのではなく、空中像を
直に撮影しますから、色の抜けが良いのです。さらに映写機のピントの移動によるピントずれが少なく、安定した
ピントを結像できます。
SL讃歌の8ミリフィルム映像は、すべてこのエリアルイメージ・テレシネ装置でデジタル化してビデオファイルに変換しています。



全体構成写真:モニターテレビ、映写機、片凸レンズ、3CCDビデオカメラ


映写機はエルモ製:GS1200磁気・光学サウンド映写機です。




これが表面鏡を使用した反射鏡です。普通の鏡ですと、
像が二重になりますので、必ず表面鏡を使ってください。
この表面鏡は、エルモ社から販売されていた透過型映写装置の
オプションです。



片凸レンズ(直径は20cm)、劇場のスポットライト照明装置
に使われるものです。


映写レンズ(左)と反射鏡(右)


エリアルイメージ(空中像)は、透過光を直接撮影しますから、
非常に効率が高く(逆にいうと、明るすぎる)そのままでは、
ビデオカメラが絞りきってしまって撮影できません。
そこで光源を暗くする工夫がいります。
1.映写ランプの反射部分をグラインダーで削り取って、
  スリガラス状にします。この作業でかなり、反射が減少し、
  かなり光束が落ちます。
2.しかしやはり、光束が強すぎるので、光量を落とすために
  耐熱性のテフロンシート(厚さ2mm)を入れます。
3.それでもなお光束が強すぎるので、さらに光量を落とすために
  私の場合は、ND8フィルターをビデオカメラに付けています。



電気ドリルにグラインダードリルチップを付けて、反射鏡に
蒸着されたアルミを削り取ります。この作業で反射膜がなくなり、
スリガラスになります。この作業は慎重に行ってください。
手元が滑ると、ランプを折ってしまう危険があります。


スリガラス状に加工済の映写ランプとテフロンシート(厚さ2mm)
テフロンは超耐熱性のプラスチックですが、ランプの反射膜を
削り取らずに、その直前に置くと、さすがのテフロンも溶融し始
めます。
従って、必ず反射面を削り取ってください。テフロンにも数種の
種類がありますが、PTFEのシートをお使いください。
このGS1200の映写ランプは24V250Wと強力です。一般的な
12V100Wや24V150Wの映写ランプでは1mm程度のテフロンシートで
良いかも知れません。


テフロンシートをランプ直前の隙間に挿入します。

8ミリフィルムと8ミリ映写機をお持ちの方で、エリアルイメージ・テレシネ装置を
作りたいとお考えの方は、片凸レンズと表面鏡は下記のメーカーにお問い合わせ
ください。

大阪市生野区舎利寺2−9−5
  関西特殊光学株式会社
    06−6731−1110

片凸レンズの仕様は、直径20cm、焦点距離30〜35cm前後のものがよいでしょう。
表面鏡は10cm角です。従って映写レンズの直前に固定するためには、多少工作が
必要になります。表面鏡はガラス切りで適当な大きさに切り取って使います。
表面鏡はどちらが表か裏か、慎重に観察して見分けます。
アルミ蒸着している側が表側(反射側)です。ガラス側が裏側です。ガラスの隅をマッジク
インキで小さなしるしを付けて斜めにして見ると、裏側ではガラス表面の印とアルミ蒸着
の反射とで、像が2重になって見えます。
くれぐれも間違えないように慎重に見極めてください。
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光軸の合わせ方

Victor HD Cameraのテスト映像
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撮影する場合の注意事項
1.映写機のスピードは20コマ/秒程度にアップします。スーパー8、シングル8の定格速度は
  18コマ/秒ですが、この速度ではフリッカーという横じまが現れるので、フリッカーが
  目立たない速度まで上げます。19.5〜20コマ/秒程度にします。
2.ビデオカメラのホワイトバランスを屋内(ランプマーク)に設定します。
3.ビデオカメラの出力端子から、テレビの入力端子を結びます。モニターテレビに映った
  映像を見ながら撮影するわけですが、カメラのピント及び絞りは必ずマニュアルに設定して
  最適の状態で固定します。


ご意見、ご質問は何なりとこちらへ E-mail: smaeda@lyra.vega.or.jp

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