Victor High VisionとDVカメラとのテレシネ比較  

2004, Dec. 31    

実験装置の概要
1.映写機: ELMO GS-1200、映写レンズ: 1:1.2、25〜50mm長焦点レンズ
        (光源はランプの反射コーティングを削り反射率を減少させるとともに、
         3mmテフロンシートを挿入してより光量を減少させている)
       映写速度は18コマで、速度調節つまみをMAXにします。この位置でおよそ19.5fpsです。
       理論上は20fpsなのですが、19.5fpsでもフリッカーはまず許容できる範囲と思います。
2.レンズ: 直径200mm、焦点距離280mm、片凸レンズ
3.使用カメラ: JY-HD10、GS-100K
4.フィルター: ND8+No.2クローズアップレンズ


1.どんなカメラを使うか
 テレシネする場合にどんなカメラを使うかですが、以前はSony VX-1000を使っていました。
 その後PanasonicのGS-100Kを使っています。ほかにも色んな種類のDVカメラがあるので、
 どれがいいのかという答えは判りません。
 機構的にいえば、シャッター速度、絞り、ピントとも調節できる完全マニュアルが出来る機種に
 限ります。
 シャッター速度は標準の1/60としますが、1/30でも構いません。1/30の方がフリッカーは少なくなります。
 どちらがいいかは映像にもよりますが、ご自分で確認されることをお薦めします。
 1/100にすると、フリッカーが発生し使用できません。

2.ビクターのハイビジョンカメラ
 2003.Mar に発売された史上初の民生用小型ハイビジョンカメラ。GR-HD1及びJY-HD10を使って
 テレシネしたらどうなるかをテストしてみました。
 結論はテレシネには向かないということです。但し、HDV映像の中にテレシネを挟みこむ場合は、
 GR-HD1を使うべきです。4:3映像としてテレシネしたい場合は、GR-HDよりDVカメラがいいです。
 (理由)
 (1)GR-HD1及びJY-HD10の両機種とも、完全マニュアル対応ではないということです。
   シャッターは1/60または1/30に固定出来ますが、絞りは固定できません。
   つまり、明暗の大きいフィルムを映写した場合は、絞りがフラフラして見るに耐えません。
   テスト映像でも三重連のSLにそってパンニングしたときに一瞬絞りが開いて非常に目障りで
   気になります。GS-100Kではそんな症状は起こりません。
 (2)8ミリ映画は4:3相当で、これを16:9の横長画面に収めるには
   イ.上下をギリギリにフレームに収める。当然左右に空きが生じる。
   ロ.左右をギリギリにフレームに収める。この場合、16:9に上手く
     収まったようになりますが、垂直を拡大していることから、より画質の
     荒れ(劣化)が目立ちます。しかも上下がトリミングされているので、
     肝心の被写体がトリミングされて写っていないこともあります。
     しかも、元々8ミリフィルムは精鋭度が劣るので損です。
     一説では、水平解像度は8mm190本だそうです。
     (TV放送で350本、S-VHS、Hi8では400本、16ミリフィルムで430本、35ミリフィルムで915本)


3.普通のDVカメラ
 GS-100Kは完全マニュアル可能ですので、テレシネするのに適切なカメラの一つといえます。
 今回は、ホワイトバランスを白熱灯マークで行いましたが(普通はこれで行う)、発色は
 ややオレンジ色系統が強く、プレミア上のRGBで色調整をする必要がありました。
 ピントは申し分ないと思います。
 (1)シャッター速度:1/60に固定、このカメラの唯一の欠点は、1/30、1/15のスローシャッター
   がないことです。夜の撮影でもスローシャターは必要です。
 (2)絞りはモニターTVで確認しながら行いますが、今回はF5.6で固定しました。
 テレシネは決してオートで撮ってはなりません。
 8ミリフィルムには明るい部分も暗い部分もあるのですが、オート絞りで撮ると、
 繋ぎの部分で激しく明暗が生じ非常に不自然な映像になってしまします。
 暗い(明るい)部分が長く続くばあいは、そこのシーンだけ絞りを調整することは
 勿論必要です。

(写真をクリックしてください)
Victor JY-HD-10によるテレシネテスト映像(4分55秒)
使用カメラ:Canon518SV(Single8)、S47/3花輪線、龍ケ森(現:安比高原)付近にて撮影
4カットあります。
1.上下をギリギリにし、左右に空きがある状態。16:9に4:3サイズをすべて取り込んだもの。
  シャッターは1/60固定です。
2.左右をギリギリにし、上下はトリミングされた状態。16:9に4:3サイズを上下カットして取り
  込んだもの。シャッターは1/60固定です。
3.左右をギリギリにし、上下はトリミングされた状態。16:9に4:3サイズを上下カットして取り
  込んだもの。但し、シャッターは1/30〜1/100に変えて撮った。
4.GS-100Kで取り込んでテレシネしたファイルを、HDVタイムラインに取り込んだもの。
  ジャギーの発生が気になります。
Panasonic GS-100Kによるテレシネテスト(1分07秒)
GS-100Kで取り込んでテレシネしたもの。絞りのふらつきもなく安定しており、
一番いい画質と思います。しかしジャギーの発生は気になります。
カメラを変えたらどうなのかは、いいDVカメラがないのでテストしていません。
※今回はテストということで、フレームギリギリを狙ったら、少し周辺が残りました(特に16:9の左側)。
本番ではもうほんの少しズームアップにする必要があります。


ご意見、ご質問は何なりとこちらへ E-mail: smaeda@lyra.vega.or.jp

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